むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方メーカーあれこれ

    コロナの拡大で解熱鎮痛剤のカロナールやロキソニンが出荷調整にあり、入手困難な状況が続いています。できるだけ、本当に必要な人につかいたいので、単なる腰痛や頭痛のような方にはできるだけ他の処方に変更したり、この際鎮痛剤に頼らないように頑張ってもらうことをお願いしています。また、コロナによく使われる小柴胡湯や小柴胡湯加桔梗石膏も入手困難。猛暑のため清暑益気湯も入手困難、といった状況です。薬がないと内科医は仕事になりませんが、特に漢方が欠品すると私の仕事は影響が出ます。

    漢方のメーカーはツムラが有名ですが、品質や剤形(錠剤やカプセルなど)の良さで他のメーカーも採用しています。それは、クラシエ、小太郎、オースギ、ジュンコウ、太虎堂、JPS、三和、本草などがあります。当院前の凌雲堂薬局にはそれぞれのメーカーが得意な分野があるため、たくさんのラインナップを揃えてもらっています。例えば痛みをとったり暖める効果の附子という生薬が得意な三和、下剤の大黄の品質に優れるオースギなど。また、希少なアキョウという成分を配合してあるJPSのものなどこれはというのは採用しています。漢方薬は合成ではなく天然の薬草を使ってあるため、その薬草の品質、産地、保存状態、目利き(いいものを仕入れる目)などが総合的に漢方の品質となります。昔ツムラの人に聞いた話では、中国に仕入れに行くと、現地の人との宴会になり、とにかくお酒が強くないと交渉にならないという話がありました。大変な世界です。

    そこで、話は最初に戻るのですが、某メーカーで品薄になっている小柴胡湯や補中益気湯は全メーカーで不足しているわけではなく、十分量を持っているというメーカーが有ることがわかりました。私にとってはお祝いすべきことです。うれしいことこの上ない。それを聞いて、今日から安心して補中益気湯などの処方を再開しました。とくにコロナ後遺症で倦怠感に悩まされている人、低血圧でめまいふらつき、朝起きが苦手なひと、夏バテで食欲が落ちた人など幅広くつかえる補中益気湯。別名を医王湯といい、漢方薬の王様です。

    熊本動植物園入口にて