むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • イソジンうがいはダメ!

    午後の外来で複数の患者さんから聞かれたことがあります。「さっきTVでみたんですけど、イソジンうがいがコロナに効くといってたので薬局に探しに行ったらどこにも売ってありません」とのこと。私はすかさず答えました。「イソジンのうがいは絶対にしないでください」と。年配の方は、昔風邪を引くとイソジンのうがいを病院でもらっていたことを思い出すかもしれませんが、今はそんな処方はしません。怪我したときも昔はイソジン消毒をしていましたが、今はしません。傷の治りが悪くなるからです。イソジンというのは殺菌力が強く、たいていの微生物を消毒することができます。アポロが宇宙から地球に帰還したとき、未知のウイルスを地上に持ち込む危険があったため、イソジンをロケットにふりかけたというエピソードが残っています。そこで、イソジンが新型コロナにも殺菌力を示すのは至極当たり前です。

    しかし、殺菌力があることと、うがいしたら予防になることは全然違います。理由その1;喉についたウイルスが感染(体内に入り込む)するのにかかる時間は10−20分と言われています。そこで、うがいで予防するには最低でも10分ごとにうがいしないといけません。まず無理です。そこで、WHOも厚労省も手洗いは推奨していますが、うがいは推奨していません。その2:イソジンは喉の粘膜を傷害します。何度もうがいすることで、喉の粘膜に傷が付き、ウイルスが体内に入りやすくなります。その3:喉には常在菌(善玉菌)がたくさんいます。悪玉菌や病原ウイルスなどと戦ってくれる善玉菌をイソジンで消毒してしまうと、バリア機能が失われます。

    そして、決定的なのは、被検者をイソジンでうがいするグループと水でうがいするグループの2群に分けて追跡すると、イソジングループのほうが風邪にかかりやすい事がわかっています。理由は上記1−3のとおりです。この結果から考えると、イソジンうがいをすると新型コロナにもかかりやすくなると考えられます。

    数年前から病院でイソジンのうがいを処方することはなくなり、市販でもほとんど流通しなくなりました。どうせならイソジンより水道水のほうがいいのですが、もっと有効なのは緑茶のうがいです。緑茶に含まれるカテキンの抗菌作用は安全で強力です。わたしは診察の合間にペットボトルのお茶(綾鷹など)をちょくちょく飲みます。これだけで感染予防になります。お茶はうがいのように吐き出さなくても飲み込めば胃酸の力で殺菌されます。これなら10分おきに可能です。

    今日の夕日。日が沈むと満月が登ってきました。