むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 目利き

    世の中、目利きのいうことを聞いた方が何かといいことがある。私たちの身の回りには物があふれていますが、いいものと悪いものを見極めるのは本当に難しいです。私の使っている漢方薬も、目利きがとても重要な仕事をします。漢方はご存知の通り生薬を原料として作られますが、生薬というのは薬草を干してあるので、本物の薬草と、まがい物の雑草の根っこはよく似ていて、きちんと見極めないととんでもないことになります。当然、ツムラなどの漢方メーカーには専門の目利きさんがいて、輸入する生薬をきちんと本物かどうか判定します。最近では電子顕微鏡やクロマトグラフィーなど科学の目を使いながら本物かどうかの判定を行います。

    テレビを見ていると、芸能人格付けの番組があります。本物と偽物、あるいは、超高価なものと廉価なもの、こういうものを区別できるかを競います。私たちがいかに偽物に囲まれて生活しているか思い知らされます。造花は生花より美しく、インスタントうどんの出汁は自分で作った出汁より美味しい。スーパーでは自分で魚を目利きすることはほとんどありません。私が子供の頃は、近所の魚屋さんが新鮮な魚の選び方などを教えてくれたものです。八百屋さんもスイカを叩きながら美味しいものの見極め方を教えてくれたものです。それが今では、並べて売ってあるだけです。美味しいものは値段が高い、それだけです。教えてくれる人がいないので、目利きになるチャンスがありません。

    そうはいっても、私たちは仕事を通して自分の専門分野の目利きとなります。美容師さんは髪の毛を触っただけで健康状態がわかるし、ハウスメーカーさんは地震で傷んだ家を見ただけどどうすべきかわかります。私たち医師は言うまでもなく健康の目利きです。どこがどう悪いのか、話しているうちにだんだんわかってきたりします。ただ、残念ながら人は自動車のように部品を取り寄せて交換して治すわけにはいかないので、傷んだところもなんとか使える状態にするのです。

    当然、一番大事なのは、体を壊してから治すのではなく、壊れないようにすることです。予防と早期発見です。

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