むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 講演のプロ=鴨頭嘉人

    木曜日、仕事の後に高血圧ガイドライン2019の解説の講演があると聞いて、参加しました。来ていたのは循環器を専門とする人たちです。私は、以前は高血圧ガイドラインをきちんと読んでいましたが、このところ読む気がしません。なぜかというと、改定のたびに血圧管理目標がコロコロ変わるのです。もっと下げましょうと言ったかと思うと、次の版では下げすぎに注意、みたいにまるで違うことが書いてあるのです。本来、ガイドラインというのは治療の大筋間違っていないことを書くべきで、改定のたびに違う目標が設定されるのなら、未完成もいいところです。真面目に従う意味はありません。とはいえ、改定されたポイントを知っておくのは専門家として必要なので、講演を聞きに行ったわけです。

    結果、やはり大した内容でもなく、時間は無駄でした。私は漢方関係で講演を頼まれることがあるのですが、いつもせっかく貴重な時間をさいて聞いてもらうからには、なにか有益な情報を盛り込まないと、と必死でスライドを作ります。自分では、大学にいた頃から講演職人だと自負していました。ところが、最近は忙しすぎて年間で講演を引き受けるのはわずか2−3回です。

    きのう、YouTubeを見ていたら、番組の途中でCMが入りました。いつもくだらないCMばかりなので3秒で広告をスキップのボタンを押しますが、驚いたことに、割り込んできたCMが面白すぎて、それまで見ていた番組を忘れてCMを最後まで見て、チャンネル登録までしてしまいました。そのすごいコンテンツが、鴨頭(かもがしら)という人の講演です。迫力と内容の面白さに見入ってしまいました。元マクドナルド店長という肩書ですが、プロの講演家です。ぜひ見てください。なにか得るところがあると思いますよ。参考まで→ https://www.youtube.com/watch?v=_5q0zZu_C_0

     

    博多駅前

  • 今度の日曜は当番医です

    12月15日(日)は休日当番医です。まだインフルエンザは大流行とはいきませんが、先週くらいからちょくちょく見られるようになってきました。どちらかというと胃腸炎のほうが多いように思います。今度の当番医(内科系)は、リストを見ると東区は当院だけのようなので、十分診療体制を整えておきたいと思います。今回は当院開院以来初めて臨床検査技師さんを臨時で雇います。当番医には採血やインフルエンザの検査などがとても多くなるので、検査専門のスタッフがいると心強いと思います。

    日本の会社はエクスパート(専門家)よりも総合職(なんでも屋さん)が重宝されます。せっかくある分野で専門知識やスキルを手に入れても、数年で配置換えや転勤となり違う職種に回されます。その結果、同じ会社に長く務めると一通りのことは何でもできるマルチな人材となります。しかし、これはアメリカなどでは全く評価されません。アメリカでは専門を究めることこそ素晴らしいことと考えられ、給料も上がります。例えば、事務職が掃除もするとか、看護師が検査技師の仕事もするというのはアメリカではありえません。そして、労働生産性はG7の中で日本は最下位となってしまっています。

    日本は労働人口の減少でどの職場も極端な人手不足です。少人数なので一人あたりに期待される仕事量は多いし、マルチタスクを強いられます。「それは私の専門でないのでできません」とは言いづらく、何でもさせられるわけです。こういった職場環境は今後も人口が減り続けるので、解消されるとは思えません。ただ、アメリカのように専門職に専門性を極めた仕事をしてもらったほうが生産性が上がることは明らかなので、できるだけスタッフの数を増やしてそれぞれの専門に専念してもらうことこそ真の働き方改革だと思っています。

  • 忘年会シーズンを漢方で乗り切る

    忘年会シーズンですね。私が大学を出た頃はまだバブルの名残で相当景気がよく、毎晩大騒ぎでした。どこの会社も経費が余りすぎて、使え使えの大合唱でした。タクシーも全くひろえない程賑わっていました。アッシー君(足代わりに呼びだして送ってくれる便利な彼氏)みたいな言葉も流行っていました。それに比べれば、今は本当におとなしくなりました。日本全国うつ病みたいな感じです。今後も急激に人口が減っていきますから、景気が良くなることは望めません。

    そうは言っても、年末です。昔ほどではなくても友人や親戚と会って会食したりお酒を飲む機会は多いと思います。そこで、そのようなときに体調を崩さないコツを書いておこうと思います。まずお酒。二日酔いの予防には黄連解毒湯と五苓散がよく効きます。予め飲んでおくとあまり酔わないので、シラフに近くて楽しく酔えないという人もいるほどです。また、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素の2つはナイアシン(ビタミンB3)が補酵素として必要です。ナイアシンのサプリも良いし、ビタミンBミックスにも含まれているものがあります。

    飲みすぎてむくんだり目が腫れるようなときは五苓散。二日酔いでムカムカしたり頭痛がするときも五苓散です。ビールやハイボールのような冷たい飲み物をとりすぎて下痢するときも五苓散。お腹が冷えて痛くなったら安中散(大正漢方胃腸薬も同じ)。食べすぎて胃もたれするときは半夏瀉心湯や黄連解毒湯が効きます。TVのCMでは飲み会で胃が不調なときに大正漢方胃腸薬と言いますが、実はこのような使い分けがあるので、うまく使ってください。

    博多駅前

  • 西洋医学を補完することがライフワーク

    月曜日は熊大の東洋医学研究会(漢方サークル)の忘年会でした。先週まで当院で実習していた学生さんもこのサークル所属なので、当院での経験をみんなに語ってくれました。あまり教える暇はなかったのですが、とても刺激になった、勉強になったとのことでした。来年もサークルメンバーが実習に来たいといってくれています。ありがたいことです。自分の子供と同じくらいの年の学生さんたちと話していて、自分が今の診療スタイルになった経緯を改めて考え直すいい機会となりました。

    私は、大学卒業後第2内科という一般内科に入局しました。専門は血液内科だったので、白血病などの重症患者さんが多いところでした。当時の最先端の抗癌剤治療などいくら頑張っても良くならないのですが、漢方を併用すると元気になってくれました。もともと漢方をしたくて医者になったのですが、最初に漢方を使う機会を得たのが第2内科でした。結局、最先端の西洋医学をもってもなおせない病態(元気が出ない、食欲が出ないなど)を漢方は治せたわけです。

    私は、漢方と西洋医学で内科系のかなりの患者さんを治せるようになったのですが、それでも治せない患者さんがいます。それが心療内科の領域です。ストレスや精神的な理由で体調不良となる場合、内科的なアプローチでは治療困難です。漢方を使うとかなりのところまで対応できるのですが、抗うつ剤には及びません。抗うつ薬を自由につかいだして、治せない患者さんは更に減りましたが、まだ治らない人がいます。それが、現代的栄養失調です。ちゃんと食べても栄養の偏りなどの問題で病気になっています。糖質を制限し、蛋白と鉄、ミネラル、ビタミンをしっかり取っていただくことで更に治せない人が減りました。このように、西洋医学をいかに補完するかが私のライフワークとなっているのだと気づきました。

    クリニックにも初霜

  • 冬はビタミンDで元気に過ごそう

    会社で嫌な上司がいるとか、残業や休日出勤が多すぎて体を壊したとか、いろんな理由で休職せざるを得ない人がいます。何ヶ月か休むことで元気になって復職する人もいますが、職場環境は前と同じなので、復帰したときは元気でもすぐにまた会社にいけなくなってしまいます。可能なら、配置換えとか違う事業所に移してもらうとか、職場環境を変えることをおすすめしています。そんな中、最近見事に転職されて元気になった方がいます。それを聞いたときはとてもうれしかったです。

    その転職というのは、農業を始めたというものです。農業は自然が相手なので、嫌な上司もいないし、お客さんに気を使うこともありません。それから、最もいいと思うのは、太陽に当たることです。陽に当たるとビタミンDが増えます。ビタミンDにはうつや睡眠を改善する働きがあります。農家の人はうつになる人が少ないと言われています。たしかにそうではないかと思います。

    秋から冬にかけて日照時間が短くなると陽に当たる時間が減るため、みんな体内のビタミンDが減ってきます。これが冬に活動性が落ちて冬眠モードになる原因です。秋ごろからうつが悪化する人がたくさんいます。そのような人は、ビタミンDをとれば元気になります。冬に風邪ばかり引く人、花粉症などアレルギー体質の人もビタミンDが足りていない事が多いので、ビタミンDをおすすめします。