むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 「第3波に備える」という講演を聞きました

    夕方、診療後にオンラインセミナーに参加しました。COVID-19(新コロ)の話題です。演者は大阪の羽曳野病院の先生。この病院は日本でも屈指の呼吸器の病院です。もちろん、重症の新コロ患者さんがたくさん集まっています。これまでの治療経験について豊富な実績を聞かせてただきました。やはり実際現場で見ている人の話は生きています。集学的治療でかなり治療成績も上がっているようで、ホッとしました。入院患者さんにイソジンうがいをしてもらっているというのは、このネタを大阪の吉村知事に教えた情報源の病院なのでご愛嬌でした。今回の講演では第3波に備えるという話でした。つまり、現在の第2波は収束に向かい、冬に第3波が来るだろうという予想です。私の読みと全く同じでした。

    今回の講演で誰もにとって最も大切なことは唯一つ。自分の目、鼻、口を触る前にかならず手を洗う(消毒する)こと!これに尽きるそうです。環境の消毒(テーブルやドアノブなどを消毒すること)よりも遥かに重要です。うっかり危険な行為のナンバーワンは携帯を触りながら食事をすることだそうです。携帯などの物質に付着したウイルスは2日ほど生きているとのこと。その携帯を触ること自体は問題ないのですが、触った手を口に持っていくことが危険なのです。幸い日本人はものを食べる時、箸を使うので案外リスクは小さいと思われます。外国ではパンを手でちぎったり、ハンバーガーなどを手で掴んで食べます。インドではカレーをスプーンを使わず手で食べます。このような習慣が感染リスクを増大させているのかもしれません。

    タバコを吸う人も手を口に持っていきます。アレルギー性鼻炎の人は鼻や目をよく触ります。このようなうっかりの行為が最も危ないわけです。触らないようにするためにメガネやマスクは役に立ちます。つまり、マスクの性能がどうこう言う前に目鼻口を触らない工夫をすること。それに尽きます。

  • 夏風邪に麻黄湯は使いません!

    レジ袋が完全有料化されてからは、家のゴミ箱にセットしていたビニール袋がなくなり、とても困っています。仕方ないので、ゴミ袋になりそうなビニール袋を買ったりしています。これでは結局プラスチックゴミの削減にはなりません。また、各人が持ち歩いている買い物袋が、野菜くずや肉などのパックから漏れた汁で不潔になっている場合も多く、衛生面や感染対策などを考えるとプラスチックバッグのほうが良かったと言われています。そんななか、ネットで見た情報ですが、千葉のイオンでは市指定のゴミ袋を一枚8円でばら売りしてレジで売ってくれるそうです。そうすると、その市指定のゴミ袋に買ったものを入れて帰れば、そのままゴミ袋として再利用できるというわけです。イオンすごい!頭いい!

    ところで、最近2例たて続けにあった話です。風邪を引いて薬局に行き麻黄湯を買って飲みました、という話です。今の季節、わたしたち漢方のプロは絶対に麻黄湯は使いません。病状が悪化するからです!夏風邪に麻黄湯は99%効かない(むしろ害がある)と思ったほうがいいでしょう。麻黄湯というのは体を温めて発汗させることで風邪の邪(じゃ)を体外に追い出す処方です。鳥肌が立つほど寒気がして、厚着をして暖房にあたっても震えが止まらないような場合にのみ使います。夏用の漢方の風邪薬として、中国には銀翹散とか天津感冒片という処方があり、日本でも漢方専門の薬局では手に入りますが、病院の処方薬にはありません。そこで私が代用するのは小柴胡湯加桔梗石膏です。夏はほとんどこの処方です。新コロに対して中国ではこの処方を応用して非常に有効だったと報告されているので、更に心強いです。

    ところで9月9日は重陽の節句です。3月3日、5月5日、7月7日と奇数が重なる日はめでたい節句ですが、なかでも9という数字は最強の数字です。その9が2つ重なる9月9日は最も縁起の良い日です。菊の花をお酒に浮かべて祝うのですが漢方には菊花(きっか)という風邪に効く生薬があります。花の蜜がほのかに甘い処方です。刺身の上に飾られている菊も同じく食用菊です。抗菌作用があるので刺し身に添えてあるのです。

    ドラゴンキッチンの駐車場にて、見たことない真っ直ぐ伸びたススキ?

  • 台風を怖がりすぎるのは不安障害

    幸い台風9号はたいした被害もなく済みそうです。ほっと一息です。しかし、今回は次の10号の予行練習です。今度の日曜にはさらに強力な台風が九州を直撃するかもしれないとのことです。今後、水温の高い東シナ海で台風は勢力を増して、場合によっては伊勢湾台風なみの気圧(920hPaくらい)に成長する可能性があると言っていました。目が離せません。

    台風接近で頭痛がする人、喘息が出る人など、気象に敏感な体質の人がいます。気圧の変化に体が反応するわけです。漢方では五苓散、苓桂朮甘湯などを用います。もう一つ台風絡みで当院にかかっておられる疾患に、台風恐怖症というのがあります。恐怖症というのは不思議なもので、人によって歯医者さんが怖いとか、狭いところが怖いとか、モールみたいに人混みが怖いとか、運転で渋滞にはまったり、トンネルが怖いなどなどいろいろな場合があります。その仲間で、とにかく台風が怖い、雷が怖いという人がおられます。ずっと台風の進路が気になって携帯の気象情報から目が離せない人。仕事にならないどころか、夜も眠れないほど恐怖を覚えるようです。

    こういう恐怖症は不安障害という疾患に分類します。頭のセロトニンという物質が不足したために起こると考えられています。SSRIという薬はセロトニンを増やしてこのような不安障害を治します。また、セロトニンが不足しやすい体質の方は、セロトニンの材料となるタンパク質(肉や魚、卵など)を人一倍食べること、タンパク質からセロトニンへ代謝する際に必要な鉄、ビタミンB6,ナイアシンなどをしっかりとっておくことが必要です。これらビタミン類はサプリでとる方が十分量とれるので間違い無いと思います。

     

  • 軽い風邪ぐらいでは受診しないほうがよい

    日曜日、またもすごい雷雨でしたね。朝はいい天気だったので、あまりに突然降り出し、外出していた方は相当濡れたのではないでしょうか?そういう私は地域医療センターの出動協力医として仕事でした。いつもだと日曜は20人くらい診察しますが、今日はその半分にも満たない感じでした。小児科もいつもはごった返しているのに最近は患者さんもまばらです。こんなに受診びかえされているんだと、驚きです。また、看護師さんたちはみんなプロテクターのゴーグル着用しています。熱がある人は診察室も50m以上離れた奥の小部屋に隔離され、診察室とその小部屋とがiPadでつながっていてテレビ電話みたいに診察する仕組みになっていました。こんな面倒なことをしていたら、冬には患者さんが渋滞してとんでもないことになると思います。

    また、医療センターの外来の電子カルテ用のパソコンのキーボードは透明のビニール袋に入れられており、そのビニール越しに入力しないといけないらしい。全症例頑張って打ちましたが、こんなの意味があるのかと思います。なぜなら、よく触るマウスはカバーされていなかったからです。患者さんはコロナ怖い!はやくPCRをやってくれ、みたいな感じできていますが、地域医療センターでPCRはやっていません。診察でも、患者さんには触りません。喉をちらっと見て終わりです。接触しない、会話も最小限。一人あたりにかかる診察は1分足らずです。解熱剤などをもって帰ってもらい、あとは自宅にこもってもらうだけです。診断は風邪でもコロナでも関係ありません。ほとんどは軽症で自然と治るし、インフルエンザのような特効薬もないからです。

    そもそも、風邪ぐらいで病院にかかるのが間違っています。肺炎なら別ですが、熱が出た、のどが痛い、咳が出る、といった程度なら、市販の葛根湯でものんで寝ていればいいのです。コロナであっても同じです。やたら、解熱剤や抗生剤を使うと、そのぶん免疫が弱り、何もいいことはありません。しかし、よく考えると、風邪ぐらいでは病院にかからないアメリカやヨーロッパでは新コロが猛威を奮ったのに対し、ちょっとしたことで病院にかかる日本では10分の1以下で済んでいるのは、皮肉にもみんな病院でお互いの風邪をうつし合うことで免疫をつけていたのかもしれません。

  • 衛生対策は科学的根拠をもってしよう

    私は仕事の関係で毎週1回は銀行に行きます。お釣りの小銭を用意するため、源泉徴収した所得税を収めるため、帳簿を管理するため通帳記載したり、いろいろ忙しいのです。振り込みなどはオンラインバンキングでできるので、それは助かっているのですが、オンラインでできない事が多すぎます。しかも、ほとんどが税金関係(国がいかにデジタル化が遅れているかということです)。いい加減クレジットカードか何かで収めさせてほしいです。その、行きたくない銀行に渋々行くのですが、今日はなんと検温コーナーを通らないと中に入れなくなっていました。

    しかし、不思議なことに、ATMに並んでいる人たちは検温なし。銀行を見渡すと、一番人が混み合っているのはATMの列です。そして、ATMの操作パネル(画面)を不特定多数の人たちがベタベタと手で触っています。ここを衛生的に管理せず、窓口に行く人の体温だけ測ってなんになる?対応が間違っています。

    医療のプロは、1処置1消毒を徹底します。例えば採血するときは、採血の準備をする段階で一度手指消毒(または手洗い)をします。そして、採血が終わったらもう一度消毒(または手洗い)します。処置の前後で手をきれいにするのはアタリマエのことです。処置前の手指消毒は患者さんにうつさないため、そして、処置後の消毒は自分にうつさないためです。この常識を考えれば、ATMを操作する直前に手指消毒、操作後にもう一度消毒というのが最も効果的です。このような医学的にアタリマエのことができず、無駄な検温に職員を一人使うのはなんとももったいない。こういう衛生対策は科学的根拠をもって動くべきです。