桜の季節、夜になると冷え込むのは例年のことですが、今朝の冷え込みは一段と厳しかったですね。天気予報によると、阿蘇方面では氷点下を記録したところもあったようです。
熊本市内はそこまでではありませんでしたが、出勤してまずはクリニックのエアコンを入れ、部屋を温めました。自動ドアの隙間からは大量の桜の花びらが舞い込んでいて、その掃除に追われましたが、これもまたこの季節ならではの風物詩です。
外来で花粉症の患者さんとお話ししていると、「今シーズンはようやく落ち着きました」という方と、「まだまだこれからです」という方に分かれます。これは、スギ花粉のピークが過ぎ、ヒノキ花粉のシーズンが続いているためです。スギとヒノキの両方に抗体を持っている方の場合は、年明けからゴールデンウィーク頃まで、長い期間鼻炎に悩まされることになります。
診察の合間に時間があるときは、患者さんにサプリメントのお話をすることもあります。 「ビタミンDを飲んでみてください。きっと楽になりますよ」とお伝えし、お勧めのブランドや適切な摂取量についても具体的に説明しています。
ただ、シーズンのピークを迎えて診察室が混み合ってくると、こうした詳しいお話をする時間がどうしても取れなくなってしまいます。 クリニックの待合室には『花粉症は1週間で治る』という本を置いていますので、気になって手に取られた方もいらっしゃるかと思います。まず、その本に手を伸ばすか否かで、その方の「運命」は大きく分かれます。
さらにもう一つの分かれ道は、読んだ内容を信じて実際にビタミンDを試してみる人と、「ふーん」と思うだけで行動に移さない人との違いです。 ここで一歩踏み出し、行動に移せた方には花粉症の苦しみから解放される明るい未来が待っていますが、思うだけで動かない方には、残念ながら変化は訪れません。
人生のあらゆる場面にこうした分かれ道がありますが、どちらを選ぶかはその方の考え方次第です。好奇心旺盛に新しい知見を取り入れるか、あるいは慎重になりすぎて現状維持を選ぶか。
ここで、昨日お話しした「不安」についての話題に戻ろうと思います。 人類がまだ狩猟民族だった頃、人々が抱く不安といえば「肉食獣に襲われないか」「狩りで危険な目に遭わないか」といった、命に直結するものが大半でした。
そんな過酷な環境において、例えば「心配性で危険を避ける人」と「楽観的でリスクを顧みず突き進む人」の二通りがいたとします。結果として生き残る確率が高かったのは、間違いなく前者——つまり、不安を感じて危険を遠ざけた人々でした。 現代の私たちは、太古の昔に「不安を感じ、臆病になることで身を守る」という選択をした人たちの子孫である、と考えられるます。
だからこそ私たちは、仕事、子育て、介護など、まだ起こってもいない未来のことに対して、次から次へと不安を抱いてしまうのです。 これは私たちの脳にあらかじめ組み込まれた、命を守るための「生存プログラム」でした。しかし、かつてのような直接的な命の危険が少なくなった現代社会においては、このプログラムが時に、私たちを生きにくくさせてしまっているのかもしれません。

