むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 現代の栄養失調

    夕方テレビを見ていたら、出演していたタレントさんたちの一日の食生活は本当にひどいものでした。超高カロリーの食事ばかり食べていたり、炭水化物とスイーツしか食べていなかったり、びっくりします。現代の栄養失調とは、一日の摂取カロリーは必要量に足りている(むしろオーバーしている)のに、体が必要とするビタミンやミネラルなどは全然足りていないというものです。肉や野菜が絶対的に不足しています。

    多くの人が陥りやすいのが炭水化物過剰です。日本人はコメ中心の食生活なので仕方ありませんが、ご飯を食べて、おかずをちょっと食べて、あとはスイーツ。これではカロリーしかとれません。以前、ダイエット番組を見ていたら、ラーメンを食べるならチャーシューをかならず食べること、と言っていました。豚肉に含まれるビタミンB1などが炭水化物の代謝に大切で、それがないと食べたカロリーが上手に燃えないそうです。

    私は、栄養学に興味がありいつもそのことばかり考えています。毎日の食事もカロリーや炭水化物の割合、野菜の摂取量など気をつけているのですが、もしかしてそれでもビタミンなどが足りていないかもしれないと思って、DHCのビタミンBミックス(B1、2、6、12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)を買って飲んで見ました。すると、驚いたことに、全く二日酔いしなくなりました。最近お酒が翌日に残ると思ったのは歳のせいではなく、ビタミン不足だったようです。

    患者さんにいただいたケーキの飾り物です。食べられません。精巧にできています。

  • 糖尿病の治療

    土曜日は糖尿病の新しい治療法についての勉強会が福岡であったので行ってきました。糖尿病の治療薬は長年進歩がなかったのですが、この数年急速に新薬の開発が進んでいます。以前ではインスリンの導入しかないような状況でも、今なら内服薬でかなりのところまで治療できるようになっています。糖尿病の治療といえば、血糖を下げて正常化することだと思われるかもしれませんが、それは100%正解ではありません。

    正解は糖尿病の治療の目的は10年、20年後に起こるであろう合併症の予防につきます。脳梗塞、心筋梗塞、腎不全、網膜症(失明)などをいかに予防するかということです。そのために血糖をコントロールするのです。しかし、そこに、とても不思議な現象があることがわかっています。糖尿病を治療する薬剤が色々ありますが、どれを使ってもそこそこ血糖コントロールはできます。しかし、血糖をコントロールしてもその結果心筋梗塞や腎不全の発症が抑えられるかという最も大切な結果を見ると、なんと薬剤ごとに差があるのです。従来の薬剤は血糖は下がっても心筋梗塞などが減りませんが、新しい治療薬を使うと抑えられるというのです。

    こんな話を聞くと、製薬会社に騙されているような気もしますが、最も新しいSGLT2阻害剤というグループの薬剤は血中のインスリン濃度を上げずに糖を下げますので、体に負担が少なく、心不全や腎不全も減るようです。ついに糖尿病の治療がブレークスルーした感じです。

  • 効かせる漢方

    「効かせる漢方研究会」という勉強会があり、先日私も講師として講演しました。季節がら、風邪の治療をテーマに話をしました。漢方の勉強というのは私の学生時代には大学では習うことはありませんでした。私の場合、研修医になってすぐ御船の牟田先生の門下生となり、勉強しました。しかし、最近は大学で学生に漢方の授業もあり、製薬メーカーや学会主催の勉強会もたくさんあります。これだけ機会があれば、自然と漢方に対する知識は増えていくことと思います。

    しかし、実際に漢方を使ってみると、知識と実践はギャップがあってどう使ったらうまくいくのかがよくわからないと思います。なかなか実地で漢方のコツを教えてくれる先生が身近にいることはないので、試行錯誤になります。そこで今回は漢方の理論を踏まえた上で、いかに漢方を<効かせる>かをポイントに話を構成しました。例えば、風邪にに葛根湯を使おうと思っても、うまく効かせるにはコツがあります。

    ここで、皆さんにポイントだけお教えしますが、葛根湯は風邪の初期にしか使いません。せいぜい三日以内です。さむけのする場合が適応で、さむけがなかったり、体がほてっている場合は合いません。多くの場合、冬の風邪はインフルエンザも含めて葛根湯が使えると思います。飲むときは暖かいお湯にとかして飲みます。まず2袋を飲んで、しばらく様子を見て、体が温まればそれでいいですが、さむけが取れない場合もう一袋くらい飲んで暖かくして寝ます。薬を飲んでも、無理して働いていては薬も効きません。養生第一です。

  • サバで蕁麻疹

    サバをたべて当たったりする事があります。通常の食中毒のような嘔吐下痢もありますが、多くは蕁麻疹のようなかゆみや顔面紅潮などが多く見られます。なんと、先日わたしはサバを食べて、蕁麻疹が出ました。ヒスタミン中毒と言います。さばやマグロなどに多く含まれるヒスチジンというアミノ酸が細菌によってヒスタミンに変換されると、ヒスタミンを多く含む魚を食べた際にアレルギー反応を起こすのです。ヒスタミンが増えていても、腐ったような味の変化はありませんので、たべても気づかないことがほとんどです。また、ヒスタミンは熱に強く、煮ても焼いても変化しないため、十分調理してもアレルギーを起こします。

    私の場合、夕食に炙った鯖のみりん干しをたべ、夜に風呂に入っていたらむしょうに身体が痒くなってきました。寒くなると痒くなるので、そんな季節かなーと思いながら、風呂上がりに保湿クリームを塗って寝たのですが、寝ているうちに、手首、耳の周り、太ももなどあちこちがかゆくてかゆくて寝ていられなくなりました。

    すぐに夕食のサバによるヒスタミン中毒だとわかったので、深夜に家中を探して抗ヒスタミン剤を飲みました。やがて、かゆみは治まり、なんとか乗り切りました。このようにサバの食中毒は、サバに当たったというより、その中に含まれるヒスタミンに体が反応しただけなので、通常の食物アレルギーとは異なります。つまり、新鮮なら、次に食べた時に蕁麻疹が出る可能性は極めて低いということです。

  • 糖尿病とインスリン

    糖尿病といえば、血糖を下げるインスリンというホルモンが足りなくなって血糖が上がる病気という認識だろうと思います。それは正しいのですが、逆にインスリンが過剰状態なのに血糖が上がってしまった患者さんもいます。これは、インスリン感受性の低下と言って、インスリンに対して体がきちんと反応しないためにインスリンがたくさんあるにもかかわらず血糖が上がる病態です。当然、インスリンが足りない人にはインスリンを増やす治療が必要だし、インスリン過剰の人にはインスリン感受性(インスリンに対する体の反応)を改善させる薬が適しているといえます。しかし、不思議なことに、多くの場合、そこのところをきちんと診断せずに、なんとなく治療薬を選んでいる場合が多いのです。

    当院では、初診の糖尿病患者さんの場合、できるだけきちんと血中インスリン量を測定してから治療方針を立てていますが、すでに他院で治療が始まっている場合はインスリン値は薬剤で修飾されているため本来の体の状態を表していないため、あまり測定しません。近年、糖尿病治療薬は飛躍的に進歩して新薬がいろいろ出てきました。中でも一番新しく目を引くのがSGLT2阻害剤です。

    SGLT2阻害剤は血糖を尿中に捨ててしまう薬剤で、食べたカロリーの数パーセントを糖の状態で排泄します。結果、血糖値が下がるのですが、メリットがいくつもあります。糖を尿中に捨てるときに尿量も増えるため、利尿作用があり、心不全治療薬としての働きがあります。また、血中のインスリンを上げずに糖を下げてくれるので、安全です。使ってみると、血糖の下がる効果は優れています。唯一注意が必要なのは、尿路感染です。薬の作用として尿糖が出ますから、そこに細菌感染しないようにしないといけません。

    大甲橋のふもとにて