むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 東洋医学研究会

    熊本大学に東洋医学研究会というサークルがあります。今では、日本全国の医学部に同じようなサークルが存在しており、大学間の交流もあります。夏休みなどは合同で合宿のようなものをして、切磋琢磨しています。

    この背景としては、大学の医学部では十分な漢方教育がなされていない点があり、東洋医学に興味を持つ学生さんたちが自主的に集まって古典を読んだりするのです。実は、熊本大学の東洋医学研究会は私が作りました。私の学生時代は漢方サークルなど存在しなかったのですが、こんなサークルあったらいいな、ということで、自分が大学院を終えたのを期に学生さんたちに声をかけた(実際には生協の食堂に「漢方に興味ある人、一緒にサークルを始めませんか」と張り紙をした)のが始まりです。

    今からもう20年くらい前のことです。当時10名くらいの学生さんたちが集まってくれたので、漢方理論を毎回1時間くらい講義しました。サークルに賛同して、手弁当で講義をしていただいた先生たちには、上通りの吉冨復陽堂の吉冨先生、芦北の中医クリニックの趙先生、御船の牟田医院の牟田先生などなどいろんな重鎮の先生方にお世話になりました。

    そして今日、私が医学部の4年生に漢方の講義をしたところ、東洋医学研究会に所属しているという学生さんが質問に来てくれて、そのあとうちのクリニックに薬を取りに来てくれました。やはり、漢方などは自分に何らかの症状がある時すぐに薬を試してみて効いたり効かなかったりの経験を重ねることで上達します。その学生さんは、自分の症状を漢方で直してみたくてすぐに薬を取りに来た、その行動力がすごいです。そして、今も脈々と当時からのサークルが継承されていること自体に嬉しくも感動を覚えました。

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  • 大学で漢方の講義

    本日10月5日(水)の午前中は熊大の医学部で漢方の講義がありました。

    毎年医学部4年生に漢方医学の実際について講義しています。話している内容はこのブログでも度々登場する漢方ネタと大体同じです。しかし、同じ風邪を治すにしても、西洋医学では簡単で咳が出れば咳止め、熱があれば解熱剤というシンプルな図式ですが、漢方では患者さんごとに年齢、体格、体力、風邪症状などを細かく分析してオーダーメイド的な処方を行います。よく葛根湯医者と言って、喉が痛いも、頭が痛いも、肩が凝ったも、全部葛根湯で治すという落語がありますが、それはそれで正しいのです。違った症状を同じ処方でなおすのを異病同治ということばがあります。逆に、似たような症状でも違う処方を使うのを同病異治と言います。私の外来では、風邪できた患者さんはかなり悩んで処方を決めます。鼻水鼻づまりと言われても、出す処方の配合を変えます。患者さんごとに年齢、体格などを考慮するからです。体がきついと言ってきた人の分析に関しては昨日のブログに書いた通りです。

    ところで、患者さんからの相談で、目がかすむから眼科を受診したけど前回と比べて検査結果はまったく変わっていないからと言って薬をくれなかったけど、どうにかなりませんか?とのこと。では、クコの実でも食べませんかというお話をしました。クコは枸杞子という漢方薬なのですが、杏仁豆腐に1つ2つのせてある小さな赤いドライフルーツのことです。私は熊本空港の出発ロビーの熊本物産展のドライフルーツコーナーに行くと必ず県産の枸杞を買います。これを、毎日手のひらいっぱい食べると視力がアップするのです。個人差はあるでしょうが、枸杞子は不老長寿の代表的な漢方ですから、目にいいだけでなくアンチエイジングが期待できます。しかも、ドライフルーツとしてとても美味しく、パクパク食べてしまいます。今、当院横の凌雲堂薬局に枸杞子を注文しています。もし気になる方はお問い合わせください。来週くらいには入荷すると思います。

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  • 疲れについて

    当院は心療内科を標榜しているため、来院された理由(主訴)に、全身倦怠、疲労感、食欲不振などが多いです。こういう訴えで通常の内科を受診したとすると、採血して胃カメラを勧められて、検査の結果特に異常ありませんでした、ということで治療はせずに終了となりがちです。そうすると、検査はしたものの何も改善せずにさて困った、ということになります。

    漢方では、全身倦怠や食欲不振は気血水のバランスから幾つかのパタンに分けて考えます。ひとつは「気虚」つまり、気の不足によって元気が出ないものです。気が不足するのにも理由が考えられますが、胃腸虚弱で食べても身につかない場合や、住んでいる環境が大気汚染その他で問題ある場合です。極端なダイエットや偏食も問題になります。

    次に、「気滞」、つまり気の巡りが悪くなった場合です。気の巡りが悪くなるのは大抵ストレスですが、原因がよくわからないうつ状態もこれに当たります。この場合、採血などいろいろな検査をしても、ほとんど何も引っかかりません。気の巡りは不思議なものでちょっとしたことで悪くなります。上司や姑さんに怒られたとか、アパートの上の階に足音のうるさい人が住んでいるとか、例をあげればきりがありません。

    次に「血虚」です。血の不足は貧血と似ていますが、それだけではありません。慢性疾患や大きな病気、手術の後などで見られます。また多くの女性は血虚になりやすい体質を持っています。

    最後に「水滞」です。水が体の中で過剰になると、体が重だるくなり、頭痛やめまいを伴います。足がむくんだり、吐き気がしたり、いろんな症状が出てきます。

    おまけですが、あとは、遊びすぎ、睡眠不足、暴飲暴食なども疲労倦怠、食欲不振の原因となります。これに関してはみなさん経験あるでしょうから、詳しい説明は不要と思います。

    食べるものには困らない現代でも栄養不足というものがあります。ビタミンや食物繊維などです。野菜も水栽培で作る時代ですから、栄養がちゃんと入っているかは疑問です。インスタント食品などはカロリーはあっても栄養はないという、問題の食べ物です。逆に、消化する過程で大量のビタミンを消費してしまうものもあります。

    したがって、倦怠感の強い人には抗鬱剤のような薬が必要だったり、朝鮮人参が必要だったりします。私の外来でも、患者さんごとに気血の不足か気の滞りか、水の過剰かを判断しながら、処方します。東洋医学の知識と経験はこのように西洋医学ではうまく治せない症状を理論的に治療できる場合があるのです。thumb_img_0701_1024

    昨日のブログで広木公園のチアリーディングを出しましたが、同じ場所でフリーマーケットをやっていました。

  • レセプト

    クリニックがオープンして1か月が経ちました。9月分の診療報酬(レセプト)を請求する時期になりました。私にとっては初めてのレセです。

    今までも、レセプトのチェックは山のようにあったのですが、雇われの身だったためあっという間にチェックをしていました。大体、仕事を後に回すのが嫌いな性格なので、目の前に点検用のレセがドンと置かれると、どうしても一気に片付けないと気が済まないのです。

    今回、クリニックがオープンして初めてのレセプトですから、そんなに早いスピードでチェックできません。なぜなら、レセを作っているレセコン(レセプト用のコンピュータ)が今までとは違うし、それを扱っている医療事務の人が違う。そして、病院とクリニックでは診療報酬の仕組みが違う。そういうわけで、診療報酬の点数本を片手に、それから薬剤の適応病名が書いてある本をもう片手に持ちながら、ひとつひとつチェックしていきます。見ていると色々疑問が出てきます。なぜこちらは長期処方加算が取れるのに、もう片方では取れないのか、などなど。ひとつひとつ解釈本を調べながら進めていきます。

    途中で集中力が途絶えてきたので、クリニックの庭に水をやったり草を取ったりして気分転換。そしてまた残りのセレプトに目を通します。見ているうちに、だんだんパタンがつかめてきます。初診の患者さんで検査なしで院外処方箋だけならこういう感じとか、大体の流れが見えてきます。それがつかめるとあとはスピードアップです。問題は、保険の審査が病院では通してくれていたのにクリニックだと通してくれないような微妙な案件がありますから、それだけは慎重にしないといけません。

    患者さんはクリニックの窓口で自己負担分の1割から3割を支払っていますが、残り7割から9割を国に払ってもらわないと、私たちの仕事は成り立ちません。職員の給料も、点滴などの医薬品も、全部自腹で立て替えていますから、レセプトで請求した額を国に振り込んでもらわないと資金繰りが困難になります。通常の商売とは異なり、医療の価格は国が統制しており、自分で値段をつけたりすることはできません。しかも、その価格が年々下げられています。高齢者が増えて、国家予算に対する医療費の占める割合が増えるのは当然のことです。しかし、国の財政はピンチですから、高齢者の増加に見合うだけの医療費(公定価格)とはならず、厳しくなる一方です。この先日本はどうなっていくのでしょうか。

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    蒸し暑い中、下江津湖をランニングしていたら広木公園でチアリーディングをやっていました。東海大学の学生さんだそうです。

  • 減塩の工夫

    私は循環器の専門医ですから、高血圧患者さんをたくさん見ます。食事指導としては、もちろん減塩が大切です。日本人の平均的な塩分摂取量は未だに10gくらいあります。昔は12gくらいあったそうです。地域格差としては、東北の方が塩分摂取が多い傾向にあります。昔、野菜の保存食として漬物を食べる文化があるためと思われます。

    日本食に対して欧米の食事は塩分が少なく、1日で6−8g程度が普通になります。そこで、アメリカの心臓協会などは1日6g以下を推奨しています。そんな塩分制限、和食を食べている限り不可能です。まずくて食べられません。味噌汁も、ラーメンも、カレーも無理です。デパートのレストランでメニューにカロリーと塩分量が書いてある店があります。うどんやそばは一食で塩分4.5gと書いてあります! 1日の許容量の3分の2以上です。

    循環器のドクターは学会のガイドラインに忠実な人が多いので、高血圧や心筋梗塞で入院してきた患者さんには入院食で高血圧食、心臓病食など塩分7gでオーダーします。7gでも和食では薄すぎて味がしません。そんな食事では食欲も出ませんから、かえって体力がおちてしまいます。みんなこっそりふりかけをかけたり梅干しを買ってきて味を足して食べています。しかし、梅干しは1個で塩分1gです。要注意です。

    病院食はなぜまずいのか?まずは、食費が安いので材料にコストがかけられない。そして塩分が極端に薄く、味付けがしてない。いい食材なら下手に味付けするより素材の味を楽しむということが可能ですが、まずい食材に味をつけなければおいしくなるはずありません。

    では、いかに塩分制限をしながらおいしく食べるか。

    それは、

    出汁(ダシ)です。かつお、昆布、椎茸などたっぷり入れることです。野菜くずもいい味が出るので、人参やジャガイモはよく洗ったら皮を捨てずに出汁をとります。出汁には昆布やトマト・白菜のグルタミン酸、魚介(かつお)・肉類・とんこつのイノシン酸、椎茸・キノコ類のグアニル酸。これらを組み合わせて深い味わいとなります。したがって、和食なら昆布と鰹節と椎茸で3つとも入ります。洋食なら肉、トマト(ケチャップ)、マッシュルームで3つとも入ります。これを意識して旨味を十分入れてやると、塩分を控えても美味しくいただけます。

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    そうです。肉がイノシン酸、トマトとチーズがグルタミン酸。美味しくなる組み合わせです。