むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 冷えと腹痛

    節分も過ぎて暦の上では春ですが、寒いですね。クリニックのベランダからは阿蘇山がすぐ近くに見えますが、どんどん白くなって来ました。きっと雪が積もっていることでしょう。

    漢方の外来をしていると、冷え症の患者さんがたくさん来られます。不思議なもので、冷え症なのにアイスクリームが好きで毎日食べる人や、ビールは一年中飲むという人もいます。これでは漢方を処方してもなかなか治せません。私も冷え症ですから、ビールは夏でもあまり飲みません。漢方の理屈では、苦いものは体を冷やします。ビールはその代表ですが、夏に食べるゴーヤ(苦瓜)もそうです。コーヒーや濃い緑茶も苦いですから、体を冷やします。冷やさないためには、暖かくして飲めばいいのです。アイスコーヒーやペットボトルの冷たく冷えたお茶は良くないと思います。

    昔、外来で見た患者さんのことを思い出しました。70歳くらいの男性が腹痛で来院されました。何を食べましたか?と尋ねると、寿司とビールとのこと。寿司もビールも体を冷やします。寿司は、生魚で体が冷えるので、生姜(ガリ)を食べてお腹を温めます。そして、お寿司にはビールでなくてやはり日本酒でしょう。日本酒は体を温めます。最後は大きな湯呑みで温かいお茶を飲みます。これでお腹が温まるのです。体を冷やしたらお腹が痛くなります。冷えて痛むお腹は温めれば治ります。漢方でお腹を温めるのは安中散です。大正漢方胃腸薬の成分です。

    大正漢方胃腸薬のCMは宴会続きで疲れた胃に良いようなイメージで売っていますが、それは間違いです。実際には、このようにお腹が冷えて痛む時に適しています。