むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 腎機能改善薬

    心臓と違い、腎臓はあまり治療薬がありません。だんだん腎機能が低下してくると、その人の過去の採血データがあればこの先何ヶ月で透析導入になるかを計算することができます。これといった治療薬がないためほとんどの場合予想通りに一直線に腎機能が悪化していくからです。

    唯一、腎臓に対してアプローチできるのは血圧とコレステロール管理です。血圧、コレステロールを高いまま放置するのときちんと管理するのでは将来の腎機能が変わってきます。もちろんきちんと管理したほうがいいのです。熊本市は日本全国でも有数の透析患者さんの多い自治体だったのですが、こういった腎機能保護へのアプローチで透析患者さんが多いという汚名は返上されました。とはいえ、腎臓の治療はあまりなく、漢方相談に来られる方もいます。漢方で腎機能の改善を目的に治療するには、エキス顆粒(ツムラなどの既成の漢方薬)では太刀打ちできません。煎じ薬で頑張って作れば効果が認められていますが、煎じる手間もお金もかかります。

    そういう中、iPS細胞を使った腎臓の再生治療はもうすぐ私たちの現実世界に現れるかもしれません。今は、透析と生体腎移植(親兄弟から腎を一つ分けてもらう手術)しか道はありませんが、もうしばらくの辛抱です。なんとか今持っている腎を長持ちさせれば、iPS技術の恩恵にあずかることができる世の中はすぐそこです。

  • 不整脈とアブレーション

    動悸がする時、不整脈なのか、ただドキドキするだけなのかは大きなポイントです。しかし、そのどちらかをはっきり区別するのは容易ではありません。最近、当院でも立て続けに動悸で来院され、運良く心電図が取れたおかげで診断が確定した症例がありました。一つは10年以上前から時々動悸発作に襲われ、ただしゃがみこむしかなかったという方。更年期でしょうか、と来院されたものの、運よく動悸発作時に取れた心電図から発作性上室性頻拍(PSVT)と診断されました。すぐに日赤を紹介し、カテーテルアブレーションという治療で根治できました。これで、10年来悩んでいた動悸発作とはさよならです。

    もう一例は、繰り返し動悸発作が起こり、何度心電図をとっても不整脈が捕まらず、24時間心電図(ホルター心電図)でも異常ありませんでした。そのため、心因性かもしれないと思って抗不安薬などを使って経過を見ていたところ、ついに動悸の原因が発作性心房細動だとわかった例がありました。こちらも、日赤でアブレーションしてもらって、今は不整脈は出なくなっています。

    このように、動悸発作は発作性心房細動をはじめとする心臓に由来する不整脈である場合とストレスなどが原因の心因性のものがあるのです。発作時間が短いと、来院しているうちに不整脈は治りますから、まずは自分で脈を見て脈が速いか遅いか、飛んだりしないか、リズムは一定かバラバラか、といった点に気をつけて情報をとっていただきたいと思います。それがわかれば、証拠は取れていなくともかなりのところまで診断は絞られます。そして、不整脈と診断がついた場合、以前は薬でコントロールするしかなかったのですが、最近は症例によってはアブレーションという方法で根治できるかもしれません。

  • アース=地面

    アースといえば地球という意味の英語ですが、電気製品につけるアースというのは感電事故を防ぐために地面に放電する電極のことを指します。医療機器には大抵アースがついていますが、どうやってアースするかというと、コンセントが3極(通常は2極)になっており、3本目がアースです。心電計のように体内の微弱な電気変化を記録するためにはアースがとても大切です。

    そういう人間の体において神経系は電気系統のようなものだし、筋肉も電気的な活動で伸び縮みします。また、体を動かすと体内で摩擦による静電気も発生するし、心拍や胃腸の動きから発生する波動のようなものも存在します。その人体にアースがあるかといえば、答えはイエスです。それは、足です。足から地球に向かってアースされているのです。しかし、現代ではゴム底(絶縁体)の靴をはいて歩き回るので足のアース効果はほとんど期待できません。

    もう一つが、地面の露出しているところが少なく、ほとんどがアスファルトなので、地面の上に直に立つということがありません。もし、おひまなら公園などの地面の上に裸足で立ってみると、いかにアースすることで健康が取り戻せるかがわかると思います。ただ、最近は地面の下に高圧線や下水管が埋設されていることもあるので、どこに立ってもいいというわけでもない気がします。最近私がきがついたのは、犬の散歩中に近所の小さい公園に立つと、とても気持ちがいいのです。これは、靴を履いたままですが、なんとなくそこにしばらく立っていたい気分になります。皆さんのお近くの公園でもそういうスポットがあるかもしれませんよ。

  • 寝酒は良くない

    眠れないということで来院される患者さんは多いですが、中には、寝るためにお酒を飲むようにしたけど寝てもすぐ目が覚めます、という方が結構おられます。お酒が好きなら別ですが、ただ単に寝るためにお酒を飲むのはお勧めできません。

    悪い理由はいくつもあります。まず、お酒は睡眠薬に比べてはるかに肝臓によくありません。そして、習慣性があり、睡眠薬と同じくらいやめにくいものです。また、お酒を飲んで寝た際の睡眠は眠りが浅く、アルコールが切れて来ると深夜に目が覚めてしまいます。熟睡できず眠りが浅いので、疲れが取れません。

    最近の睡眠薬は以前のものよりかなり改良されていますので、お酒よりはよほどましなものです。また、睡眠薬には寝つきを改善するものや中途覚醒を改善するものなど色々な強さと作用の長さの薬があります。自分にあった薬を適切に処方してもらうことをお勧めします。また、抗うつ剤だけで眠れるようになる場合があります。抗うつ剤は眠りの質も改善しますが、お酒との相性が良くありませんので、くれぐれも注意していただきたいと思います。

     

  • 読書の一日

    お盆休みで久しぶりに仕事から離れてのんびり過ごしています。今回の連休では、獨協医科大教授の井原裕先生の著書「うつの8割に薬は無意味」という本を読んでいます。日頃の私の診療に通じるところがあり、とても考えさせられます。

    私たち心療内科を標榜する医師としては、治療の中心は薬物療法です。カウンセリングに時間を取っていては、一日に診察できる患者さんは限られてしまいます。初診ではじっくり時間をかけてうつになった背景などを聞いて治療の方針を立てていますが、2回目以降は出した薬の効果を確認し、次の処方を考えます。実際、カウンセリングに時間をかけている暇はないのです。しかし、これでいいのだろうかとも思っていました。私の場合、漢方を併用して体質そのものにもアプローチしていますが、井原先生によると、うつの多くは生活習慣病だと説明されています。

    確かにそう言われてみればその通りです。仕事でのストレス、不規則な仕事、残業、睡眠不足、食事もする暇がない、そのような人にどれだけ薬を使ったとしても生活習慣を正してもらわない限り治り様がないのです。うつの患者さんは私たち主治医や処方された薬で治ると思ってはいけません。自分でも生活習慣を変えてもらう必要があります。治すのは自分であるという自覚がないと、いつまでも薬を続けなくてはいけないというわけです。