むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 治療よりも予防が大事

    認知症は生活習慣病の一つと考えられます。血圧、コレステロールなどのコントロール、血糖の管理、日頃の食生活、頭を使う生活、手先を動かす生活など総合的なものです。血圧やコレステロールの管理は脳梗塞の予防、脳の虚血(血流低下、酸素不足)を予防するために必須です。糖尿病も血管を悪くするのできちんと治療しないといけません。食生活では、脳のアミロイド蛋白の蓄積が認知症に関わっており、それを悪化させるのが精製した糖分です。脳から除去してくれるものとして知られているのがカレー粉の成分クルクミンです。毎日カレーを食べると脳に良いようです。また、シークワーサー(特に青い時期につんだもの)果汁も良いそうです。ココナッツオイルは中鎖脂肪酸ですが、糖質を制限しながらココナッツ油をとると血中のケトン体を増やします。ケトン体は脳のエネルギーとして有効なので、頭の回転が良くなるようです。卵の黄身に含まれる卵黄レシチンも頭にいい成分です。このように、食べたほうがいいもの、避けたほうがいいものとありますが、生活習慣として何十年も取り組まないと意味はありません。マイブームのように1−2ヶ月頑張っても効果は一過性です。とにかくいいと言われることを続けることです。

    頭や手を使う習慣も大事です。定年退職して家でボーと過ごすようになってボケてきたという話はよく聞きます。定年したら、趣味に打ち込むことです。手先を細かく動かす作業も頭を使うので、続けたいものです。認知症になってから、慌てて病院に来て、なにか薬をください、と言われても、ほとんど無駄です。認可されている認知症治療薬はありますが、十中八九効きません。何十年もかけて積み重ねた悪い生活習慣をたった一つの薬で治そうというのが甘いです。

    似たようなことが、糖尿病にも言えます。80歳を超えた頃に目がかすむからと眼科に行くと、糖尿が悪いからまずそっちを治してもらえ、と言われる患者さんが多いですが、その年で糖尿病性網膜症を起こしたというのは今始まったことでなく何十年も血糖の高い状態を放っておいた結果です。いまさら血糖管理を厳しくしても網膜症(視力)は戻りません。若いうちからきちんと管理することが大切です。