むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖尿病の治療

    土曜日は糖尿病の新しい治療法についての勉強会が福岡であったので行ってきました。糖尿病の治療薬は長年進歩がなかったのですが、この数年急速に新薬の開発が進んでいます。以前ではインスリンの導入しかないような状況でも、今なら内服薬でかなりのところまで治療できるようになっています。糖尿病の治療といえば、血糖を下げて正常化することだと思われるかもしれませんが、それは100%正解ではありません。

    正解は糖尿病の治療の目的は10年、20年後に起こるであろう合併症の予防につきます。脳梗塞、心筋梗塞、腎不全、網膜症(失明)などをいかに予防するかということです。そのために血糖をコントロールするのです。しかし、そこに、とても不思議な現象があることがわかっています。糖尿病を治療する薬剤が色々ありますが、どれを使ってもそこそこ血糖コントロールはできます。しかし、血糖をコントロールしてもその結果心筋梗塞や腎不全の発症が抑えられるかという最も大切な結果を見ると、なんと薬剤ごとに差があるのです。従来の薬剤は血糖は下がっても心筋梗塞などが減りませんが、新しい治療薬を使うと抑えられるというのです。

    こんな話を聞くと、製薬会社に騙されているような気もしますが、最も新しいSGLT2阻害剤というグループの薬剤は血中のインスリン濃度を上げずに糖を下げますので、体に負担が少なく、心不全や腎不全も減るようです。ついに糖尿病の治療がブレークスルーした感じです。