むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ビタミンDの効能

    「みんなの家庭の医学」という番組があります。火曜の夜です。とても興味深い内容でした。骨を強くすることで知られるビタミンDが運動機能を高めるだけでなく認知機能も高めるという話でした。それが本当なら、画期的な話です。これからの高齢社会でとても有用なビタミンであろうと思われます。

    一方、このような番組にはトリックがあるので、それを十分検証するまでは安易に飛びついてはいけません。例えば、血液中のビタミンDレベルと認知機能や運動機能に因果関係が認められたというのは事実で、これを見るとビタミンDが運動機能と認知機能に関係しているだろうということはわかります。しかし、認知機能が低下した人がビタミンDをたくさんとれば認知機能が改善するというデータはまだありません。昔からビタミンDは高齢者に骨折予防として処方していましたが、そういう人たちに認知症が改善したという事実は未だ聞いたことがありません。

    もう一つ気をつけないといけないのは、人工的に作ったビタミンDを摂取するのと干し椎茸のような食材からビタミンDを取るのとは同じではないという点です。サプリの会社はいかにサプリメントにはたくさんのビタミンが含まれるか、例えばカプセル1個にしいたけ何十個分のビタミンDが含まれるというかもしれませんが、それが優れているという証拠はありません。別の研究ですがβカロチンが体にいいということでβカロチンのサプリをたくさん飲ませたら肺がんが有意に「増加」して研究がストップされたという事実もあります。早とちりせず、まずは干しいたけ、適度な日光浴程度のビタミンD摂取を心がけるくらいでいいと思います。ちなみに私は干し椎茸を毎日1個食べています。安い椎茸をベランダに3日ほど並べておくと今の季節簡単に干し椎茸ができますよ。

    熊本市動植物園の駐車場の花壇にて