むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 腎機能改善薬

    心臓と違い、腎臓はあまり治療薬がありません。だんだん腎機能が低下してくると、その人の過去の採血データがあればこの先何ヶ月で透析導入になるかを計算することができます。これといった治療薬がないためほとんどの場合予想通りに一直線に腎機能が悪化していくからです。

    唯一、腎臓に対してアプローチできるのは血圧とコレステロール管理です。血圧、コレステロールを高いまま放置するのときちんと管理するのでは将来の腎機能が変わってきます。もちろんきちんと管理したほうがいいのです。熊本市は日本全国でも有数の透析患者さんの多い自治体だったのですが、こういった腎機能保護へのアプローチで透析患者さんが多いという汚名は返上されました。とはいえ、腎臓の治療はあまりなく、漢方相談に来られる方もいます。漢方で腎機能の改善を目的に治療するには、エキス顆粒(ツムラなどの既成の漢方薬)では太刀打ちできません。煎じ薬で頑張って作れば効果が認められていますが、煎じる手間もお金もかかります。

    そういう中、iPS細胞を使った腎臓の再生治療はもうすぐ私たちの現実世界に現れるかもしれません。今は、透析と生体腎移植(親兄弟から腎を一つ分けてもらう手術)しか道はありませんが、もうしばらくの辛抱です。なんとか今持っている腎を長持ちさせれば、iPS技術の恩恵にあずかることができる世の中はすぐそこです。