むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 読書の一日

    お盆休みで久しぶりに仕事から離れてのんびり過ごしています。今回の連休では、獨協医科大教授の井原裕先生の著書「うつの8割に薬は無意味」という本を読んでいます。日頃の私の診療に通じるところがあり、とても考えさせられます。

    私たち心療内科を標榜する医師としては、治療の中心は薬物療法です。カウンセリングに時間を取っていては、一日に診察できる患者さんは限られてしまいます。初診ではじっくり時間をかけてうつになった背景などを聞いて治療の方針を立てていますが、2回目以降は出した薬の効果を確認し、次の処方を考えます。実際、カウンセリングに時間をかけている暇はないのです。しかし、これでいいのだろうかとも思っていました。私の場合、漢方を併用して体質そのものにもアプローチしていますが、井原先生によると、うつの多くは生活習慣病だと説明されています。

    確かにそう言われてみればその通りです。仕事でのストレス、不規則な仕事、残業、睡眠不足、食事もする暇がない、そのような人にどれだけ薬を使ったとしても生活習慣を正してもらわない限り治り様がないのです。うつの患者さんは私たち主治医や処方された薬で治ると思ってはいけません。自分でも生活習慣を変えてもらう必要があります。治すのは自分であるという自覚がないと、いつまでも薬を続けなくてはいけないというわけです。