むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 常識の非常識

    常識と思っていることが実は非常識ということがあります。特に西洋医学はついこの前まで常識と思っていたことが間違いだったと言われることがざらにあります。例えば、風邪の発熱に解熱剤を使うと気分は良くなりますが、風邪が治るまでの日数は長引くことがわかっています。熱を抑えることで、ウイルスの量がいつまでたっても減らないからです。他には、脳梗塞予防に寝る前に水を飲みましょうというキャンペーンがありましたが、これは完全に予防効果なしということがわかって、今ではSTOP脳梗塞キャンペーンでも水を飲めとは言わなくなりました。

    膝の痛みにヒアルロン酸を関節内注入している人が多いと思いますが、最近これも間違いだと論文で発表されました。膝関節炎の人にヒアルロン酸を注入した場合と、生理食塩水を注入した場合を比べた結果、ヒアルロン酸を入れた群の方が膝軟骨の減りが早いことが判明したのです。全く期待したのと逆効果だったということです。このようなことを聞くと、西洋医学の常識は本当に疑わしいものばかりです。

    一方、漢方にはこのようなこの前までの常識が実は非常識ということはありません。なぜなら、すでに3000年かけて正しいと検証された事実だけが今の世に伝えられているからです。

  • 高血圧は放置しないこと

    訪問看護ステーションを経営している友人がクリニックに来て、話を聞きました。彼が仕事を任せている40歳前半の男性が、脳出血になったそうです。命に別条はなく、保存的に経過を見る(手術はしないという意味)とのことで、幸いだったのですが、この若さで体に麻痺が残ったりすると、この先大変です。その人も、血圧が高いのを放置していたのが脳出血を起こした原因です。仕事が忙しかったのかもしれないし、若いから大丈夫とたかをくくっていたのかもしれません。しかし、こんなこともあるということを知ってほしいと思います。

    時に、高血圧があるのはわかっているが、血圧の薬を飲みたくないと頑なに断る人がいます。理由を聞くと、一度飲み始めたら一生飲まないといけないと聞いたから、と言われます。確かに、一度飲み始めた薬を止められる確率は10分の1もないと思います。しかし、一生薬を飲んだとしても、脳出血など起こさず、半身麻痺にならずに済めば人生はずいぶん違います。豊かで幸せな老後を迎えるためにはそれなりに準備と投資が必要です。老後を楽しむお金も大切かもしれませんが、なんといっても健康第一です。その健康は、血圧管理、血糖やコレステロールの管理で手に入れることができるのです。脳卒中と心筋梗塞を予防できれば、死因の半分以上をカバーします。

    血圧やコレステロールの薬を飲み始めても、止めることは可能です。そのためには食事療法と運動療法を徹底することです。太っていれば、まず痩せることです。そういった努力をしても数値が良くない場合は、あれこれ思い悩まず、潔く諦めて薬を飲んだ方がいいと思います。最近の薬は副作用が少なく、長く飲んで有害事象が起こることは稀です。週刊誌などに脅かされて間違った選択をしないようにしましょう。

  • 冷えると痛む

    ずいぶん寒くなってきました。患者さんの中にはもうこたつを出したと言う人もいます。私はまだ半袖の夏服で診療をしていますが、さすがに少し寒いです。冷えるとあちこち痛むというのはよく聞きます。血流が悪くなるのが痛みの原因かもしれません。そういう場合、痛みの場所に湿布を貼って冷やすのはあまり良くありません。基本的に湿布は冷やす働きが強いので、冷えて痛むようならあまりお勧めできません。温湿布というのもありますから、貼って温めるのはいいと思います。また、ホットパックと言って、温める道具もあります。痛い場所は温めましょう。例外的に冷やした方がいいのは、炎症を起こした場所です。変形性膝関節症でも膝が熱を持って腫れているようなら温めるのではなく冷やさないといけません。難しく考えることはないのです。

    風邪も同じです。寒気がすれば温め、火照りがあれば冷まします。主に夏風邪は冷やしたほうがいいですし、冬の風邪は温めた方がいいでしょう。葛根湯や麻黄湯は温める処方です。1袋飲んで温まらない時はもう一袋飲む。寒気が取れて震えもなくなりほかほかしてきたら飲むのをやめます。通常の漢方エキス(粉薬)は少し効果が弱いので、私の場合2−3包を一気に使います。温まります。ただ、処方箋には決まりがありますからそうのようには書けませんので、自己責任でお願いします。

    冷え性の人は薄着せずに保温に努めましょう。お風呂もシャワーでなく、お湯をためて入りましょう。お湯に塩や重曹などを入れると保温効果が高まります。私はマグネシウム塩を入れて入っています。

  • 心臓検診班会議

    月曜の診療が終わってから、医師会へ向かいました。心臓検診班会議に出席するためです。毎年4月に小中高校生の1年生及び小学4年生全員を対象に心電図検診がありますが、そこで異常を認めた生徒さんたちの精密検査をするのがこの班の仕事です。何千枚もの心電図を判読し、実際に診察に来てもらうかどうかを決めます。複数の専門家が揃って話し合います。最近は出産時に新生児の心疾患に関してはかなりチェックされていますが、この検診で初めて先天性心疾患が見つかることがあります。多いのは心房中隔欠損症です。心臓の壁に穴が空いているものです。

    超音波診断の精度が上がり、かなり詳しく状態がわかります。穴が見つかっても、成長とともに自然と閉じる場合もありますから、慌てずに長い目で見てあげることが必要です。しかし、将来心不全などが成長過程に問題となる場合も考えられますので、手術を勧められた場合はそれに従ったほうがいいと思います。

    今年度の心臓検診は全て終了し、今日はその二次検診の結果集計が報告されました。心雑音などを小児科で指摘された場合、このように学校検診で精密検査を受けられる場合もありますが、学校検診時の問診票にきちんと書いておかないとスルーしてしまいますので、そういう場合は検診を待たずに通常の診察で精査された方がいいかもしれません。

  • ひんやりした雨

    日曜日、一日中ひんやりした雨が降りました。私は、熊本大学薬学部で漢方の講演をしました。持ち時間は1時間半でしたので、ゆっくりといろいろな症例を通して私なりの漢方の考え方を解説しました。ポイントは、腹診に頼らない漢方処方です。漢方の勉強には、日本古来の古方という流派と現代中医学をベースにした流派があります。おそらく薬剤師さんたちの漢方の勉強は古方を主としているのではないかと思います。しかし、古方は腹診と言ってお腹を触って処方を決める独特の診察方法をとります。薬剤師さんたちは患者さんに触れることが法的にできないため、古方で勉強していては不自由することが多いのではないかと思います。私の場合、診察時にお腹も触ってみますが、話を聞いて7割以上は処方を決め、あとの3割程度を舌の情報や脈の情報などで決めます。

    私がアメリカに留学していた時、ヒューストンの中華街で漢方薬局に行って処方してもらったことがあります。その際は中医師と思われる人が、症状を聞いて、脈を診てもらっただけで処方が決まりました。日本の薬局系の漢方もそのような方法がいいのではないかと思い、腹診に頼らない漢方処方を講演したわけです。

    それにしても、急に冷えてきました。20度に満たない一日でした。風邪を引きやすい季節です。体を冷やさないように気をつけましょう。今の時期にゾクゾクして喉がチクチクして、というときの処方を一つご紹介します。桂枝湯と麻黄附子細辛湯を合わせて飲みます。手元になかったら葛根湯でもいいですが、これこそ早めの漢方が効果的です。