むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • あれから1年

    やはり今日はこのことを書いておこうかと思います。

    熊本地震からちょうど1年経ちました。大変でしたが、なんとかみんな頑張って今の生活を維持していることと思います。考えて見ると、ほとんど大した備えもしていなかったのに、よくみんな無事生き延びました。やはり助け合いの精神が一番大事じゃないかと思います。人はそれぞれ得意なことがあり、料理が得意だったり、大工作業が得意だったり、介護が得意だったり、いろいろあります。いざという時、商売抜きに困った人たちのために何かをしてあげられるのは私たちの喜びではないかと思います。そこに、ボランティアとか、そういう言葉をわざわざ使う必要ないと思います。

    次は南海トラフ地震がくると予想されていますが、備えるべきは食料とか、懐中電灯とか、それだけではないと思います。いざという時に助け合える近所づきあいが大事じゃないかと思います。人脈こそが命の綱です。熊本地震では、自宅の敷地内の水道管が破損して、近所は水道が復旧したにもかかわらず自分のところは水が出なかったのですが、水道局に電話しても、自宅敷地内は水道局の管轄ではないようで、どうしたものかと困っていました。そういう中、知人の紹介で水道工事業者さんと連絡が取れ、壊れた部分を直してもらうことができてとても助かりました。困った時に助け合える知り合いこそが大事だと痛感しました。しかし、人から何かしてもらうことばかりを期待してはいけません。日頃から人のために精一杯何かをしてあげて初めて自分の困った時に助けてくれる人が現れるのです。

  • 見上げれば満月

    桜が満開というのに毎日雨が続いて花見ができません。今日はやっと雨も上がり、犬の散歩をしながら夜空を見上げれば、満月です。私は小さい頃から夜空の月を見るのが好きでした。小さい頃はただ単に満月はなんて綺麗なんだろうと思っていました。そして、アメリカに留学中は、この同じ満月を日本の両親も見上げているかもしれないと遠く日本に想いを馳せつつ見上げていました。

    ウミガメは満月の夜に卵を産むとか、そのほか自然界のあらゆるものは月の周期に影響を受けています。私たち人間も例外ではないと思います。また、飛行機事故や大地震も満月や新月の日に多いことが統計的にわかっています。私はそういうことを随分前から意識していました。そしてあの熊本地震から今週末で1年となります。あの日の夜は満月ではありませんでした。なので、私としては全く予想していない夜でした。

    思い起こせば、激動の一年でした。いろんなことがありすぎて、一言では言い表せませんが今もあちこちに爪痕が残っているので夢や幻でなく現実なのです。時間しか解決してくれませんが、遅々としてあらゆるものが解決していないような気がして気が沈むことも多いと思います。しかし、気づかないうちに周りは確実に変化しています。今年も綺麗な桜が咲いたように、新しい明日に向かって進んでいます。

  • 昼休みの過ごし方

    私は昼休みにほぼ毎日往診に出かけています。片道30分くらいかかるところまで行っているので、往復するだけで1時間かかります。昼休みを12時半から2時半まで2時間取っていますが、午前の診療が昼にずれ込むと往診のスケジュールがかなりタイトになります。そんな中、たまに往診のない日があります。そうすると2時間の昼休みです。ご飯を食べても1時間はゆっくり休めます。私はこの往診のない日の昼休みにはクリニックの周りをランニングしています。

    今日は冬とは思えないほど暖かい一日でした。たまたま往診が入っていなかったので、クリニックから沼山津神社まで走り、秋津方面を回ってぐるっと約8キロのランニングをしました。沼山津神社付近は地震の被害が大きかったところで、神社も鳥居が壊れてしまって無残な姿でした。しかし今では、鳥居こそありませんが、ずいぶん元の姿に戻ってきました。復旧が進むのは嬉しいことです。わたしの犬の散歩コースの錦ケ丘付近では、セキスイハイムの家を1軒だけ残して右も左も全半壊で更地になってしまったところがあります。セキスイ恐るべしです。更地になったところは寂しいですが、すでに新しく新築の基礎工事が始まったところもたくさんあります。新しい街が生まれつつあります。新生熊本です。

    今日午後はたくさんの外来患者さんに来ていただきました。その中で、私が昼に近所をジョギングしているのを目撃したという方がおられました。また、先日は私がクリニックの前の歩道の落ち葉を掃除していたのを見たという患者さんも来られました。こうなってくると、襟を正してきちんとしておかないといけません。どこで誰に見られているかわからないです。まあ、昔から街医者というのは何十年も同じ場所にいて、相談事があるとなんでも聞いてくれて、地元のために貢献する人、という認識があると思います。そのように地元のみなさんに知っていただき、気軽に声をかけてもらえることが幸せだと感じます。

  • いよいよ建物の引渡し

    1月の霜が立つ極寒の朝に地鎮祭を行い、地盤強化工事、基礎工事、棟上げ、そして熊本地震。

    地面の下から古い建物の瓦礫が出たことから、昨年末に全部掘り起こした、その結果、地盤が少し弱くなったということで、たまたまだけどかなりお金をかけて地盤強化を行っていた。掘り起こして緩くなった地盤は何年か風雨にさらして放っておけば、また固まってくるのだが、それでは時間がかかりすぎる。そこで、最新の工法を用いて砂利を入れたり固めたり、シートで補強したりした。その上に基礎工事を行い、建物が建っている。

    おかげで地震の被害は全くなかった。ただ、これはタイミングが良かっただけで、内装工事まで済んでいたなら、多少なりとも地震の被害はあっただろうし、壁で覆われた柱の状態は外から見ただけではわからないだろう。

    今回は瓦礫を掘り出したり、地盤強化をしたりしていたため時間が予定より多くかかって、こういうタイミングで地震にあった。もし瓦礫が出なかったら、スケジュール的には1ヶ月以上早く着工し、大した地盤強化もせずに着工しただろうと思う。そう考えると、すべて、土地の中から瓦礫が出たおかげとしか言いようがない。見た目はコンクリートの塊で、瓦礫でしかないのだが、結果的には宝の山だったということになる。

    震災の影響は、建設会社の社屋にも及び、会社の人たちは急遽立ち退きを迫られた。大工さんたちも自宅がかなり被害にあったりしながらも、以前立てたクリニックの補修などに追われた。国の仮設住宅の建設にも駆り出された。当然工事は遅れた。しかしこればかりは誰のせいでもない、仕方ないこと。地震の後は梅雨の長雨でなかなか外回りの工事が進まなかった。

    そんなこんなで、ついにすべての工事が終了し、8月5日、引渡しとなる。僕らの普通の感覚では、建物を引き渡されたらそこに入居して新しい生活が始まる、ということでいいのだが、クリニックはそうはいかない。ここに病院という機能を吹き込み、患者さんをみる体勢を整えなければいけない。また、何人もの人が自分の家族を養うだけの職場としての機能や収益性も求められる。さらに、保健所と厚生局という国の管理のもと、法にのっとった仕事をしないといけない。広告も規制があるし、内装なども図面通りでなければいけない。模様替えしても保健所に届ける必要がある。

    今日から、この建物に病院としての機能を吹き込む大事な仕事が残っている。1週間以内にすべて準備して保健所の検査を受ける予定だ。

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    写真はクリニック南側に植えた生垣。左側の住宅と1mくらい段差があるので、ブロックを積むより生垣の方が地盤が強化されて崩れにくいし、危険が少ないということと、広い駐車場をアスファルトで埋め尽くしたので、少しでも緑化に貢献しないといけないという思いです。

     

  • くまもと森都総合病院年報の原稿

    くまもと森都総合病院に週1回通って漢方外来を担当しています。そこで、毎年恒例の年報を書いてくれと言われて原稿を書きました。せっかく書いたのですが、よく見たらH28年3月までの内容を書くようにと指示があり、熊本地震は4月の出来事なので、残念ながら内容がそぐわなかったのでボツにして、こちらにそのまま載せようと思います。以下、ボツ原稿です。

    <<<漢方内科>>>

    今年は熊本地震の影響で、心身ともに体調を壊して来院される患者さんがかなり多く見られています。地震の直後に多かったのはめまい、ふらつきです。私の外来では、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)という処方を多用しました。また、地震後の不眠も多く、余震がまだ多かった頃は睡眠薬や安定剤を飲んで寝るのは怖いという患者さんも漢方で眠れるなら是非欲しいと言って大勢受診されました。使った処方は柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)や酸棗仁湯(サンソウニントウ)ですが、どちらも大変よく効きました。実は、東北の大震災でいろんな漢方治療が使われて、効果が認められたのは論文化されているため、今回熊本で地震があった際にもすぐに東北での経験をもとに、こんな時にはこんな処方がいい、という情報が回ってきました。最初はその情報に基づいて使ったのですが、東北の大震災は3月の東北で、今回は4月の熊本。季節はかなり違うのです。東北ではまだ寒い時期ですが、熊本はやや暑い。この違いを考慮しないと漢方はきちんと効きません。そこで、最終的には上記の苓桂朮甘湯や酸棗仁湯を多用した次第です。最近は、震災時に一生懸命頑張ってなんとかやってきた人たちが、疲れがどっと出たと言って来院されるケースが多くなっています。こういう時は補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や加味帰脾湯(カミキヒトウ)を使います。皆さんも是非参考にされてください。

    当漢方外来は熊本大学医学部の学生の臨床実習を兼ねていますので、患者さんの診察に学生さんたちが立ち会います。患者さんにはいつも協力いただいて、感謝しています。