むらかみ内科クリニック

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  • ドラマ「チャングムの誓い」は漢方の教材だった!

    懐かしの韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』を視聴しています。20年ほど前にNHK-BSで放送されていた際、毎回欠かさず見ていた記憶があります。先日、動画配信サービスのLemino(レミノ)で配信されているのを見つけ、懐かしくなって見始めました。

    全54話の長編なので、1年ほどかけてゆっくり楽しむつもりでいたのですが、なんと4月中旬で配信終了と判明。今は焦りながら、日々の隙間時間を見つけては視聴を進めています。おかげでようやく30話まで辿り着きました。

    ご存じの方も多いと思いますが、物語は大きく二部構成になっています。前半は、宮廷の料理を担う「水刺間(スラッカン)」で働くチャングムの波乱万丈な日々。運悪く宮廷内の勢力争いに巻き込まれ、敗れたチャングムは済州島へ島流しにされてしまいます。しかし、聡明で努力家の彼女は、そこで出会った医女・チャンドクに弟子入りし、後半からは医学を志す物語へと展開していきます。

    20年前にこのドラマにこれほど夢中になった理由を忘れていましたが、今回改めて見て思い出しました。チャングムが医学を一から学ぶ場面で師匠が教える内容は、まさに私たちが学んでいる中医学(東洋医学)の基礎そのものなのです。

    中医学には、患者さんを診察する際の基本となる「望・聞・問・切(ぼう・ぶん・もん・せつ)」という「四診(ししん)」があります。

    • 望診: 顔色や表情、体つきから病態を読み取る

    • 聞診: 声のトーンや息遣い、体臭などから診断する

    • 問診: 症状や生活習慣を詳しく尋ねる

    • 切診: 脈に触れる脈診や、お腹に触れる腹診などで診断する

    これらは東洋医学独自の診察法です。チャングムの師匠がこうした診察法を丁寧に伝授していく場面は、漢方を学ぶ者にとって非常に実践的で、当時もワクワクしながら見ていたことを思い出しました。

    今改めて見ても、望診や脈診の所見の取り方がドラマを通じて実に見事に描写されています。漢方の学習を積み重ねた今の目で見ると、当時よりも描写の意図がより深く理解でき、そのクオリティの高さに驚かされます。東洋医学の入門者から専門家を目指す方まで、見るだけで相当な知識が身につく、非常に質の高い作品だと改めて感じています。

    そこで、気づく方もいるかも知れませんが、私の通常の診察はこの望聞問切を行っているのです。患者さんが診察室に入ってくるときの表情や歩き方、座り方、話をする声の雰囲気などすべてが診察です。西洋医学でおこなう採血や画像診断などの前に、見て、話を聞いて、脈を触れる頃には悪いところがだいたい予想がつくので、よその病院より検査が少ないのです。

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