むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • アロマセラピー

    統合医療学会に行ってきました。今回のテーマはアロマでした。アロマは知っているし、自分でも精油をいくつか持っていて、適当に楽しんでいましたが、学問としてのアロマは全然知りませんでした。医学としてアロマを研究しているアロマセラピー学会や専門誌などもあるそうです。

    そういう中で、興味を持ったのが、嗅覚異常は認知症の早期発見につながるという話です。鼻にある匂いを感じる神経は脳に直結しています。なかでも嗅覚は最も原始的な感覚で、食べられるものかどうか、いいものか悪いものかというのを嗅ぎ分けることが太古から必要とされていたものです。記憶に関与する海馬という脳と密接に関わっているそうです。そこで、アルツハイマーなど脳の海馬が萎縮する病気は同時に嗅覚低下とも関連しているそうなのです。面白いのは、そういう脳の障害を嗅覚刺激で治療できるという話です。

    精神科ではモノアミン仮説というのがあり、脳の中のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが不安、やる気、満足などと関連していると考えられていますが、アロマの香り刺激でドーパミンを増やすもの、セロトニンを増やすもの、といったデータがあるそうです。そうすると、香りを選ぶことで不安ややる気の治療ができるわけです。認知機能もラベンダーやティーツリーの香りで改善するというデータでした。面白かったので、もう少し勉強してみようかと思います。

    桜十字病院の駐車場にある薬局です。

  • 人生の最期をプロデュース

    私達訪問診療をしているドクターは人生の最期をプロデュースするのも大事な仕事だと思います。日頃は1日1日を快適に健やかに過ごせるように、訪問するたびに何かしてあげられることはないかと考えます。その一方で、高齢で次第に体力が落ちたり、病気が進行したりすると、治療して治らないような状態になります。そういう時は、治療の方向から緩和の方向へと大きく舵を切って行きます。

    例えば進行した癌が見つかった場合、80歳も過ぎていれば治療をしてもしなくても予後に大差はありません。むしろ手術や抗がん剤の方が命を縮めると思われます。しかしそれだけではありません。だんだん食事が入らなくなって痩せてきたり、貧血が進んで意識も朦朧としてくると、死の恐怖と痛みや苦しみから解放されます。次第に枯れるように静かに亡くなっていきます。それを、貧血があるから輸血するとか、食事が入らないからIVH(中心静脈栄養)をするとか、見かけ上の体力回復を図ると、意識がしっかりしてくるので、はたから見ると元気になってよかったよかった、となりますが、当の本人は病気の痛みや苦しみ、恐怖と戦わなくてはいけなくなります。

    戦前の様子を描いたのドラマなどを見ると、家でお年寄りが亡くなる時は子や孫に囲まれて荘厳な最期を迎えますが、今は点滴や酸素マスクにつながって大変な最期を迎えることが多いものです。昔のように点滴や酸素に繋がれずに家族に囲まれて静かに最期を迎えることのできる訪問診療は素晴らしいと思います。ただ、家族が最後の最後にやっぱり救急車を呼んで救急病院に行きます、と言われることがあるのが現状です。自分ならどのような最期にしたいかをよく考えて身内にもベストな選択をしてほしいと思います。

    当院駐車場にて。

  • 多職種連携会議

    熊本市東区の医療福祉関係の多職種連携の会に参加しました。東区だけでも本当にたくさんの医療介護関係の施設があります。いつも前を通って看板だけは知っているところとかありますが、何をしているのか、そこでどんなサービスが受けられるのか、そのサービスを受けるにはどんな条件があるのか、興味は尽きません。そして、そういった施設の責任者達が一斉に集まって自己紹介をしたり、フリートーク、質問の時間などがあり、とても充実した会になりました。

    例えば訪問看護や訪問リハなどのサービスは、私たちクリニックから指示書という書類を書いて初めて受けることができます。しかし、見たことも聞いたこともない訪問看護ステーションなどから手紙一枚で患者さんの指示書を書いてくれと言われてもそう気軽にかけるものでもありません。そこで、今回のような連携の会でお互いの顔を知り、人となりを理解した上で指示書を書いてほしいと言われれば、こちらの気持ちもだいぶ違います。業務がスムーズに運びます。

    また、例えば高齢の患者さんが老老介護をしていて、夫婦のどちらかが入院となった際に残った配偶者を一時的に預かってくれる施設は誰に相談したらいいかとか、そういう実務的な悩みは毎日つきません。介護福祉系のサービスはあるのですが、仕組みが難しくて私達でも良くわからないことばかりです。そこで、知らないと言っては患者さんに不利益になるので、やはり誰に相談したらいいかだけでも知っていることが大切だと思います。

  • 夏は血圧の下がりすぎに注意

    暖かくなって、皆さん随分血圧管理が良くなってきました。やはり冬に比べると、春から夏にかけては血圧が安定する人が多いようです。一方、気になるのは下がりすぎです。冬飲んでいる薬を夏の間も飲み続けると下がりすぎることがあります。上の血圧が100を切ったり、ふらつきなどの症状が出る場合には、薬を軽くしたほうがいいかもしれません。

    高血圧の薬として利尿剤が入っている場合があります。なかには、合剤で利尿剤成分を含む薬剤もあります。このような場合、特に夏場は注意が必要です。なぜなら、夏は何もしなくても汗をかくことで脱水になりやすいからです。利尿剤で体から塩分を抜いて血圧を下げているのに、脱水予防にミネラルウォーターを飲むならプラマイで効果が打ち消されてしまいます。最初から脱水予防に夏場の利尿剤は加減した方がいいと思います。

    そう思って私はたいていの患者さんで今ぐらいの季節に内服薬を見直すのですが、利尿剤は結構難しいです。夏場の脱水予防と思って利尿剤を中止すると、途端に足がむくんでくる患者さんがいます。日頃から利尿剤で尿を出しているので、薬を飲まないと尿量が一気に減ってしまうのです。やはり理論的には夏場の脱水を予防するため利尿剤を減らす、と思っていても、実行する際は慎重にした方がいいようです。

    (有料老人ホーム)ホスピタルメント桜十字の玄関のローズタワーです

  • ビタミンDの効能

    「みんなの家庭の医学」という番組があります。火曜の夜です。とても興味深い内容でした。骨を強くすることで知られるビタミンDが運動機能を高めるだけでなく認知機能も高めるという話でした。それが本当なら、画期的な話です。これからの高齢社会でとても有用なビタミンであろうと思われます。

    一方、このような番組にはトリックがあるので、それを十分検証するまでは安易に飛びついてはいけません。例えば、血液中のビタミンDレベルと認知機能や運動機能に因果関係が認められたというのは事実で、これを見るとビタミンDが運動機能と認知機能に関係しているだろうということはわかります。しかし、認知機能が低下した人がビタミンDをたくさんとれば認知機能が改善するというデータはまだありません。昔からビタミンDは高齢者に骨折予防として処方していましたが、そういう人たちに認知症が改善したという事実は未だ聞いたことがありません。

    もう一つ気をつけないといけないのは、人工的に作ったビタミンDを摂取するのと干し椎茸のような食材からビタミンDを取るのとは同じではないという点です。サプリの会社はいかにサプリメントにはたくさんのビタミンが含まれるか、例えばカプセル1個にしいたけ何十個分のビタミンDが含まれるというかもしれませんが、それが優れているという証拠はありません。別の研究ですがβカロチンが体にいいということでβカロチンのサプリをたくさん飲ませたら肺がんが有意に「増加」して研究がストップされたという事実もあります。早とちりせず、まずは干しいたけ、適度な日光浴程度のビタミンD摂取を心がけるくらいでいいと思います。ちなみに私は干し椎茸を毎日1個食べています。安い椎茸をベランダに3日ほど並べておくと今の季節簡単に干し椎茸ができますよ。

    熊本市動植物園の駐車場の花壇にて