むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 飲む点滴

    甘酒がブームです。飲む点滴というキャッチフレーズで特に夏バテ解消にいいと言われています。麹で発酵させた飲み物ですから、確かに体にいいと思います。私も結構甘酒を買って飲みますが、私の場合はノンアルコールの甘酒では物足りないので日本酒を混ぜて熱々にして飲みます。

    高齢者の場合、食が細くなってご飯と漬物でいい、という人が結構いらっしゃいます。どうしても栄養的に問題があります。100歳まで元気にしているお年寄りの食生活を聞くと、週に1・2回はステーキを食べるという人が結構います。年をとるほど肉食の方が元気のようです。もちろん魚でもいいと思います。要は動物性たんぱく質の摂取が元気の素だということです。ただ、若い人は食べ過ぎる傾向にありますから、逆に節制をした方がいいと思います。

    そういう中、別にステーキを食べなくても完全栄養食ではないかと思うものがあります。食が細いお年寄りに是非食べていただきたいと思うものです。それはとんこつラーメンです。豚骨は読んで名の通り豚の骨からダシをとりますが、似たものに漢方では鹿茸(鹿の角)があります。体の弱った人向けの動物性生薬です。骨や角の髄には骨髄と言って造血細胞がたくさん含まれます。おそらくレバーに並んで最も栄養価が高い部分です。これを煮込んで作った(インスタントではない本物の)豚骨スープは素晴らしい栄養素だと思います。日頃粗食をしている人にとっては、足りない栄養がどっさり取れる一杯です。とんこつラーメンは、まさに飲む点滴だと思います。

  • イライラは人生の損

    相手に非があって腹が立ったりいらいらするのは仕方ないと思いますが、そうでなくても一日中イライラしている人がいますね。それがその人の性格だと周りの人は思うかもしれませんが、更年期だったり、月経前症候群だったり、認知症だったりして、本人の意に反してイライラが抑えられない場合もあります。

    イライラしていると、周りの人も離れていくし、サービスを受ける際にも、ついいらないことを言ってしまう結果普通の人並みのサービスを受けられずに損してしまい、その結果さらにいらいらするという悪循環に陥ることもあるかと思います。昔の言葉では、イライラは疳(カン)の虫の居どころが悪いと言います。子供の夜泣き、疳の虫というのがあります。聞いたことがあるかもしれません。漢方では、イライラは肝気鬱結(かんきうっけつ)と言います。

    その肝の気を抑えてくれるのが抑肝散(よくかんさん)という漢方です。最近では認知症の薬として知られていますが、それだけではありません。イライラや不眠によく効く薬です。イライラして人生損してるな、と思ったら試してみる価値があると思います。

  • 深部静脈血栓について

    深部静脈血栓症という疾患があります。熊本地震の際にも血栓症のリスクが高まるということで、ポータブルエコーの機械を持って避難所巡りをしたチームがありました。深部静脈血栓症は足を動かさずに長時間じっとしていることで血栓ができる病気です。国際線の飛行機の座席に長時間座っていることでも見られることから、以前はエコノミークラス症候群として知られていました。しかし、じっと座って足を動かさないことがリスクになるので、たとえビジネスクラスでも同じことです。地震の際には車中泊をした人も多かったと思いますが、狭い車の中で夜を明かすとかなりの確率で深部静脈血栓症となります。

    一方、そのような狭い座席の問題ではなく、もっと身近に深部静脈血栓症を起こすことがあります。それは、寝たきり状態です。何らかの理由で寝たきりになると足を動かしませんから、足の静脈に血栓ができてしまいます。最悪の場合、リハビリの最中にその血栓が飛んで心臓から肺に詰まってしまい、急激に酸素化が悪くなってショック死してしまうことがあります。肺塞栓症と言います。

    このような状況にならないようにするには、寝たきりでも車中泊でも、足の運動をすることです。大きく動かさなくても結構。足先を上下に動かしたり回したりするだけでも血行が良くなり血栓を予防します。もし血栓ができてしまったら、抗凝固剤で新たな血栓の形成を抑制し、できた血栓が溶けるのを待つ必要があります。

    上江津湖

  • 空腹時血糖と随時血糖

    朝ごはんを食べずに来院してもらい、血糖を測るのを空腹時血糖、食事と採血のタイミングをランダムに測るのを随時血糖と言います。もちろん空腹時血糖の方が低い値になることが予想されます。昔は朝ごはんを食べずに来てもらい採血するのが当たり前でした。しかし、最近は随時血糖もだいぶ重視されるようになって来ました。随時血糖を測ると、空腹時ではわからない高血糖が見つかることがあり、隠れた糖尿病を診断することができるのです。

    糖尿病を治療中の場合、ヘモグロビンA1cという検査をよく耳にすると思います。7以下を目標に治療します。一方、ヘモグロビンA1cばかり見て治療していると、思わぬ低血糖を来すことがあります。血糖降下剤が効きすぎて血糖が下がると、気分不良となり、吐き気や冷や汗が出たり、ひどくなると意識が遠くなります。非常に危険なので、低血糖にはならないように注意が必要です。そこで、食後の血糖は下げ、空腹時血糖は低血糖にならない程度に維持するのが糖尿病治療の腕の見せ所なのです。

    さらに、血糖がやや高いところで安定しているのと高かったり低かったりの変動が大きい場合を比べると、少し高くても変動が少ない方がいいとされています。そういう最新の知見に基づいて治療しないと、単にヘモグロビンA1cをがむしゃらに下げればいいという時代ではなくなっています。また最近は、治療薬も新しくどんどん出てきており、以前に比べると治療がとてもしやすくなっています。

  • ASTR(アスター)という筋膜リリース法

    最近、テレビで筋膜リリースという治療法が話題になっています。特によく目にするのが、凝った肩の筋肉と筋肉の境目をエコーで確認しながら生理食塩水を局所注射して筋膜を剥がし、隙間を作ってやることで痛みを取るといった治療法です。

    私が筋膜リリースに着目したのは10年ほど前です。ただ、これは今はやりの超音波で生理食塩水を注入する方法や筋膜リリース用のマッサージ用具を使った治療ではありません。ASTR(アスター)というトリガーポイントを使った筋膜リリース法です。これは、主に鍼灸マッサージ師さんたちが勉強する施術法の一つです。以前教科書を買ってやり方をマスターしたのですが、なかなか実践で試したことはありませんでした。

    しかし、最近の筋膜リリースのブームを見て、ASTRを再度勉強し直しました。この施術法の優れているのは注射や超音波などを使わず、患者さんの手足の痛いところを探って、関節を曲げたり伸ばしたりしながら治療します。全く道具がいりません。その代わりちょっとしたコツがあるので、施術の訓練が必要です。私は日頃患者さんの手足を触ってツボを押したりして治療していますので、これを応用するとあまり難しくないと思っています。もうしばらく研究して、実際に外来でもやってみようと思います。患者さんにとっては、医者に痛いところを触ってもらっただけで治ったような錯覚があるかもしれませんが、ここには隠されたテクニックがあることをちょっとだけ知っていただけたらと思います。