むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 金木犀

    昨日のブログは図らずも熊日新聞のコラムと内容がかぶってしまいました。

    それはともかく、犬の散歩をしていると、公園の近くから金木犀のとてもいい香りが漂ってきます。健軍の自衛隊の生垣も、ぐるっと金木犀です。春に桜が咲く時はあたり一面パート明るくなりますが、金木犀はよーく見ないと咲いているのがわかりません。どちらかというと、香りの方に先に気がつきます。

    香りがこれだけ周囲にただようということは、香りのないものも同じようにあたりに拡散しているということです。植物からは光合成で酸素が放出されますから、森林浴では美味しい空気が体にはいってきます。一方、花粉症の人にとっては、遠くから飛んでくる花粉に悩まされます。空気の拡散というのは想像以上に広範囲に及びます。私は幸い花粉症はないのですが、山にトレイルラン(ニング)に行くとくしゃみが出ます。鼻水がいっぱい出てきて、空気のきれいな森林の中で鼻ぐすになります。何のアレルギーかわかりませんが、山から下りてくるとすぐに治ります。

    もう一ついつも気になるのがタバコです。例えば、犬の散歩をしていると100m以上先の方にいるおじさんが歩きタバコをしていると匂いですぐにわかります。実際に吸っているかどうかは、接近しないとわかりませんが、臭いというのは本当に敏感です。うちのゴン(トイプードル)にとっては、もっと何百倍もいろんな匂いがしていることでしょう。タバコの臭いはタバコから直接出てきた煙もありますが、多くはおじさんの吸った煙がおじさんの肺の奥まで入って、おじさんの吐く息とともに大気中に吐き出され、それが風に乗って自分のところに来て、その空気を自分が吸っているわけですから、想像しただけで気持ち悪いですね。

    車の排気ガスも同じです。車のエンジンでガソリンが燃えた後の二酸化炭素と煙が漂ってきてこちらの肺の中に入ってくるわけですから、無駄なアイドリングはしないように心がけたいものです。タバコもです。自分が肺がんになるのは自業自得ですが、家族も癌のリスクが高まりますので気をつけましょう。

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  • 中国のロケット

    中国の有人ロケット(宇宙船)「神舟」が宇宙飛行士を乗せて中国の宇宙ステーション(実験室)にドッキング成功というニュースが出ていました。このところ、中国の科学技術の進歩は目をみはるものがあります。

    私が高校3年の頃、理系では工学部が花形でした。とても偏差値が高くて入るのが難しかったです。その頃工学部から就職と言えば、東芝、ソニー、シャープなど日本の得意な家電やパソコンあるいは原子力などを手がける大手メーカーでした。しかし今は、そういった会社は軒並み業績が悪く、今では工学部の人気は昔ほどではないようです。

    一方、中国に目を向けると国を挙げてロケット工学、情報産業など工学部系の人たちがもてはやされています。国が成長し、豊かになるには工学部系が元気でないといけないような気がします。そう考えると、スペースシャトルを飛ばすのをやめたアメリカは、ちょうどその頃を境に国力が衰えてきています。今、まともに有人ロケットが飛ばせるのはロシアと中国だけです。そう考えると、今後豊かになり、世界をリードする国もその2国となるはずですから、私たちもそれに備えないといけません。とりあえず、中国語かロシア語を勉強しないといけません。

    話は変わって、科学技術の進歩で自分のこれまでの人生でびっくりしたことが2つあります。一つは液晶の電卓が出た時。ものすごく小さく軽くなって登場しました。次に、その液晶電卓にソーラー電池で作動する名刺サイズの電卓が出た時です。この2つはびっくりしました。結婚式の引き出物にそんな電卓をもらう時代がありました。それが今、太陽電池を車の天井に貼り付け、駐車場でバッテリーにチャージして動くハイブリッドカーが登場したと聞きました。日本の技術もまだまだ負けていません。若い人たちには夢を持ってものづくりの世界に進んでもらいたいものです。

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  • 逃げ恥

    「逃げるは恥だが役に立つ」というTBSの火曜ドラマが始まりました。今週が第2話。これまで10年くらいまともにドラマなど見ていなかったのに、今度はたまたま見入ってしまいました。脚本が面白い、新垣結衣さんもいい。原作は漫画なので、ドタバタもありますが、興味を持ったのはもちろんドラマのタイトルです。

    心療内科をしていると、1日の大半は悩みの相談です。職場のこと、友人関係のこと、学校のこと、受験のこと、介護のこと、嫁姑のこと。みんな本当に悩みながら生きています。そして、病院に来る人たちに多いのが、悩みながらも何くそーと頑張っちゃう人たちです。柳のように風に吹かれてしなやかに揺れていれば木は折れないのですが、全くしならない大木は大風に吹かれて根こそぎ倒れることもあるのです。患者さんたちの悩みを聞きながら、「そんなに頑張らなくてもいいんですよ、逃げてもいいんですよ」といつも思っています。ドラマのタイトルはことわざのようですが言葉遣いがなんか変です。ドラマの中で、ハンガリーのことわざだと言っていましたが、それが本当なら、日本語でもう少しこなれた言い方を考えたいものですが(普通に「逃げるが勝ち」でもいいのでは?)、直訳調で、ちょっと味気ないですね。

    熊本地震の時も、本当なら「逃げるが勝ち」です。動物的な勘と本能に従えば、あの状況なら逃げます。ところが、みんなが「がんばろう、熊本」という掛け声のもと逃げてはいけない雰囲気を作ってしまいます。子ども達は学校が休みで、家にいても余震に怯えながら過ごしていました。ボランティア活動に精を出した子どもさんもいるのですが、県外の親戚のところに子どもを避難させたご家族も大勢いました。そういう中、怪我もしてないし、住む家もあるのにボランティアをさせずに県外に避難させるなんて、と他人のことを陰口を言う人もおられたようで、そのために鬱状態になってしまった方もいます。やはり、日本人にとっては、逃げるは恥なんでしょうか?

    私の今の仕事は、逃げることを正当化し、ちょっとの間でもストレスから逃れて体調を立て直すことをお手伝いしています。頑張れないから体が悲鳴を上げているのです。誰かが、そんなに頑張らなくていいんですよと避難誘導してあげなければ、日本では避難そのものが後ろめたく困難なようです。ドラマのタイトルを思い出し、「逃げるは恥だが役に立つ」と逃げる自分を正当化しましょう。困った時はご相談ください。そんなに頑張りすぎないでいいんですよ。

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  • 目利き

    世の中、目利きのいうことを聞いた方が何かといいことがある。私たちの身の回りには物があふれていますが、いいものと悪いものを見極めるのは本当に難しいです。私の使っている漢方薬も、目利きがとても重要な仕事をします。漢方はご存知の通り生薬を原料として作られますが、生薬というのは薬草を干してあるので、本物の薬草と、まがい物の雑草の根っこはよく似ていて、きちんと見極めないととんでもないことになります。当然、ツムラなどの漢方メーカーには専門の目利きさんがいて、輸入する生薬をきちんと本物かどうか判定します。最近では電子顕微鏡やクロマトグラフィーなど科学の目を使いながら本物かどうかの判定を行います。

    テレビを見ていると、芸能人格付けの番組があります。本物と偽物、あるいは、超高価なものと廉価なもの、こういうものを区別できるかを競います。私たちがいかに偽物に囲まれて生活しているか思い知らされます。造花は生花より美しく、インスタントうどんの出汁は自分で作った出汁より美味しい。スーパーでは自分で魚を目利きすることはほとんどありません。私が子供の頃は、近所の魚屋さんが新鮮な魚の選び方などを教えてくれたものです。八百屋さんもスイカを叩きながら美味しいものの見極め方を教えてくれたものです。それが今では、並べて売ってあるだけです。美味しいものは値段が高い、それだけです。教えてくれる人がいないので、目利きになるチャンスがありません。

    そうはいっても、私たちは仕事を通して自分の専門分野の目利きとなります。美容師さんは髪の毛を触っただけで健康状態がわかるし、ハウスメーカーさんは地震で傷んだ家を見ただけどどうすべきかわかります。私たち医師は言うまでもなく健康の目利きです。どこがどう悪いのか、話しているうちにだんだんわかってきたりします。ただ、残念ながら人は自動車のように部品を取り寄せて交換して治すわけにはいかないので、傷んだところもなんとか使える状態にするのです。

    当然、一番大事なのは、体を壊してから治すのではなく、壊れないようにすることです。予防と早期発見です。

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  • 治療ガイドライン

    最近は、どの分野も治療ガイドラインを作るのが流行っています。学会が違うと異なる視点からガイドラインを作ってくるので、同じ疾患でも治療の方針が異なることはしばしばあります。

    そういう中、振り回されるのは、現場の医者と、当の患者さんたちです。テレビや雑誌で最新のガイドラインではこうなっている、みたいな話が話題になると、あたかもそれが最先端で正しい事実であるかのごとき印象ですが、実際にはそうとも限りません。私の専門である循環器の分野を例にとると、高血圧ガイドラインが推奨する血圧目標はガイドラインが改定されるたびに低く設定されてきました。そして、ガイドラインの作成者と製薬会社の癒着が大きな社会問題となったのはまだ記憶に新しいことと思います。

    そのように、製薬会社はガイドラインの目標値をわずかに低く設定してもらうだけで数百億円の利益を得るのです。そういう事件があってからは、私はガイドラインに対してはどれも参考にはするけれども、金科玉条ではないという姿勢で臨んでいます。したがって、テレビではこのくらいまで下げた方がいいと言っていたとか、気にされる患者さんもいますが、私は自分で納得した範囲でしか治療はしません。血圧も、コレステロールも、尿酸も、血糖もガイドラインでは下げるようにと書かれていますが、実際にはそう簡単ではありません。コレステロールや血糖がいくつ以上の数値なら治療を開始して、いくつ以下まで下げましょう、みたいなシンプルなものではないのです。その患者さんの年齢、性別、糖尿病や高血圧の既往歴、家族歴、タバコを吸うのか、心筋梗塞や脳梗塞にかかったことがあるのか、などなど諸条件から治療開始のタイミングと治療目標が変わってくるのです。

    丁寧にかかれたガイドラインにはそのあたりまで踏み込んで複雑なアルゴリズムが出来上がっていますが、すべてのガイドラインがそうとは限りません。また、治療の開始に関しては書かれていても、治療を終了させるタイミングについてかいてあるガイドラインは皆無です。やはり、ここにも製薬会社の絡みがあるような気がします。

    そういうわけで、昨日も書いたのですが、私の目標としては一剤でも少ない薬で患者さんを健康にする事を目標としています。大学など公的な病院では、ガイドラインに忠実ですから、薬がいくつ増えようとも治療目標に達するまで薬が増え続けます。それは、ポリシーの違いとしか言いようがありませんが、当院では減薬にできる限りチャレンジしたいと思っています。

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