むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 甲状腺の話

    甲状腺は喉のあたりにあるホルモンを産生する臓器です。喉仏の少し下で左右に蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺が腫れる病気があり、比較的女性に多いことが知られています。

    本日は、自分で甲状腺が腫れている気がすると言って来院された方がいました。私たち内科医だと、健康診断時に一瞬ですがのどのあたりを触って確かめますから、パッと見て怪しいかどうかすぐにわかります。本人が気づいた通り、確かに甲状腺が腫れていました。このような場合、当院ではまず超音波を行います。超音波は首の甲状腺周辺をプローブというセンサーで撫ぜるだけですから全く痛くもなんともありません。10分ほどで検査は終了します。

    それから、採血で甲状腺ホルモンを調べます。甲状腺のホルモンが多すぎるとバセドウ病や甲状腺炎が疑われます。ホルモンが少ないと橋本病や甲状腺炎の亜急性期以降の可能性があります。ホルモンの異常がない場合、甲状腺腫、甲状腺がんなどの可能性を考えて調べます。

    当クリニックでは一次検査を行い、良性腫瘍疑いでも精密検査の必要がありそうな場合は専門の病院に紹介しています。

  • 緊張やストレスで下痢になる病気

    緊張やストレスで下痢になる人がいます。通常の胃腸薬を飲んでもなかなか治りません。内科や胃腸科にかかって胃カメラなどの検査をしても、たいした異常はないと言われます。これは過敏性腸症候群という病気です。世間はちょうど入試も終わりひと段落ですが、これから卒業式、入学式、就職、研修、と大きなイベントや環境の変化が次々と発生する時期です。こういう時にお腹が痛くなっては困ります。

    過敏性腸は内科や胃腸科にかかりがちですが、原因としてストレスが大きく関わっていることと、検査をしても大した異常がないことから、通常の内科よりは心療内科や漢方内科の方が得意な疾患です。私が総合病院で漢方外来を担当している時、時々消化器内科の先生から漢方で直りませんかと紹介状をいただいたりしていました。その当時のことを思い出すと、国家試験や公務員試験を控えた学生さんたちが藁をもすがる思いで漢方外来に来られていました。せっかくいい大学に入っても、国家試験や公務員試験に通らなくては意味がない、そう思えば思うほどプレッシャーで体調が悪くなるのです。

    話は変わりますが、今日診察した患者さんで、入学式や卒業式のような緊張する場面に最後までじっといられないという方がいました。似たような患者さんで、電車に乗れないとか、エレベーターが苦手とか、いろいろな場合があります。こういう特定の場面に対する恐怖症は薬で治療できます。また、精神科では薬だけでなく訓練(認知行動療法)で治す方法もあるようです。

  • 漢方や針にこだわらない

    私のブログでは、漢方や針など東洋医学がいかにいいかをたくさん書いています。事実、西洋医学では治せないいろんな疾患に対応できるし、副作用の面でも安全性に優れているので、私個人としてはとても好きなのです。みんなにその良さをわかっていただきたいと思っています。

    一方で、漢方でないといけないとか、針でないといけないとは思っていません。血圧を下げるには小さい一粒の西洋薬はとても効果的です。コレステロールを下げるのも、一粒の西洋薬にはかないません。睡眠薬もそうです。漢方でどんなに頑張っても西洋薬にはかないません。

    結局、効果と安全性と患者さんの忍容性などいろんな条件を総合して考えたあげく、もっとも効率的で安全で効果的な治療法が何かを考えて処方しています。ですから、患者さんから漢方で眠れるようにしてくださいとか、漢方で血圧を下げてくださいとか頼まれることはしばしばですが、そこはなぜ漢方でないといけないかという問題があります。薬アレルギーで飲める薬がないとか、妊娠中で漢方にして欲しいとか、理由があればそれは納得します。まずは、他に治療法もなく困っている人に漢方療法は絶対必要とおもっていますが、西洋薬の方が優れているとわかっているのあえて漢方で行くにはそれなりの理由が必要だと思います。これは、最近よく耳にするEBMすなわちエビデンスに基づいた標準治療が求められる時代だからです。

  • 整形領域以外の針の効能

    鍼治療というとどのようなイメージでしょうか?腰痛や肩こりに効く感じでしょうか。実際に、ぎっくり腰や慢性の腰痛、肩こり、五十肩、足のしびれなどによく効きます。即効性がありますから、治療したすぐ後から少しいいみたい、と言って帰っていただくことが多く、針を抜いた後も体を動かしているうちに次第に調子が良くなってくることがあります。

    そのような整形疾患以外にも、脳梗塞や脳出血などの後遺症で半身不随になったり、リハビリの最中にいい側の筋肉が痛くなったりにも針をします。婦人科では、生理痛や月経前症候群などはいい適応です。乳腺炎にも有効です。眼精疲労や耳鳴りめまいなど眼科や耳鼻科の疾患にも行います。うつ、不眠などの心療内科的な分野にも行います。要するに、昔の東洋医学は針と漢方であらゆる疾患に対応していたので、その経験と歴史からいろんな疾患に対応できるのです。針は腰痛や肩こりにいいとばかり思い込まず、ご相談いただけると大抵は対応できると思います。薬を飲むと副作用で調子が悪かったとか、飲み薬が多すぎてこれ以上増やしたくないという場合も針で対応できるかもしれません。

    当院の針は、セイリン社のディスポ(使い捨て)針を使っています。ほとんどは1番というサイズで最も細いものを使います。痛みもわずかで心地よく感じられると言われます。

  • レイノー現象

    冬の寒い朝に顔を洗おうとした時、冷たい水に触れた手指が1本または2−3本真っ白に血の気が引いたようになって痛む病気があります。レイノーと言います。ほとんどの場合、さすったり温めたりしているうちに20−30分以内には指の色は正常に戻りますから心配いりません。びっくりして救急車を呼んだら、救急隊がついた時には治っていた、ということがあります。

    レイノーが起こる原因は色々あります。一番気をつけないといけないのは膠原病です。喫煙者ならバージャー病というのがあります。また、動脈硬化がかなり悪化した場合にも見られます。これらの基礎疾患が隠れていないかがポイントとなります。

    私はこの冬にレイノーの患者さんを3人診察しました。まれな病気なのですが、結構いるもんだなと驚いています。漢方薬で、このレイノーを予防することができます。これまでの私の経験では、漢方薬をきちんと飲んでいれば、レイノーがほとんど起こらないのですが、飲み忘れた日に限って起こるのです。つまり漢方は症状を抑制するのですが根本治療にはなっていないかもしれないということです。それにしても、基礎疾患がわかればその治療に専念しなければいけませんが、基礎疾患がはっきりしない場合はあまり治療の方法がありませんから、漢方で抑えられるのであれば、それを利用しない手はないと思います。