むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • いいストレス発散法は?

    だれしもストレスとは切り離せない毎日です。ストレスがたまったら何らかの体調に変化が出てきます。血圧が上がったり頭痛がしたりめまいがしたり動悸がしたり喉がつかえたり眠れなくなったり。とりあえず検査をしてほしいと言って来院される方が毎日大勢おられますが、大抵は検査では何も異常がなく、なにかストレスか何かないですか?と聞くと、思い当たることがちらほら出てきます。夫のこと、義理の両親のこと、親の介護のこと、子どもの受験のことなどなど皆さんそれぞれに悩みがあります。

    そのたまったストレスを解消するため、お酒に走る人、甘いものに走る人、友達に電話して憂さ晴らしする人、などなどこちらも百人百様です。でも、これがストレスで体調を壊す以上に危険!お酒で肝臓をやられたり、太ったり、糖尿病や高脂血症が悪化したり。これでは、ストレスで体調を壊し、ストレス解消で更に体を壊し、ダブルパンチです。ではどうすればいいか。健康的にストレス発散するなら運動でしょう。ウォーキングや筋トレもいいですが、スポーツジムに行くと、ヨガやエアロビ、ズンバなど、インストラクターといっしょに楽しく運動できるプログラムが1日中あります。私の行っているジムには温泉も併設されているので、こちらもストレス発散には最高です。とくにサウナでは熱くて何も考えられないのでストレスもどこかに飛んでいきます。

    ストレスを受けやすい人は、体質もあります。不思議と親子でうつ病という人もいます。食事をおろそかにして、タンパク質、鉄、ビタミンなどの摂取が足りないためにストレスをうけやすくなっている人もいます。例えば産後まもないお母さん。生まれたばかりの子どもの世話に24時間追われて、ごはんどころでない。夫や子供にはご飯を作って自分は余り物をつまむだけ、という人も結構います。会社でも忙しすぎておにぎりとか菓子パンで食事を済ます人などは次第にストレスに耐えられない体になります。食事、栄養、睡眠には注意して、ストレスを貯めないようにしましょう。

  • 頚椎症には首の指圧

    手がしびれるという訴えで来院された場合、しびれる範囲がどこからどこまでか、動きに問題はないのかと細かに症状を確かめます。それだけでだいたい怪しい病変が推測できます。一番多いのは頚椎症です。よく聞くとむかしむち打ちになったことがあるとか、スマホ首で整形にかかってストレートネックを指摘されたとか、頚椎関係のトラブルの既往が出てきます。そのようなときは患者さんの首の筋肉を触ってみます。すると、たいてい耳の下の少し後ろあたりに筋肉がカチカチに凝っているところが見つかります。そこを斜め45度方向に指圧すると、患者さんは「効くー」といい、数秒後にはしびれが治ったと言われます。実は私も1日中パソコン(電子カルテ)を見ながら作業しているので首から腕にかけてしびれが出ることがあり、自分で首の指圧をやっているうちに治す方法を発見したのです。

    このような治療法をセルフ整体と言いますが、私がセルフ整体に興味を持ったのは10年ぐらい前にたまたま書店で見つけた整体の本を見て、外来で患者さんに自分で簡単な運動(ストレッチや操体法)とか指圧の方法を教えて見たところ、とても効果的だったところから始まります。当院でも鍼治療をしていますが、鍼の効果は2−3日しかもたないので、できれば患者さん自身に方法を覚えてもらい、ツボ押しなどをやってもらったほうが治療効果がいいと思ったのです。

    当時、手がしびれる患者さんに指導していたのは首にタオルを掛けて前方向にじわーと引っ張る運動です。これでストレートネックを矯正することができるのでしびれが取れます。治す方法を教えても、やってくれるかどうかはその患者さん次第です。そこで、タオルなどの小道具を使わず私の指圧でちょちょっと指圧して治してあげると、患者さんはびっくりして、これなら自分でもできそうだと思ってやってくれるわけです。指圧でいったん治しても、日頃の生活習慣(悪習)により症状は再発するので、また同じ治療を自分でやったらいいわけです。指圧やセルフ整体を何度もやっていると、だんだん骨格が矯正されてきて治癒するので、やったもの勝ち続けたもの勝ちです。

    春ですねー

  • コロナ後遺症の頭痛を治す

    最近またコロナ後遺症の患者さんが増えてきました。コロナは報道によると第10波がピークアウトしたのではないかと言っていますが、これくらい時間がたつと第何波かは関係ないです。誰も興味ないと思います。ただ、感染が増えるとその後しばらくして後遺症の患者さんで当院が忙しくなります。一番多いのは倦怠感と長引く咳なのですが、案外患者さんが困って来院されるのが頭痛です。普通、頭痛は鎮痛剤(頭痛薬)が効くはずですが、不思議とコロナ後遺症の頭痛は鎮痛剤があまり効かないみたいです。その理由を考えると、コロナの場合、全身で炎症を起こす特徴があるため、おそらく頭でも炎症を起こしていると思われます。大げさに言えば無菌性髄膜炎みたいな病態です。そう考えると、炎症を抑える抗炎症剤でないと頭痛が取れないのだろうと思っています。

    私がこの仮説を思い立ったのは20年ぐらい前の話です。当時は当然新型コロナのことなどまったく予想もしていなかったわけですが、私がテキサス大学に留学したとき日本人会の先生があちらでの生活の立ち上げを手伝ってくれた際に、テキサスでひどい高熱と頭痛を来す風邪にかかったとき日本から持っていった薬が全然効かずに病院でこの薬をもらっで飲んだらすごく効いた、といってわけてくれた薬があったのです。そのときは「あ、どうもありがとうございます」と言ったもののその薬のことはあまり気にかけていませんでした。何ヶ月かたち、あちらでの生活にも慣れてきた頃、私の妻が高熱を出して寝込んでしまいました。日本からいろいろ持っていった薬を使っても全然熱は下がらず頭痛もひどい。ふと思い出して前にもらった薬を使ってみたらすごく効きました。なるほど、住むエリアが違うと病気も違うし、治療法も違うんだとつくづく考えさせられた経験でした。

    これがコロナだったかはわかりませんが、今思い出すと新型コロナににた病状でした。それを覚えていたので、今回のコロナ後遺症の頭痛の治療には抗炎症剤が必要だと思い至ったわけです。当院では相当数の患者さんにその治療をしていますが、後で聞いたら頭痛はとれたと皆言われているので、結構自信を持って処方しています。ただ、保険の適応外使用になるので、詳細はここには書かないでおきます。

    イオンで見つけたこんにゃく麺で作った辛ラーメン風。1食たったの72カロリー!最高!

  • めまいの患者さんが増えてます

    短い2月はあっという間に過ぎ3月になりました。たしか2月は逃げる、3月は去るといいますね。年度末で確定申告もあるし、会社によっては決算もあるし、急に転勤が決まったという人もいます。先週は大学入試、今日は公立高校の卒業式でした。慌ただしい日々です。その影響なのか、クリニックは若干暇でした。ただ、暑かったり寒かったり季節の変わり目で体調がすぐれない人も多いし、花粉症が本格的に始まってきつくなってきた人もいます。

    なかでも、今日目立ったのがめまいの患者さんです。朝起きようとしたらグラグラっとめまいがした、みたいな感じです。通常寝返りで起こるめまいは良性発作性頭位めまいといい、内耳の三半規管に耳石がひっかかったときに起こります。少し気持ち悪いのを我慢してそのまま右、左と寝返りすると引っかかっていた耳石が外れて、うまくいくとそれだけで治ります。正しいめまい体操の仕方はYouTubeで「Epley法」と検索してみてください。簡単ですので、すぐに真似できます。

    ただ、この時期暑さ寒さで起こるめまいは自律神経の症状ではないかと思います。平衡感覚を司る内耳の血流が不安定になるのかもしれません。病院ではめまいの治療でメイロンという注射や吐き気止めを点滴したりして、あとは苓桂朮甘湯や五苓散などの漢方を処方します。他にもめまいやフラつきの原因はいろいろあり、場合によっては頭のCTやMRI検査をおすすめします。転んで頭を打って、1ヶ月以上たって転倒したのもわすれた頃にふらつきが出てくることがあります。慢性硬膜下血腫といいます。脳外科で血腫を除去するとふらつきが治りますが、最近は軽症の場合は五苓散で治療するのが流行っています。

  • お腹が張る病態はいろいろ

    今日は2月29日でうるう日でしたね。4年に一度の稀な日。なぜか外来に来た患者さんはいつもの半分ぐらいでのんびりできた奇跡のような一日でした。このところ、いろんな講演を頼まれており、スライドの準備が全然進んでいなかったので、重い腰を上げて診療の合間に作り始めました。60分の講演だと50−60枚程度のスライドを作るのですが、それにかかる時間はその10倍くらい必要です。つまり講演を組み立てるには10時間ぐらいの労力が必要となります。膨大な資料を読んで、自分の考えていることに間違いがないかを下調べします。そうでないと、嘘を教えてしまうと視聴する皆さんにとって不利益となるからです。

    資料を読んでいて結構長い文章だったので、ふと思い立って、ChatGPTに「この文章を要約してください」とたのんだら、すごく短いサマリーを書いてくれました。短すぎてちょっと物足らなかったので、「もう少し詳しい要約に書き直し。箇条書きにまとめて」とオーダーしたら、あっという間に箇条書きのまとめができてきました。念の為、内容に誤りがないか再確認して、少し手直ししたらそのままスライドにできました!これは相当な時短になりました。それにしても、人工知能(AI)は文章の流れをきちんと理解しているとしか考えられません。要約する前の文章であいまいなところがあったのを、正確な言葉に置き換えて要約してくれていました。凄すぎます。

    今日スライドを作ったテーマは「”お腹が張る”を治す」です。お腹の不調はいろんな原因があります。急性なら胃腸炎の可能性が高いですが、慢性だと詳細に検討する必要があります。ストレス性の場合もあり、食生活が悪い場合もあり、腸内細菌の問題もあり、消化管カンジダの場合もあり、術後のイレウスとかがんが潜んでいる可能性もあります。そういったいろいろな可能性を考えながら検査を勧めたり治療法を考えたりするわけです。当院では漢方をよく使いますが、それだけでは太刀打ちできないこともあり、使える手は何でも使って治すのが私流です。