むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 日々勉強

    医者の仕事といえば、医学のことをしっかり勉強するのが仕事だと思う。日々進歩する医学を論文を読んだり、講演を聞いたりして常に知識をアップデートし、実践に役立てる。これは、現役の医師なら誰でもやっていると思う。

    もう一つは、患者さんから瞬時に大量の情報をキャッチする鋭い観察眼と勘を養うこと。言葉で表せない体調不良をパッと見た目や話した感じから探る。これは絶え間ない臨床の積み重ねと経験のフィードバックで養われる。ただなんとなく診察して、なんとなく受け流していると、フィードバックされる情報がなくて成長しない。

    3つ目には、体力づくり。患者さんの風邪や感染性胃腸炎などを毎日診ていると、最初のうちは一通りの病気にかかる。インフルエンザでもなんでも、流行ればかかる。そんな日々を過ぎてしまえば、今度はめったに病気をすることはなくなる。免疫がつくのだろう。しかし油断は大敵。ふとした気の緩みがあると、その日の夜から体調を崩して、ちょうどその時期に流行っている病気にかかってしまう。したがって、常に体力を充実させ、気の緩みなく過ごすことが大切だ。ストレス解消も大事だが、体力づくりはきちんと仕事をこなすための第一の条件だ。

    この3つくらいは今までも気に留めていたことなのだが、最近開業の準備を始めてから、もう一つ絶対勉強しておかないといけないことがあることに気づいた。それは、医療福祉制度の勉強だ。診療報酬の保険請求のこと、介護保険制度のこと、在宅医療のこと、年金のこと、労災のことなど、私たちを取り巻く医療福祉の制度はとても複雑で、知らないで開業なんてありえない。しかし、誰も教えてくれないし、大学でも習わないので今までほとんど何も知らずに見よう見まねでやってきた。今この知識の重要性に気づき、大急ぎで勉強している次第だ。これは、患者さんの利益につながるので、知らないでは済まされない。

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  • 患者さんとの別れは辛い

    現在、クリニックの開業準備中だが、今月いっぱいは桜十字病院の勤務がある。7月末で退職するため、残りは1ヶ月を切った。今外来に通ってきている患者さんが次に薬を取りに来るのはだいたい4週間後になるのでその時は僕はもう桜十字にはいない。

    そんなわけで、外来の患者さんには一人一人次回の外来担当医が変わるあいさつをし、名残を惜しむ。中にはそんな・・・と絶句し、涙を流される人もいる。こちらも、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。できることなら、この患者さんたちを一生面倒見てあげたかった。患者さんは自分の家族と同じ気持ちで接する、というのは新しいクリニックでも理念として掲げているが、当然桜十字の外来でもそういう気持ちで働いてきたので、一人一人との別れは寂しい。たいていの人は顔パスに近いくらい顔なじみ。病歴もずっと前のことから知っているから、いちいち説明しなくてもわかっているという安心感がある。いつ病院に来てもほとんど僕がいて、内科だけでなく、皮膚科でも泌尿器科でもちょっとしたことならなんでも対応する、そんな便利な存在だった。しかし来月からは、曜日で外来担当医が変わるし、それぞれが呼吸器、消化器、循環器と専門別になり、専門以外は見ない体制になる。大病院はかかりつけでなく、専門科に専念する、というのは国の施策なので仕方ない。

    そうすると、お年寄りは一つの科の外来で済むような場合は少ないので、幾つもの病院(診療科)を回らないとけないことになる。診療科を幾つも回ると時間がかかるだけでなく、無駄な検査も投薬も増え、検査漬け、薬漬けの状態となってしまう。かかりつけ医がいなくなってしまうのはこんな不都合があるので、本当に皆さんには申し訳なく思っている。しかし、僕の新しいクリニックは桜十字から車で片道30分はかかるので、高齢者には病院を変わるのは難しい。

    そんなわけで、一人ずつ挨拶を交わし、カルテには申し送りのサマリーを書き残し、1日で50名近い外来を終えると、さすがにどっと疲れが出る。

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  • 診療報酬

    みなさんが病院にかかる時には保険証を持っていくと思います。保険証があれば、1割から3割の間の自己負担となり、残りの7割から9割は国が負担してくれます。正確には国民健康保険(国保)や社会保険(社保)が払ってくれます。

    病院は、この患者負担の残りの部分を国保や社保に請求しないと収入になりませんが、その請求の仕方が難しいのです。病院の受付には医療事務の資格を持った人たちが働いていますが、私たち医者は医療事務の仕組みを全く習いません。診療報酬請求(レセプト)という書類を正確に作らなければ病院の収入にはならず、自分のした仕事も、間違えばタダ働きになってしまうのです。

    私がこのレセプトを初めて見たのは医者になってから13年も経ってからです。国立病院に勤務していた頃に、自分の行った診療に関するレセプトは自分で点検することになっていました。点検するといっても、そのレセプトがどのような仕組みになっているかは一度も習ったことがなかったので、医療事務の人が作ったレセプトを医学的見地から正しいかどうかを見ていただけで、それは全くチェックになっていませんでした。

    これから自分のクリニックを経営するため、このところ毎日「診療報酬入門」のような本を読んでいます。今まで知らなかったことだらけで、驚きの連続です。これでも、民間でずいぶん長く働いているので、大学や国立病院時代とは比べ物にならないくらい仕組みを理解しているつもりでしたが、全く足りていませんでした。これほど病院の経営に直結する医療事務については、医学部で教科として教えるべきでないかと思いました。

    しかし、裏を読むなら、あまり勉強して医者が診療報酬の仕組みについて詳しくなってしまうと、国はたくさん支払わないといけなくなるので、医者はその辺について詳しくない(請求漏ればかりしている)方がありがたいのかも・・・と思ってしまいます。

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  • 鍼灸勉強会2

    先週に引き続き、鍼灸勉強会を行った。四国から来られている鍼灸師兼薬剤師さんと私で先週と同じ患者さんを診て針治療を行った。四国の先生は彼独自の理論と経験で丁寧にツボを探り、針で刺激し治療する。私は私の理論でツボを決め、そこに針を打つ。不思議なことに、同じ患者さんの同じ症状を見ても使うツボは異なっている。

    どっちがすごいかを競うわけでなく、お互いの技術を披露し、刺激を受け、さらに勉強する。そういう会だ。鍼灸の世界は漢方のように2,000年以上昔から理論も技術も今に伝えられている。しかし、おそらく日本が鎖国していた江戸時代には日本独特の発展を遂げ、現代の中国バリと日本の鍼(はり)ではだいぶ異なってきていると思う。特に日本の場合、武道や茶道のように針道とでもいうべき世界になっており、師匠に弟子入りして初めて秘伝の技を伝授される、門外不出の方法といった世界だと思う。門外不出だから、他流試合などはあまり行わずに、自分のやり方を師匠から弟子へ、親から子へと、職業としての閉ざされた世界で密かに伝えられてきたのではないか。

    今の世はそんな世界ではなく、良いものは論文にして学会発表する。中国などは特許やISOなど世界標準を狙った政策を国を挙げてとっており、日本などとても太刀打ちできない。こんな勢いでは、東洋医学を使うなら中国に特許料を払えとか、漢字を使うなら金を払えとか言われそうだ。

    そんな面倒なことは国や厚労省に任せて私たちにできることは腕を磨き、一人でも多くの患者さんの痛みや悩みを取ってあげることだ。

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    写真は緑川ダム。梅雨の長雨で水が濁っていますが、青く晴れた空と紫陽花が綺麗です。

  • 在宅医療2

    先週に引き続き、Wクリニックの在宅部門に同行させていただきました。今回は、老人ホームやグループホームだけでなく個人宅にもお邪魔しました。個人宅ではもちろん介護職員がいるわけではないので、お年寄りの世話をするご家族がおられるのですが、やはり通院できない理由があるわけです。90歳代のおばあちゃんのお子さんが70歳代で持病のため車椅子だったりと、どこも大変です。だからこそ、在宅医療というサービスがあるわけです。

    在宅医療はクリニックだけで成り立つものではありません。訪問看護や訪問リハなど多職種が介入します。通院できない患者さんができるだけ自宅で不安ない生活を送れるようなサポート体制があるのです。

    しかし、こういった制度をどうしたら利用できるか、よく知られていません。大きな病院では、このような在宅の医療に対する理解が少ないですから、在宅医療に力を入れているクリニックに相談するのがいいでしょう。また、「ささえりあ」という熊本市の地域包括支援センターがお近くにあると思いますから、そちらで相談に乗ってもらえます。

    ある程度の歳になったら、健康相談ができるかかりつけ医を持ちましょう。気軽に話しやすいドクターでないと意味がありません。また、悩みをしっかり受けけ止めて聞いてもらえないといけません。人生のパートナーを選ぶつもりで、しっかりかかりつけ医を決めることをお勧めします。

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