むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 気血水の話

    最近テレビで漢方関連の番組がいくつかあったのですが、それを見た患者さんが毎日のように来院されます。みなさん熱心にテレビを見て理解されていますので、すごく詳しくてびっくりします。

    漢方にも、日本で発達した古方という流派と、中国で発展した中医学の流派があります。またそれぞれ、どんな師匠について学んだかによって違う流派だったりします。茶道でいう表千家・裏千家のようなものです。診察の方法も、問診や脈診、舌診を重視する場合と、腹診(お腹を触って処方を決める)を重視する場合があります。流派ですからどちらが正しいというわけではありません。しかし、テレビでそういう診察風景をやっていると、それがスタンダードのような印象を受けますから、違った流派の診察を見ると違和感を覚えるかもしれません。

    ただし、流派は違っても漢方的な基本は共通しています。気血水という考え方は日本・中国で共通した理論です。体を構成する気血水という3つの要素があり、それぞれのバランスが健康を保っているのです。気が不足すると気虚といい、きつい、食欲がない、風邪をひきやすいなどの症状となります。気の量は十分あっても流れが悪くなるとのぼせ、カーと暑くなる、うつ状態、などの症状となります。例えば、倦怠感で来院した患者さんを見た時、気虚(気の不足)の場合と気滞(気の巡りが悪い)の場合とがあります。どちらの症状なのかを判断するのに脈を見たり舌を見たりするのです。決して西洋医学のように、血圧が高いから降圧剤、という感じの単純な図式にならないのが難しくもあり面白い点でもあります。

  • 動悸がしたら

    動悸で来院される患者さんがたくさんいます。動悸は一日中感じることもありますが、多くの場合は2−3分で治ります。時には一瞬どきっとしただけということもあります。このような症状で来院される場合、心電図をとっても受診時には症状がありませんから「特に異常なし」ということになりかねません。

    そこで、来院する際に一つだけ注意していただきたいのは、動悸がした時の脈の状態を詳しく教えていただきたいのです。速かったのか普通だったのか、リズムは乱れていなかったかという点です。慣れていれば手首の脈を触れれば脈の状態がわかります。30秒ほど脈をカウントします。30秒で30回脈を感じれば1分間に60です。30秒間の脈拍数の二倍です。トントントン、トトトトトンとかトントン_(一拍休み)_トンなど表現していただければ、それだけでかなり診断に近いところまで行けます。

    脈のスピードもリズムも正常だけど、やたら大きな拍動をドキドキ感じる場合もあります。これは大抵不整脈ではありません。緊張してドキドキするのと同じような理屈です。時には血圧が高くてドキドキすることもありますから、家庭血圧計を持っている場合は動悸がするときの血圧を測って欲しいと思います。その際に脈拍数も表示されますから、血圧だけでなく脈拍まで必ずメモしてください。この情報を持って来院いただければ、どんな治療が必要かはかなりはっきりします。

    動悸と一言に言っても、心疾患(高血圧、不整脈など)の場合と心因性(ストレスなど)の場合があります。また、女性ですと更年期という場合もあります。ただ、更年期とかストレスと決めつけずに広く可能性を考えておく必要があります。

  • 冷えと腹痛

    節分も過ぎて暦の上では春ですが、寒いですね。クリニックのベランダからは阿蘇山がすぐ近くに見えますが、どんどん白くなって来ました。きっと雪が積もっていることでしょう。

    漢方の外来をしていると、冷え症の患者さんがたくさん来られます。不思議なもので、冷え症なのにアイスクリームが好きで毎日食べる人や、ビールは一年中飲むという人もいます。これでは漢方を処方してもなかなか治せません。私も冷え症ですから、ビールは夏でもあまり飲みません。漢方の理屈では、苦いものは体を冷やします。ビールはその代表ですが、夏に食べるゴーヤ(苦瓜)もそうです。コーヒーや濃い緑茶も苦いですから、体を冷やします。冷やさないためには、暖かくして飲めばいいのです。アイスコーヒーやペットボトルの冷たく冷えたお茶は良くないと思います。

    昔、外来で見た患者さんのことを思い出しました。70歳くらいの男性が腹痛で来院されました。何を食べましたか?と尋ねると、寿司とビールとのこと。寿司もビールも体を冷やします。寿司は、生魚で体が冷えるので、生姜(ガリ)を食べてお腹を温めます。そして、お寿司にはビールでなくてやはり日本酒でしょう。日本酒は体を温めます。最後は大きな湯呑みで温かいお茶を飲みます。これでお腹が温まるのです。体を冷やしたらお腹が痛くなります。冷えて痛むお腹は温めれば治ります。漢方でお腹を温めるのは安中散です。大正漢方胃腸薬の成分です。

    大正漢方胃腸薬のCMは宴会続きで疲れた胃に良いようなイメージで売っていますが、それは間違いです。実際には、このようにお腹が冷えて痛む時に適しています。

     

  • 春は鬱の季節

    春は鬱の季節です。ヨーロッパに留学した先輩によると、ヨーロッパでは日照時間が短く寒い冬が鬱の季節で本当に辛いと聞きましたが、日本のは場合は春だと思います。

    春はいい季節なのですが、卒業、入試、転勤、引越し、就職と人生の重要な節目だからです。会社にとっては3月期決算を乗り切れるかが勝負というところもあります。誰しも、ストレスが非常に大きくなる時期です。鬱だけでなく、心筋梗塞も非常に多くなります。やはり原因はストレスだと思います。

    体調や心の状態がイマイチだと、この時期を乗り越えるのは本当にきついかもしれません。当の本人は頑張らないといけないとわかっているのに体が動きません。気合が足りないわけでもなんでもなく、体が思うように動かないので励ますことは逆効果です。私が患者さんにお話ししているのは「こういう時期は自力で頑張ろうとせず、しばらくの間薬の力を借りてもいいと思いますよ」ということです。ストレスがかかるしばらくの間だけでも抗うつ剤や漢方の力で乗り切るのはドーピングではありません。今の世を生き抜く知恵です。

    この写真は福岡のホテルオークラのロビーで撮ったものです。あれ、お内裏様が左右逆じゃないのかな?と思ってググってみた結果、お内裏様は京都風の場合左(向かって右)に、関東風では右(向かって左)に並べるそうです。だからこの写真は京都風の配置みたいです。

  • 週1回飲めばいい糖尿病の新薬

    糖尿病の勉強会に参加してきました。テーマは、週1回製剤の話です。

    数日前にも糖尿病の話を書いたのですが、この内容を書いていなかったので、追加して書いておこうかと思います。最近新しく出た糖尿病治療薬で、週に1回だけ飲めばいい薬があるのです。骨粗鬆症の薬では、随分前から週1回製剤がありましたが、糖尿病が週1回飲めばいいなんて夢のような話です。もちろん重症患者さんはそれだけでは足りませんから、まだ軽めの患者さん向けの薬です。

    私はこの薬が世に出た時に、服薬管理ができない高齢者にとてもいいなと思いました。ヘルパーさんたちが週に1回飲むのを確認すればいいのですから、治療が確実です。

    そう思っていたけど、これまで一度も使う機会がありませんでした。高齢者だけでなくてもっと若い世代で、例えば日曜なら確実に飲めるとか、そういう世代にもいい薬かもしれません。値段も毎日飲む薬を1週間分合わせた価格より安くなっていますから、経済的です。

    こんな薬があること自体まだ知られていないと思いますが、もし興味がある方は遠慮なく言ってください。これからはこういう薬を使う時代だろうと思います。