むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 皆既月食の夜に漢方の勉強

    今日はひな祭りでした。訪問診療で伺っている施設には立派なひな飾りが。事務員さんが「せっかくですが今日でおしまいです」と仰るのを聞き、祭りの後をさっと片付ける日本ならではの美徳を感じました。

    そんなひな祭りの夜、チョコザップでの運動帰りに空を見上げると、月食が進んでいました。 私は幼少期から星が大好きで、図鑑を眺めては星の名前や豆知識を覚えるのが楽しみでした。月と地球と太陽が一直線に並ぶ神秘的な天体ショーには、今も変わらず心が躍ります。ただ、巨大な引力が地球にかかる時でもあり、自然災害への警戒も忘れないようにしたいものです。

    「心の漢方」講演会から得た確信

    診療後には、福岡で開催された飯塚病院の井上先生による講演会「心の漢方治療」をウェブ視聴しました。 私も心の問題に対する漢方について講演する機会があるため、非常に興味深く拝聴しました。私は基本的には中医学で飯塚病院は日本古来の古法派です。流派が異なっても、最終的に選ばれる処方が私とほぼ同じであったことは、自分の治療方針を再確認する心強い機会となりました。

    西洋薬と漢方の「ベストバランス」

    精神科や心療内科の領域において、「抗うつ薬や安定剤には抵抗がある」という患者さんは少なくありません。 もちろん、丁寧なカウンセリングだけで改善すれば理想的ですが、薬の力を借りる必要がある場面も多く存在します。その際、漢方薬は非常に有効な選択肢となります。漢方の併用によって、西洋薬の量を最小限に抑えられるケースもあります。

    しかし、私が最も大切にしているのは「漢方かどうか」という点ではありません。

    最優先すべきは「生活の回復」

    不安や悩みで仕事が手につかない、家事ができないといった状況では、じっくり時間をかけて経過をみる余裕がないこともあります。 大切なのは、できるだけ早く家庭や職場といった「生活の基盤」を立て直せる状態に戻ることです。そのためには、西洋薬(抗うつ薬や抗不安薬)の力が不可欠な場合もあります。

    西洋薬への不安はよく理解できますが、現在の生活機能を守ることが何よりの優先事項です。当院では漢方の希望に最大限寄り添いつつも、それが最善でないと判断した場合には、西洋薬の併用を率直に提案するようにしています。

    心の問題も、多角的な視点からアプローチすることが、健やかな日常への一番の近道だと考えています。

    築地と書いてありますが京都の街角です

  • 音声入力には外部マイクが良さげ

    最近、ブログで音声入力について何度も書きました。それを読んだ製薬会社のMRさんから、「自分も日報を書くときは音声入力です。その方が断然早いですから」という声をいただきました。どうやら音声入力は、すでにビジネスの現場でも欠かせないツールとなっているようです。

    かつてはタイピングが速いことが「仕事ができる人」の象徴のようなイメージもありましたが、今は違います。音声入力を使えば、誰でも手で打つより速く文章を作ることができます。精度の飛躍的な向上に加え、AIを使って「読みやすい日本語」へ一瞬で整えられるようになったことが、実用化を大きく後押ししていると感じます。

    形から入る「脱・気恥ずかしさ」

    とはいえ、パソコンに向かって一人でブツブツとしゃべるのは、どこか気恥ずかしいものです。なぜだろうと考えてみたのですが、どうやら「パソコンの内蔵マイク」に向かって独り言を言うようなスタイルが、気恥ずかしさの原因ではないかと思えてきました。

    そこで、Web講演会用に使っている本格的なスタンドマイクを接続し、それに向かって話してみることにしました。 すると、内蔵マイクより小さな声でも正確に音を拾ってくれますし、何より「収録」しているようなプロっぽい雰囲気が出て、気恥ずかしさが少し和らぐ気がしました。しばらくはこのスタイルで、音声入力をさらに使いこなしてみるつもりです。

    「慣れ」がもたらした、心の平和

    さて、当院ではこのところ、毎日100人前後の患者さんが来院されています。相変わらず発熱外来が忙しく、通常の診療と合わせて息つく暇もありません。 しかし不思議なもので、毎日これだけの人数を診察し続けていると、今では焦ることなく、マイペースで淡々と仕事に打ち込めている自分がいます。

    以前であれば、山積みのカルテを見て気持ちが焦ることもありましたが、今は午前・午後の各50人の診察も、心穏やかに一人ひとりの患者さんと向き合えている実感があります。「慣れ」の力というのは、本当にすごいものです。

    診療と漢方教育のバランス

    昨年から続いていた漢方の講演依頼も、昨日でひと段落しました。今年度の講演はこれで最後となります。 新年度になればまた新たな依頼をいただくかと思いますが、あまりの多忙さに、これからは少し回数を絞って診療に専念したいという思いもあります。

    一方で、私は日本東洋医学会の熊本県部会長という立場でもあります。後進の先生方の学びをサポートし、これまで培ってきた漢方のノウハウを伝えていく責任も感じています。 患者さんと向き合う「診療」と、漢方の知恵を広める「教育」。このバランスをどう取っていくかが、新年度に向けた目下の課題です。

    焼鳥すずや

  • 漢方の講演が無事終了

    本日は漢方の講演でした。テーマは「漢方による『気』の治療」です。 当院には心療内科的なお悩みを抱えた方も多く来院されるため、気分の不調は決して珍しいものではありません。「抗不安薬や抗うつ薬に頼らず、漢方で治療したい」というご希望も多く、漢方が活躍する場面は多岐にわたります。また、西洋薬を最小限に抑え、漢方を併用することで症状を安定させるケースも増えています。

    本日は、臨床現場でよく用いられる4つの代表的な処方について解説しました。

    1. 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

    当院で使用頻度が非常に高い処方です。職場や子育てのストレス、月経前症候群(PMS)など、イライラや気分の落ち込みが強い際に用います。心が穏やかに整い、睡眠の質の改善も期待できます。

    2. 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

    「体がだるい」「食欲がない」といった、エネルギー不足の状態に用います。過労による疲労蓄積や、うつ状態で気力が湧かないとき、また大病後の体力回復にも適しています。昨年は新型コロナ後遺症による強い倦怠感を訴える方にも、この処方が大きな力を発揮しました。

    3. 加味帰脾湯(かみきひとう)

    漠然とした不安が強く、不眠に悩む方に適した処方です。当院開設当初は熊本地震の直後で、余震の恐怖で眠れないという患者さんに非常に有効でした。また、今の時期ですと「子どもの受験が心配で眠れない」とか、「子どもが進学や就職で家からでていき、さみしくなった」という親御さんの不安感の緩和にも効果が期待できます。

    4. 加味逍遙散(かみしょうようさん)

    更年期障害の代表格ですが、実際には幅広い年代の方に用いられます。気分の浮き沈みが激しく、顔や頭に熱がこもって汗をかく(ホットフラッシュ)一方で、足は冷えるという「上熱下寒(じょうねつげかん)」の状態に最適です。循環器疾患を抱える女性患者さんで、この処方によって血圧が安定した症例も経験しています。


    本日はこれらの処方を通し、漢方がどのように「気の巡り」を整え、心身を癒していくのかを解説させていただきました。日々の診療においても、これらの漢方の力を活かして、希望に沿った治療を提案していけたらと考えています。

  • 漢方講演の準備

    「2月は逃げる」と言いますが、気がつけば早くも一週間が過ぎました。今週は比較的患者さんの数は落ち着いており、全体としてはのんびりした雰囲気でしたが、一方で発熱外来の対応に追われる日々でもありました。

    現在、水素吸入の回数券をご購入いただいた方には、できる限りご希望の時間帯にご利用いただきたいと考えております。しかし、発熱患者さんの対応が重なると処置室が満室になってしまうことが多く、思うようにご案内できない状況が続いております。ご不便をおかけし、誠に申し訳ございません。

    さて、私は明日土曜日の夕方、漢方の講演を予定しています。参加者は現地とオンラインを合わせると260名を超えそうだと聞いています。日赤の加島先生と分担し、4つの処方について解説した後、後半はフリートーク形式で漢方処方のコツなどをお話しする予定です。これまでスライド作成や処方解説の準備にかなりの時間を費やしてきましたが、最近はAIのおかげで思考の整理がずいぶんと効率よく進むようになりました。

    ところで、皆さんは買い物をするとき、「すでに持っているのに、また別のものが欲しくなる」という経験はありませんか? 今あるもので困っているわけではないけれど、少しだけ機能やデザインが違う新しいものが気になってしまう。こうした収集癖は、どちらかといえば男性に多いのかもしれません。ゴルフクラブを何本も揃えてしまう方など、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。

    実は私にも、つい増えてしまうものがいくつかあります。

    一つは、タブレット端末です。iPadやAndroid端末をいくつも並べ、用途に合わせて同時に複数の作業をこなすのが私のスタイルです。

    二つ目は、ペンライトやLEDライトなどの「明かり」。なぜか昔から光るものが好きで、ついつい手が伸びてしまいます。

    三つ目は、目覚まし時計。特に正確な時刻を刻み続ける「電波時計」には強い安心感を覚えます。各テーブルに置いておきたいと思うほどで、寝る時も食事中も、常に時間を意識して行動するのが習慣になっています。

    皆様には、理屈抜きについ集めてしまうものはありますか?

  • ZOOMとAIに助けられた一日

    忙しい土曜の診療のあと、予定では福岡に行って「痛みと漢方を学ぶ会」という勉強会に参加するつもりでした。万全の準備をしていたのですが、訪問診療で診ている患者さんの容態が悪化し、いつ呼ばれるかわからない状態となったため、参加できなくなりました。仕方がないので、自宅からWEB参加することにしました。

    時間になりパソコンでZoomにアクセスすると、ほとんど会場にいるのと同じ感覚です。むしろ広い会場でスライドを見るよりも、パソコン画面のほうが小さな文字まできちんと読めるので、かえって勉強になります。自宅なのでコーヒーを飲みながらリラックスして参加できました。

    訪問診療の患者さんは現在80名ほど契約しています。24時間対応ということになっていますが、たいていの場合は老人ホームのスタッフさんや訪問看護師さんが一旦確認したうえで連絡が入るため、何でもかんでも直接電話がかかってくるわけではありません。しかし、いよいよ最期が近くなると、私もいつ呼ばれるかわからず、ヒヤヒヤしながら過ごすことになります。当然お酒も飲めず、好きなサウナにも行けず、電話があればすぐに駆けつけられるようにしています。今回はそのような状態が1週間ほど続いており、なかなかゆっくりリラックスすることができません。こうしたことは年に数回ありますが、医師という仕事柄、仕方のないことだと思っています。

    今日は、海外に仕事で行かれる患者さんから、現在服用している薬を持参するにあたり、税関で質問された際に提示するための英文診断書を書いてほしいと依頼がありました。外来が非常に混み合っている最中でしたが、即座に「大丈夫ですよ」とお答えしました。もちろんAIがあるからです。

    書きたい内容を日本語で簡単に下書きし、AIに依頼すれば一瞬で英文になります。あとは体裁を整え、内容に間違いがないことを確認してサインするだけです。以前は英文を考えながら何度も書き直していましたが、今では数分で完成するようになり、本当にありがたい時代になったと感じています。

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