むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 鹿角霊芝(ろっかくれいし)

    鹿角霊芝(ろっかくれいし)という漢方薬がある。霊芝というのは「さるのこしかけ」ともいうので、そちらの方が馴染みがあるかもしれない。よく、がん患者さんがワラをもすがる思いで高いお金を出して買うイメージがある。

    この霊芝は最近は普通のキノコのようにおかクズで栽培できるらしい。先日の統合医療学会の後の懇親会でお会いした社長さんが、霊芝を栽培していると聞いた。鹿角(ろっかく)というのは読んで字のごとく鹿のツノという意味だが、鹿角霊芝は鹿の角に似た形の霊芝という意味だ。要は、椎茸にドンコがあるように霊芝には鹿角霊芝があるのだ。つまり、傘が開く前の若い霊芝のことで、有効成分も多く含まれているそうだ。

    その社長さんによると霊芝はがんだけでなく、肝疾患や腎疾患、糖尿病、水虫などの感染症などあらゆる疾患に効くと力説されていた。僕は漢方の専門家だが、霊芝のように高くて保険収載されていない生薬は扱ったことがないので全く知識がなかった。これを機に少し勉強してみよう。きっと患者さんの役に立つと思う。がん治療でなければ霊芝も少し使って薄く煎じて飲めばいいらしい。懇親会の場にいた別の病院関係者が、自分はその霊芝でB型肝炎が治りました、と言っていた。西洋薬にそんな薬はない。すごいことだ。

    そして、熊本の画図で栽培した鹿角霊芝で患者さんを救えるのなら、他の漢方が中国や北朝鮮からの輸入に頼っている現状の中で、地産地消の漢方として非常に今後期待されると思った。
    thumb_IMG_8054_1024

  • 統合医療

    統合医療という分野がある。名前の通り、いろんなジャンルの医学を統合したものだ。西洋医学で足りない部分を補う。漢方、ハリ、整体、ヨガ、アロマ、リラクゼーション、その他いろいろな健康関連の専門家が集まった学会だ。土曜日には熊本で統合医療学会が開催された。僕はこの学会の世話人で、学会では特別公演の座長を頼まれた。

    その学会で聞いた面白い話をひとつ披露したい。

    ご存知の通り、北海道の夕張市は財政破綻して厳しい環境にある。夕張の医療体制も崩壊したと言っても過言ではない。住民は超高齢化しており、普通だったらみんな病院通いが仕事のような人たちばかりだけど、病院そのものがほとんど消滅してしまい、よほどのことがないと病院に行くことはない。救急車を呼んでもなかなか来ないし、救急患者は60キロくらい離れた札幌まで搬送されるらしい。そんな中、夕張市民の健康状態を調査した結果が発表された。なんと、驚いたことにガンや肺炎で亡くなる患者さんの数は人口当たり、日本全体の統計とほとんど変わっていないとのこと。つまり、医療体制が崩壊しても、夕張市民の寿命は短くなっていないそうだ。驚きとともに、感動すら覚えた。(詳しくは森田洋之先生の著書:破綻からの軌跡〜いま夕張市民から学ぶこと〜を見てください)

    日本の(医療)財政は近い将来必ず破綻する。夕張で起こったことが、日本全体で起こる。その時、日本はどうなるんだろうと思っていたが、心配ないようだ。では、夕張ではなぜなんとかなったのだろうか?

    thumb_IMG_0483_1024

    それは、お年寄りを地域全体で支え合う。認知症が進んだ高齢者で、普通なら入院して寝たきりになるような人でも、地域のみんながそれを見て、声をかけ、助け合うことで一人暮らしが可能。点滴をしないで口から食べることで、認知症も改善し、歩けるようになる。そして、年取って病気になった時に入院、検査、点滴、ベッド上安静という本人は望んでいない治療を甘んじて受けることなく、自宅に帰る。そこには在宅診療、訪問看護という病院を使わず生活の中での医療サービスを受ける仕組みを充実させる。また、肺炎球菌ワクチンなど予防できる病気の予防はきっちり行う。

    厚労省は日本全体の病床数を削減し、在宅医療に舵を切るよう仕向けている。これは、無駄にお金をかけない医療体制作りというだけでなく、最後まで住み慣れた地域や自宅で幸せに過ごす時間を大切にする、という意味で、決して悪いことではない。ただ、これまで病院任せにしていたところを他人任せにしないという覚悟が必要となる。

  • 急がないこと

    先日、犬の散歩は効率良く回るのが目的ではないと書きました。ゆっくり時間をかけて、犬の好きなペースで歩くことこそが散歩の目的です。筋トレをしているわけでもないし、急いで帰って何かをする予定でもない、そんな時間の使い方があることを知るだけでも、慌ただしい現代から心をリセットさせてくれる気がします。

    クリニックの前の道は東稜高校の通学路になっており、朝と夕方は自転車でいっぱいです。それもあって、左右の歩道はかなり広めに作ってあります。その結果、車の通るスペースは狭くて対向車が来たらスピードを緩めないと危険です。自然とゆっくりとしか通れないように道が設計されているのです。街にシャワー通りというところがありますが、あそこも歩道を広く、しかもまっすぐな道をわざとくねくねと作ってありますから、スピードを上げられないようにしてあります。それと同じです。

    thumb_IMG_0484_1024クリニックに車でお越しの際にはどうかスピードを緩めて交通安全でお願いします。また、クリニックから道路に出入りする際には、左右からくる自転車にくれぐれもお気をつけください。

  • 調剤薬局

    最近のクリニックや病院はどこも院外薬局になっています。医院・病院では処方箋をもらい、それを持って院外の調剤薬局に行って薬と交換します。この仕組みには以前から役所的な規制があり、クリニック門前の薬局であっても独立した薬局であるから、クリニックとの境はきちんと塀や生垣を作って、薬局に入るには一旦道路に出ないといけませんでした。これは、役所が考える医薬分業の健全な姿かもしれませんが、患者さんにとってはなんのメリットもありません。医院・病院の隣にある薬局に行くためにぐるっと一旦道に出てからでないといけないなんて、不便でしかないですよね。

    この制度が、この4月から改正され、院外調剤薬局との間に塀を作らなくて良くなりました。当院でも隣の敷地に調剤薬局が今建築中で、クリニックに合わせてオープンする予定です。その薬局と当クリニックとの間には仕切りはありません。患者さんは道に出なくてもクリニックの玄関から薬局の玄関へ最短距離で歩いていけます。新しいスタイルですが、患者さんのことを思えば当然です。制度の改正が当院オープンに間に合い、本当に良かったです。

    今日は薬局の先生と今後のことについて打ち合わせをしました。

    thumb_IMG_8068_1024

    向かって右側のまだ足場に隠れている部分が調剤薬局です。来週くらいには足場が取れて、姿を表すと思います。当クリニックの車寄せの大屋根をまっすぐ通り抜ければ、ほとんど雨に濡れたりせずに薬局に入れます。駐車場はクリニックと薬局は共有となっていますので、車の移動は必要ありません。

  • 「効率を追求しない」生き方もある

    僕たちは時間に追われて生きている。分刻みの仕事、締め切りのある仕事。だれもが似たようなものだろうと思う。昔はバスの運行などもかなり大雑把だったけど、最近は、バスに乗って道がたまたま混んでいないとスケジュールより早く次のバス停に着いてしまうので、そこのバス停で時間合わせに3分ほど停車、とかざらにある。みんな1分にうるさいのだ。

    小学校の頃から時間を守るようにしつけられているので、時間を無視した生活というのに離れていない。つい、効率よく動く習慣がついている。

    犬(ゴン)の散歩をしていると、信号を何度か渡るところがある。ところが、うちのゴンは信号よりも信号の手前の電柱の方に関心がある。今だと青で渡れるのにーと思っても、ゴンは電柱の匂いを嗅ぐのに忙しい。あー赤になった。と思う。しかしよく考えてみると、ゴンにとって、効率よく青信号で散歩道を進むことは散歩の目的ではない。ゴンにとっては時間は関係なくて、早く散歩道を回ろうなどとは全く考えていない。いつもの電柱が今日はどんな匂いがするかなーというのが一番の関心であり、散歩の楽しみだ。効率など関係ない。ゴンにとってはそれでいいのだ。

    thumb_IMG_8064_1024

    今日、外来には毎月便秘薬をもらいに来る患者さんがきた。1錠だと効かず、2錠だと効きすぎる、と毎回同じ話をしていく。僕が、仕事の効率を追求するなら、「とりあえず1日2錠で処方しておきますが、調整して使ってください」と言って2−3分で終了。ただ、実際は僕の外来では、その患者さんのとりとめもない話を最後まで聞く。昔は便秘ではなかったという話、便秘は歳のせいでしょうかという話、山登りをしたらトイレがなくて大変だった話、昔軍隊で体を鍛えたから体は丈夫で便秘以外に何も薬はいらない話、などなど10分以上話はつづく。先月も同じ話を聞いたが、初めて聞くようにリアクションする。患者さんは診察室を出たらもう何を話したか覚えていないかもしれない。それでも、今日僕の外来でちょっとハッピーな時間を過ごした気分だけは残ると信じている。内科外来は救急外来と違って効率を追求しないで一人ひとりに十分な時間をとりたい。これは簡単にはできないのだが、そうする努力はしている。いや、楽しみながらそうさせてもらっている。後ろで待っている患者さん、待たせてごめんなさい。あなたの話もじっくり聞きますよ。