むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 完璧主義を捨てよう

    りんごが美味しい季節ですね。りんごを食べるとき、無意識に傷を探してはいませんか?野菜もそうです。曲がったキュウリとか、見栄えの悪いトマトなどは味が良くても規格外で出荷されません。世界的に食料が不足しているのに日本ばかり見栄えを気にして野菜や果物を廃棄しているのは大きな問題です。もともと日本人は細かいことに気を配る繊細な性格です。その性格がものづくりにいかされると、高品質で壊れない自動車などの産業へとつながります。一方、その品質管理を野菜や果物にまで適応してしまうことが問題です。言い換えれば潔癖症です。

    同じく私たちは健康状態にも完璧を求めがちです。例えば、自分の膝が痛いとか、夜睡眠薬がないと眠れないという場合、痛み止めや眠剤を使えば日常生活100点でなくても70−80点くらいにはなると思います。しかし、どうしても膝が痛いのが気になる、治らない、とそのことばかり訴えている人、睡眠薬を飲めば眠れるけどやめられない、と年じゅう訴える人、などなどあとをたちません。ある程度の歳になれば多少の傷ものになるのは当たり前です。痛いところがあっても、眠れなくても、薬の力でそれがある程度良ければ良しとし、日々の生活を楽しんでもらいたいと思います。たとえがんが見つかっても、家族と楽しい時間を過ごせたり、旅行や温泉で楽しく過ごせればその日その日を満足し、感謝しないといけません。完璧(な健康状態)でない自分を許せないでいつまでもくよくよするのは時間の無駄です。

    もっといけないのは、家族に干渉することです。自分の妻が眠剤を飲んでいることを許せず、勝手に捨てたりする人がいます。家族が多少傷ものであっても、それを受け入れることです。完璧なんてありえないと思った方がいいでしょう。傷のある自分や家族を全部受け入れてまるごと愛することが大切なのです。

    近所に咲いていました。12月のひまわり🌻

  • 水を水で制す

    昨日、たけしの健康番組を見ていたら、めまいの話をやっていました。私も2ヶ月ほど前にめまいを起こして以来、めまいの治療には興味を持って研究しています。番組で言っていたのは、毎日水を1.5L以上飲むとめまいが治るというもの。1例ですが、番組で検証した被験者の方は4日目くらいから改善していました。びっくりです。

    めまいの原因にはいくつかありますが、内耳のリンパがうっ滞して浮腫を起こしたときにめまいを起こすと言われています。浮腫が原因ですから、内耳付近は水過剰な状態なのです。そのため、耳鼻科では利尿剤を治療薬として出されます。私たち漢方専門医も水分の代謝を改善する苓桂朮甘湯や五苓散を処方します。めまいには一定の効果を発揮するので、たしかに水の問題があるのだと思います。しかし、番組では水を飲んだら治るとのこと!我々の常識からすると反対です。逆に水を飲みすぎないようにしてもらいたいと思っていました。

    結局、毎日大量の水を飲むことで腎機能は活発化して利尿が進みます。また、水分過剰になることで体はこれは大変と血管の外から血管の内側へ水分を引き込み、積極的に水分を体外に排除するようになるのだと思います。脱水気味だと、変なところ(内耳など)に溜まった水分もせっかくだから大事にとっておこうとするのかもしれません。そう考えると本当におもしろい現象です。水を水で制すということです。なお、耳石が原因で起こる良性発作性頭位めまい症はこの水を飲む方法では改善しないと思われますので、お間違いなく!

  • 嬉しい便り

    毎日嬉しい便りが続々と届きます。まずは、鉄分、プロテイン、ビタミンなど、私が指導したとおりにとっていただいた若い女性。随分健康的になり、最初当院に来た頃に比べるとかなり元気になりました。薬の処方はなくても、自分でネットや薬局からビタミンなどを買ってもらえば自己管理ができるようになりました。別の患者さんから聞いた話では、ブログを見てオメガ脂肪酸(フィッシュオイル:DHA/EPA)を認知症のお母さんに飲んでもらうようにしたら、とても表情が良くなったそうです。デイケアでも最近調子が良くなったと言われたそうです。

    もう一例は、患者さんのお子さん。私が、レシチンやホスファチジルセリンで頭の疲れがなくなったと何度も書きましたが、それを読んで受験生のお子さんに飲ませたら、勉強がはかどるようになったそうです。みんなが飲んだら競争になりませんから、ここで読んだ人だけの秘密ですよ!このように、若い女性の体調不良とか、認知症などは保険の範囲内であれこれやって難しい場合、保険の枠を超えてサプリなども試してみるといいと思います。逆に言うと、保険でできる医療には限界がありますが、その外側には無限の治療の可能性が広がっています。

    保険外ですから、病院で処方はできませんが、何をどこで手に入れたらいいかはブログにも書いていますし、外来で聞いていただければ直接お教えします。日本製のサプリや健康食品はやたら値段が高いのでおすすめしません。高いのに中身(含有量)が少なすぎます。おすすめはアメリカ製です。アメリカは医療アクセスが悪く、保険もないためにサプリなどを用いた自己管理が徹底しています。高品質のサプリが安く手に入ります。iHerbで簡単に手に入ります。

     

     

  • 今週は学生実習が来ています

    今週は医学部の学生さんが実習に来ています。私の診察について勉強していますが、話をしにくい時は遠慮なくいってください。特に心療内科のご相談の場合、人が多いと話をしにくいということはあるかと思いますので、その点は配慮します。医学部の3年生で座学から臨床実習への準備段階として実際の医師の働く姿を体験してもらうのが目的です。将来の無限の可能性を秘めています。しっかり体験して勉強のモチベーションにしてもらえたらと思います。

    この学生さんは医学部の東洋医学研究会という私が作った漢方の勉強サークルに所属しており、当院での漢方治療の実際を見たいというのが応募の理由でした。もちろん、そういう希望を持った学生さんには優先的に来ていただきたいと思い、即諾しました。外来診察を見学してもらってわかったのは、忙しすぎてほとんど解説する暇がないことです。パッと見てパッと処方を決める。漢方には弁証論治という理論的背景があるのですが、そのあたりを踏まえつつ経験と勘で素早く処方を決めるので、見ていてよくわからないかもしれません。

    私たちのように漢方をはじめて30年近いと、鍵職人が合鍵をパッと選んでくれるように、その人に最も適した処方を一瞬で決めます。もちろん理論もあるのですが、説明し難い感覚的なものでこの人にはこの薬が合う!と感じるので決めていきます。膨大な勉強と経験に基づいた勘ですから当てずっぽうではないのですが、学生さんに説明するのは難しいと感じます。

    味噌天神

  • 病院は癒やしを与える空間でありたい

    日曜は熊本大学病院で東洋医学会熊本県部会でした。私が会長なので準備が大変でしたが、無事に終わることができました。学会の経営難のため、超低予算の学会でした。協力いただいた皆様には感謝です。漢方薬で助かっている人は相当います。更年期、不妊、冷え性、自律神経失調、慢性疲労などなど西洋薬だけで十分対処できない分野に役立っています。それなのに、厚労省は湿布やビタミン剤などと同じように保険から外そうとこれまで何度もしてきました。いくら国の保険が破綻しそうだとはいえ、漢方はそんなに国の予算を食っている分野ではありません。漢方すべての保険請求額はコレステロール治療薬1剤分しかないと言われています。最近は、何千万もする抗がん剤とか何百万もする肝炎治療薬が保険収載となり、そういった薬が国の予算を相当食っていると思います。そのとばっちりで漢方を保険から外すような議論はまちがっています。国会議員や官僚の皆さんにもちゃんと理解していただきたいものです。

    その国会ですが、国の法案など全然審議せず、桜を見る会の招待客のことばかり延々やっています。私たちの税金を使って、こんな非生産的な議論ばかりを国会でしないでほしいと思います。よほど、法案審議が嫌なのか、目立ちたがりのパフォーマンスにはうんざりします。ちゃんと国会議員としての仕事をしない人や政党には次の選挙ではやめてもらいたいと思います。

    夕方、「坂上指原潰れない店」という番組を見ていたら、潰れそうな居酒屋を立て直す企画があっていました。アドバイザーは「富士そば」の会長さんです。居酒屋は癒やしを与える空間であること、お客さんをいつも笑顔で迎えること、いつもお客さんの立場で考えること、いつもお客さんを笑顔で見送ること、と言っていました。同じことは病院経営にも通じると感じました。

    久木野 ホギホギ神社(宝くじの神様)