むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ひんやりした雨

    日曜日、一日中ひんやりした雨が降りました。私は、熊本大学薬学部で漢方の講演をしました。持ち時間は1時間半でしたので、ゆっくりといろいろな症例を通して私なりの漢方の考え方を解説しました。ポイントは、腹診に頼らない漢方処方です。漢方の勉強には、日本古来の古方という流派と現代中医学をベースにした流派があります。おそらく薬剤師さんたちの漢方の勉強は古方を主としているのではないかと思います。しかし、古方は腹診と言ってお腹を触って処方を決める独特の診察方法をとります。薬剤師さんたちは患者さんに触れることが法的にできないため、古方で勉強していては不自由することが多いのではないかと思います。私の場合、診察時にお腹も触ってみますが、話を聞いて7割以上は処方を決め、あとの3割程度を舌の情報や脈の情報などで決めます。

    私がアメリカに留学していた時、ヒューストンの中華街で漢方薬局に行って処方してもらったことがあります。その際は中医師と思われる人が、症状を聞いて、脈を診てもらっただけで処方が決まりました。日本の薬局系の漢方もそのような方法がいいのではないかと思い、腹診に頼らない漢方処方を講演したわけです。

    それにしても、急に冷えてきました。20度に満たない一日でした。風邪を引きやすい季節です。体を冷やさないように気をつけましょう。今の時期にゾクゾクして喉がチクチクして、というときの処方を一つご紹介します。桂枝湯と麻黄附子細辛湯を合わせて飲みます。手元になかったら葛根湯でもいいですが、これこそ早めの漢方が効果的です。