むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 薬の作用・副作用

    薬は薬であるからには作用があり、副作用があります。これは物理でいう作用・反作用と同じです。ものを押す力があれば、それを押し返す力がある。世の中すべてそういう原理です。

    ところが、漢方薬は食品に近いため副作用が少ないです。桂枝(シナモン)、生姜(しょうが)、大棗(なつめ)、葛根(クズ)、山薬(やまいも)、陳皮(みかんの皮)、枳実(ダイダイ)などが材料になります。どれも台所にあったり、スーパーなどで手に入る食材の一種です。これらを組み合わせることで一定の薬効を発揮するのです。それには、組み合わせ方とその配合比率が重要で、2000年の歴史の中で人類が見出した知恵です。

    しかし漢方薬にも上に挙げたようなほとんど食品で害のないものから、トリカブトのように間違うと命を奪いかねない毒薬を薬にしたものまでいろいろあります。それらを上薬(害のないもの)から中薬、下薬(作用は強いが害があるもの)と分類したのが2000年ほど前に出版された神農本草経という本です。私たちはその知識を生かして漢方を処方しているのです。その本がすでに2000年前に完成していた事実を考えると、そのまた2000年くらい前からの経験の積み重ねの集大成であると考えられるので、中国4000年の歴史、というわけです。

    それを考えると、新薬は下薬中の下薬です。どれも作用は強いが副作用も大きい。それを知りながら使わないといけないと思います。例えば自分が血圧の薬、糖尿の薬、むくみを取る薬などいろいろ処方していて、患者さんがあるとき調子悪いと言ったとき、さらにその症状(例えばムカムカするという症状)に対してそれを抑える薬を追加する(例えば吐き気止めを出すとか)のは最後の手段であるべきで、今自分が処方している薬のせいで何か有害事象が起こっていないかと考えるべきだと思うのです。でも、薬を減らすのは増やすのよりはるかに難しいことです。