むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 総合診療勉強会

    私は同級生の内科医の友人たちと定期的に総合診療の勉強会をしています。糖尿病の専門とか、腎臓の専門とかいろんなドクターが集まっているので毎回持ち回りで講義をしてもらって知識のアップデートをしています。今日は慢性腎臓病の勉強と、麻しんや風疹などの皮疹が出る感染症の勉強会の2本立てでした。こんな素晴らしい勉強会がただで参加できるなんて夢のようです。やっぱり持つべきは良き友人です。ここで得た知識は明日からの臨床に即役立つのは間違いないし、困ったときにはまたその先生に相談したらいいという安心感があります。

    私たち開業医がいちばん恐れるのは一人でクリニックをやっているために相談するドクターがいないこと、知識のアップデートができずに時代から取り残されることです。学会などに積極的に参加して勉強するのも大切ですが、忙しくてなかなか時間が取れないのが悩みです。総合診療というのはどんな病気かわからない状態から、病歴を聞いて身体所見を見て、採血やレントゲンなどの検査データを見て診断を導くそのプロセスがパズルみたいで難しくも楽しいものです。病気の診断は理詰めで考えてあらゆる可能性からいくつかの疾患に絞り込む作業ですが、実はひと目見てぱっと瞬間的に診断する直感力も必要です。そのためには内科疾患に限らず、皮膚科や小児科など幅広い知識と経験が必要です。

    来月、産婦人科の漢方勉強会で講演を頼まれました。先週からスライドの構想を練り始めたところです。参加する先生は皆さん婦人科なので、講演で話す内容は女性のいろんな症状を漢方でどう治療するか、漢方的にはどう考えたらいいのかという話題にしようと思っています。私はこれまで中級者以上向けのはなしばかりしていたので、今回は初学者にもわかるような内容にしようと考えていますが、案外そちらのほうが話すのが難しいです。漢方の基礎理論は大きく分けて日本古来の古方と呼ばれるものと中国でまとめられた中医学の2つがあり、同じ漢方なのに診断のプロセスが全く異なります。上に書いた総合診療で言えば、理詰めで考えて診断するのが中医、直感的に診断するのが古方といった感じです。どちらでもたくさん勉強すれば行き着くところは同じだっったりしますが、初学者に説明するのは本当に難しいです。

    久木野