むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 合剤もジェネリックの時代

    糖尿病や高血圧があると内服薬の数が増えてしまいます。2つ3つと飲んでいる人も多いと思います。糖尿病、高血圧、高脂血症などがあれば飲む薬の数も5ー6種類くらいになるでしょう。

    薬の名前の例をあげれば、アムロジン、ディオバン、リピトール、エクア、メトグルコという感じです。これだけの薬を朝晩と飲んでいると、飲み間違いもあるし、飲み損ないもあるし、お金もかかります。しかし、これらの薬剤は近年合剤化が進んでいます。例えば上にあげたアムロジンとディオバンを合わせた合剤でエックスフォージ、エクアとメトグルコを合わせた合剤でエクメットなどが発売されています。そうすると、上の処方は、5剤から3剤に減らすことができます。

    合剤が非常にたくさんの種類出ているにもかかわらず、あまり知られていないのは、処方する内科医の側にとっても使い方が難しいからかもしれません。私は循環器が専門で、しかも今まで働いてきた勤務先の薬局にほとんどのメーカーの薬を採用してもらっていたおかげで、大抵の降圧剤や糖尿の治療薬を使ったことがあります。したがって、その組み合わせがどのようになっていてもその強さは予想がつきます。そこで、どんな組み合わせの処方を見せられても、それと同じくらいの強さの処方を合剤に置き換えることができます。

    そして、朗報は、これら合剤の多くが最近は年数が経ってジェネリックで発売されるようになってきたのです。ジェネリックというのは同じ成分で安く手に入る医薬品のことです。一流メーカーでなくても品質の良いジェネリックは存在します。便利なだけでなく医療費削減にも貢献する合剤のジェネリックはこれから重要なポジションを占めると思います。もちろん当院向かいの薬局にも信頼できるジェネリックを取り揃えています。

  • 検査ではわからない心の病

    なかなかわからない病気というものがあります。心療内科に来る患者さんの<身体表現性障害>などはその一つと思います。例えば胸が痛い時、循環器で心臓の検査をします。呼吸器に行けば肺の検査をします。整形外科に行けば骨や筋肉の検査をします。誰でも歳をとれば何かありますから、検査をするたびに新しい疾患が見つかります。胸が痛いからと循環器に行って見ると、狭心症かもしれないので、コレステロールと血圧の薬を飲みましょうと言われる。整形ではMRIで脊柱管狭窄があるからその薬を飲むようにと言われる。そうこうしているうちに、肝心の胸の症状は治らないまま、薬だけが3つの病院から合計20種類、ということになりかねません。

    こういう身体表現性障害の患者さんは、体調不良の原因がわからないのが気に入らなくて、とにかく病院を回ります。あちこちの病院に行っては検査を受けて、何か異常が見つかるとホッとするのです。「そのせいで調子が悪かったんだ。それを治せば良くなるんだ」と思うのです。しかし、それで解決すればいいのですが、検査するたびに病名だけは増えていき、結局良くならないという場合が多々あるのです。

    原因が心の問題やストレスの場合、検査をしても何も出てきません。そのような患者さんに限って検査や病名にやたらこだわるため、一日中どこが悪いんだろうと考え続けてノイローゼになったりするのです。考えていること自体がストレスとなって症状を悪くしている可能性もあります。体が悪いから体調が悪いのではなく、心の問題かもしれません。「そう言えばあの頃上司が変わってから体調が悪くなった」とか、思い当たることもあるかもしれませんよ。

  • 緊張しやすい・あがり症を治す

    人前で発表したりするのが苦手な人は多いと思います。それは誰しもある程度は緊張するのが普通ですが、極度の緊張症となると学校生活や仕事に差し支えると思います。これを私たちの世界では「社会不安障害」という風に認識しています。

    例えば学校では、手を挙げて発表できない人、人と一緒に給食を食べるのが苦手で一人でこっそり食べたがる人、先生など年上の人とは緊張して上手く話せない人、トイレに他の人が入っていると緊張して用が足せない人なども同じ社会不安障害の可能性があります。大人でも同じです。プレゼンが苦手、ここぞといった商談が緊張してしまって上手くいかない、などあります。

    こういう場合、これまでは普通に「あがり症で困る」という風に言っていましたが、今はかなり薬でコントロールできることがわかっています。安定剤を使うだけじゃないのか、と思うかもしれません。確かに安定剤は緊張をほぐしてくれるので、上手くいく場合があります。また、ベータブロッカーという心臓の薬で心拍を抑えることでドキドキを抑えて緊張しないようにする方法もあります。しかし、このような安定剤や心臓の薬では対応しきれないほど頻繁に緊張する場面が出てくることもあります。そういう場合は、最初から緊張しないようにコントロールする薬を使っておいたほうがいいと思われます。まずは、こういうあがり症が治せる疾患だということを皆さんが知ることが大切だと思います。

     

  • 早く効く漢方もある

    漢方は長く飲んで効くというイメージがあります。しかし、それは実は正しくはありません。漢方には、即効性のあるものと、ゆっくり体質改善をするものとあるのです。

    例えば風邪に効く葛根湯や麻黄湯は今の風邪症状を治す薬ですから、1ヶ月飲まないと効かない、なんてありえません。飲めばすぐに体が温まって寒気や頭痛が取れます。一方、同じ風邪薬でも、体力をつけて風邪をひきにくくする処方があります。例えば補中益気湯という処方は、年中風邪がぬけないとか、治ったと思ったらまた風邪をひくというような人に適しており、長く飲んでいるうちに風邪をひかない丈夫な体になります。もともと体力があっても、がんの治療をするときや手術を受けるとき、あるいは試験前でどうしても風邪なんか引いている場合じゃないときなどは、あらかじめこの処方を飲んでおくことで風邪や肺炎の予防になることがわかっています。

    漢方の専門医ならその辺を分かった上で処方しますが、知らない人にとっては、あまりそういうことを書いてある本は少ないですからなかなか調べてもわからないと思います。そういう人に、早く効く薬かゆっくり効く薬かを判別する方法があるので伝授します。漢方薬は生薬の組み合わせでできています。例えば芍薬甘草湯は芍薬と甘草の2つの生薬を煎じたものです。この構成生薬の数が少ないほど即効性があります。逆に構成生薬が10以上あるようなら長くのんで効く処方になっています。

    さらには、単純な構成の処方は数日飲んだらやめること。長く飲むと副作用の心配があります。漢方だから安全というのは思い込みです。構成がシンプルな処方は西洋薬に似た単純な成分が入ってきますから、副作用も西洋薬のように出ると考えた方が理にかなっているのです。

    早朝、西に沈む満月と三重塔です。

  • 過敏性腸

    試験などのストレスで下痢になる人がいます。「緊張するとすぐお腹にくる」という感じです。ちょうど今試験シーズンですから、お腹が痛くなったり下痢したりする方は結構いるのではないかと思います。今日来た患者さんも、学校の先生に相談したら試験前にちゃんと見てもらっておくようにと言われました、ということでした。

    このように緊張やストレスでお腹にくるのは過敏性腸と言います。専用の薬もありますが、ぶっつけ本番で試験当日に薬を飲むのはお勧めできません。まずは早目に薬を試していただきたいです。そして、薬の効果だけでなく、副作用がなく試験に差し支えないことを確認していただきたいです。問題なければ本番に使えるということです。

    私の場合は漢方と西洋薬の下痢止めなどを併用しますが、ストレスが原因ですから、場合によっては安定剤などを出されるかもしれません。そうすると、眠くなりますから注意が必要です。また、今の季節は感染性胃腸炎も多いので、単に下痢したとかお腹が痛いとかいうことで病院を受診すると、胃腸炎でしょうということで済まされる可能性もあります。誤診されないためには、どういう状況で下痢になったかをきちんとドクターに伝える必要があります。

    兎にも角にも、もう少しで入試や国家試験はピークを過ぎます。今きついところでしょう。きっと努力は報われますから、最後は体調の管理だけギリギリまで気を抜かないようにしてください。

    夜明け前のスカイツリーです。