むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 血圧はオームの法則

    最近は朝晩の冷え込みが厳しいので、血圧が上がってしまう方も多いようです。寒いと血管が縮みますから血管抵抗が上がります。その結果、心臓からの心拍出量が一定だとすると血圧が上がるのです。中学校で習った電圧と電流に関するオームの法則(E=IR)と同じ原理です。

    では、塩分を摂りすぎると血圧が上がるのはなぜでしょう。これは、血液内の塩分濃度は一定になるように制御されているため、塩分摂取が多すぎるとそれに見合うだけの水分が体内に残ることになります。その結果、循環血液量が増加し、結果的に1回心拍出量が増えるため血管抵抗が一定だとしても血圧が上がります。

    逆に血圧を下げる方法を考えましょう。まず、塩分を制限することです。これは上に書いた血圧が上がる仕組みの反対ですから理解は簡単です。もう一つは血管抵抗を下げることです。コレステロールを管理して動脈硬化を防ぐこと、運動して血管に柔軟性を持たせること、そして痩せることです。血管は脂肪細胞に押しつぶされると抵抗が上がってしまいます、痩せる事で血管は広がりやすくなります。

    もう一つ血管の拡張・収縮を制御しているのが自律神経です。ストレスで縮み、リラックスで拡張します。また、寒いと縮み、温めると拡張します。そう考えると、高血圧は薬にばかり頼ることなく、塩分制限、ダイエット、ストレス回避、温めることなどで改善するということがわかりますね。

  • ランナーの健康相談

    開業の準備を始めた頃から週末も全くないくらい忙しく、ずっと熊本から離れられなかったのですが、約1年ぶりくらいに東京に行ってきました。

    土日にわたりみっちりと研究会に参加で遊ぶ暇はなかったのですが、ちょっとした息抜きになりました。皇居の近くを通りかかりましたが、ものすごい人数が走っていてびっくりしました。確か東京マラソンがあと2週間くらいなので、みんなそれに備えているのでしょう。それにしてもランニング人口の増加には驚かされます。熊本城マラソンも来週となりましたね。

    この5年くらいで全国にシティーマラソン大会がどんどん増えて競技に参加する人数も増えてきました。今まで全く走ったことがない人たちもちょっとずつ走る距離を伸ばしてついにはフルマラソンに出場できるようになるのです。

    私も走り始めて5年くらい経ちますが、途中膝や腰など痛めたりもしました。そのつど、自分の足をいかに治すか、指圧や鍼(はり)、整体などの技術をあれこれ試して自力で治してきました。本当は故障しないようにランニングフォームを正したり、靴を自分の足のくせにあったものにするとか、するべきことは山のようにあります。また、熱心に走りすぎて貧血になることがあります。足で血球を踏み潰して破砕してしまう貧血です。それ以外にも、大量の汗からミネラルなどの栄養を失う場合もあります。そういったランナーの皆さんのコンディションの相談もお受けします。鍼治療や電気治療、指圧、整体、貧血の検査、鉄剤や漢方薬の処方など複合的なサポートを行います。今度熊本城マラソンに出るという人も、出場前に体調の相談などありましたらお早めにどうぞ。

    こんなに早く咲く桜もあるのでしょうか?

  • 気血水の話

    最近テレビで漢方関連の番組がいくつかあったのですが、それを見た患者さんが毎日のように来院されます。みなさん熱心にテレビを見て理解されていますので、すごく詳しくてびっくりします。

    漢方にも、日本で発達した古方という流派と、中国で発展した中医学の流派があります。またそれぞれ、どんな師匠について学んだかによって違う流派だったりします。茶道でいう表千家・裏千家のようなものです。診察の方法も、問診や脈診、舌診を重視する場合と、腹診(お腹を触って処方を決める)を重視する場合があります。流派ですからどちらが正しいというわけではありません。しかし、テレビでそういう診察風景をやっていると、それがスタンダードのような印象を受けますから、違った流派の診察を見ると違和感を覚えるかもしれません。

    ただし、流派は違っても漢方的な基本は共通しています。気血水という考え方は日本・中国で共通した理論です。体を構成する気血水という3つの要素があり、それぞれのバランスが健康を保っているのです。気が不足すると気虚といい、きつい、食欲がない、風邪をひきやすいなどの症状となります。気の量は十分あっても流れが悪くなるとのぼせ、カーと暑くなる、うつ状態、などの症状となります。例えば、倦怠感で来院した患者さんを見た時、気虚(気の不足)の場合と気滞(気の巡りが悪い)の場合とがあります。どちらの症状なのかを判断するのに脈を見たり舌を見たりするのです。決して西洋医学のように、血圧が高いから降圧剤、という感じの単純な図式にならないのが難しくもあり面白い点でもあります。

  • 動悸がしたら

    動悸で来院される患者さんがたくさんいます。動悸は一日中感じることもありますが、多くの場合は2−3分で治ります。時には一瞬どきっとしただけということもあります。このような症状で来院される場合、心電図をとっても受診時には症状がありませんから「特に異常なし」ということになりかねません。

    そこで、来院する際に一つだけ注意していただきたいのは、動悸がした時の脈の状態を詳しく教えていただきたいのです。速かったのか普通だったのか、リズムは乱れていなかったかという点です。慣れていれば手首の脈を触れれば脈の状態がわかります。30秒ほど脈をカウントします。30秒で30回脈を感じれば1分間に60です。30秒間の脈拍数の二倍です。トントントン、トトトトトンとかトントン_(一拍休み)_トンなど表現していただければ、それだけでかなり診断に近いところまで行けます。

    脈のスピードもリズムも正常だけど、やたら大きな拍動をドキドキ感じる場合もあります。これは大抵不整脈ではありません。緊張してドキドキするのと同じような理屈です。時には血圧が高くてドキドキすることもありますから、家庭血圧計を持っている場合は動悸がするときの血圧を測って欲しいと思います。その際に脈拍数も表示されますから、血圧だけでなく脈拍まで必ずメモしてください。この情報を持って来院いただければ、どんな治療が必要かはかなりはっきりします。

    動悸と一言に言っても、心疾患(高血圧、不整脈など)の場合と心因性(ストレスなど)の場合があります。また、女性ですと更年期という場合もあります。ただ、更年期とかストレスと決めつけずに広く可能性を考えておく必要があります。

  • 冷えと腹痛

    節分も過ぎて暦の上では春ですが、寒いですね。クリニックのベランダからは阿蘇山がすぐ近くに見えますが、どんどん白くなって来ました。きっと雪が積もっていることでしょう。

    漢方の外来をしていると、冷え症の患者さんがたくさん来られます。不思議なもので、冷え症なのにアイスクリームが好きで毎日食べる人や、ビールは一年中飲むという人もいます。これでは漢方を処方してもなかなか治せません。私も冷え症ですから、ビールは夏でもあまり飲みません。漢方の理屈では、苦いものは体を冷やします。ビールはその代表ですが、夏に食べるゴーヤ(苦瓜)もそうです。コーヒーや濃い緑茶も苦いですから、体を冷やします。冷やさないためには、暖かくして飲めばいいのです。アイスコーヒーやペットボトルの冷たく冷えたお茶は良くないと思います。

    昔、外来で見た患者さんのことを思い出しました。70歳くらいの男性が腹痛で来院されました。何を食べましたか?と尋ねると、寿司とビールとのこと。寿司もビールも体を冷やします。寿司は、生魚で体が冷えるので、生姜(ガリ)を食べてお腹を温めます。そして、お寿司にはビールでなくてやはり日本酒でしょう。日本酒は体を温めます。最後は大きな湯呑みで温かいお茶を飲みます。これでお腹が温まるのです。体を冷やしたらお腹が痛くなります。冷えて痛むお腹は温めれば治ります。漢方でお腹を温めるのは安中散です。大正漢方胃腸薬の成分です。

    大正漢方胃腸薬のCMは宴会続きで疲れた胃に良いようなイメージで売っていますが、それは間違いです。実際には、このようにお腹が冷えて痛む時に適しています。