むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 仮想空間でAIを鍛える

    私はわりとショートスリーパーで、夜11時半頃ねて朝5時に起きています。仕事中は眠くなる暇もないくらい忙しいし、昼休みも訪問診療に出かけて車の運転をするので、休む暇は全くありません。夜はあっという間に眠りについて朝までトイレに起きることもなく爆睡します。そんな中、昨夜は珍しく夢にうなされるように起きてしまいました。なんの夢かというと、来月主催する学会の準備の夢です。あと1ヶ月しかないので、そろそろ本腰を入れて具体的に当日の運用を考えないといけない。会場にいくつ椅子をいれるか、マイクを何本用意するか、座長の席と演者の席をどうレイアウトするか。受付では記帳、会費の支払い、領収書発行、専門医の点数申請、スライド受付など多数しないといけないことがあります。会場のどの位置でどういう流れで受付業務をするか、何人人を配置するか、全部具体的に決めないといけません。それが夢に出てきて、「何もまだ決まってないぞ」とお告げのように入ってきたので、超焦りました。それが多分3時頃だったと思いますが、布団の中にいても全く眠れなくなり、4時には起きてあれこれ考えて、調べたりメモを取ったり始めました。お陰で、さすがに今日一日は体力的にもきつかったです。

    何事もイベントや仕事をトラブルなくこなすには、いかに物事を具体的に、細部までリアルに想像できるかにかかっています。リアルであればあるほど細かいところまで事前に詰めることができます。今日の私の場合、夢でかなり具体的な問題指摘があったので、忘れないうちにそれをメモして、対策を考えました。考え出すと止まらなくなり仕事に支障をきたすので一旦止めました。月初めでレセプトのチェックも今週中に終わらせたいので、時間がどれだけあっても足りません。

    ところで、最近自動車にも人工知能(AI)がどんどん実用化されて自動運転や自動ブレーキのような安全装置に搭載されています。これらは実際車を走らせていろんな条件を学習させているわけですが、最近はバーチャルの仮想空間でAI搭載車を走らせ危険を回避する体験を積むことができるそうです。すると、仮想空間ですから自動的に24時間ぶっ通しでいろんな体験を積むことができます。例えばバーチャルなAI車を100台走らせれば、一気にAIの学習が100倍になるわけです。こうすることで、こういうときはこうすると危険を回避できるというデータが一気に蓄積できるのです。私の学会の準備はAIでも仮想空間でもありませんが、必死に当日の動きを想像しながらあーしよう、こうしようと、具体案をねっているわけです。

    夜中に眠れなくなり学会のアイディアを考え中の絵。Copilotで作成しました

  • 病院の待ち時間について

    昨日は診療が夕方の6時半過ぎまでかかりました。7時半から漢方のWEB講演会で座長を頼まれていたので、大急ぎで会場に駆けつけたところ、ギリギリ間に合いました。裏道を巧みに走ってくれたベテランタクシー運転手さんに感謝です。講演は日赤の加島先生が「むくみの漢方治療」について解説していただきました。若い女性や高齢者からのむくみの訴えは非常に多いので、とても参考になりました。漢方の初学者は五苓散ばかり使うかもしれませんが、勉強が進むと、患者さんごとに異なる病態に応じて適切な処方をすることができるようになります。

    講演が終わり、質疑応答の時間に、熊本市の地下10キロを震源とする震度3の地震がありました。ほとんど直下型で余震もなくどーんと来たので、久しぶりにびっくりしました。私はローカルのWEB講演会だと思っていたので、地震は視聴者全員が感じたと思っていたら、実は日本全国から200名ほどの参加があったとのことで、驚いたのはごく一部の参加者だったと後で知りました。また、視聴者が全国にいるとは知らず、ついつい漢方について雑談的な話にまで及んでしまい、あとで少し恥ずかしく感じました。それでも、雑談の中から少しでも印象に残ることがあれば、それも勉強ですのでお許しください。

    このところ、朝晩は少し涼しくなりましたが、日中はまだまだ驚くほど暑いので、私はエアコンを強めに付けて診察しています。季節の変わり目で体調不良を訴える方が特に増えている印象です。夏バテが一番多いですが、喘息や秋の花粉症などアレルギー疾患、職場の異動によるストレスで体調を崩した方、2学期が始まって学校に行けない学生さんなど、診察室はいつも以上に患者さんでいっぱいです。

    今日ネットを見ていたら、病院の待ち時間についての記事を見つけました。日本の多くの病院では何時間も待たされる一方で、予約制の進んだ海外の病院は待ち時間が少ない。ただし、予約が取れるのは数カ月先。結局、フリーアクセスでいつでも診てもらえるのは嬉しいけど、2〜3時間待ちが当たり前の日本と、海外の2〜3ヶ月待ちの待ち時間を比較すると、日本はまだ良い方かも、という話でした。私が書くと自己弁護になりそうですが、極力待ち時間短縮のため、テキパキと診察を進めたいと思っています。ご来院いただく皆様にもご協力をよろしくお願いします。

    Zoom講演会の様子 Copilotで挿画作成

  • 当院にはいろんな患者さんが来られます

    当院は漢方を得意とするところから、一般的な内科クリニックとは異なる特徴を持ち、多様な患者層が来られます。もちろん通常の発熱患者さんや高血圧、糖尿病などの患者さんが最も多いのですが、そういった一般的な内科疾患に加え、コロナ後遺症で来院される方も相当数いらっしゃいます。また、冷え性やお子さんの起立性調節障害、学校に行こうとするとお腹が痛くなるといった不調も漢方が得意とする分野です。更年期障害や虚弱体質の改善もよく診ています。

    漢方以外では、痛風の患者さんが多い印象です。毎日のように新たな痛風患者さんが来られます。痛風は、整形外科にいくと内科受診を勧められることが多いのですが、内科ではあまり積極的な治療を行わず、ロキソニンなどの痛み止めを処方する程度のことが多いようです。私は開業前に治療法を研究し、かなり痛みを取れるようになったため、これまで何度かブログにそのことを書いてきました。おそらく、ネット経由で当院を知り来院される方が多いのだろうと思います。

    もう一つ、他の病院ではあまり見られないものの、当院では珍しくない疾患がむずむず足症候群です。医学用語では下肢静止不能症候群、またはレストレスレッグス症候群といいます。寝ようとすると足がムズムズして気持ち悪くて眠れない。仕方なくベッドサイドをウロウロ歩き回ったり、夜に散歩に出たりすることがあります。この症候群は一つの病態に限らず、3〜4つのパターンに分かれることがあり、それぞれに異なる治療法が必要です。私が開業前の職場で診療していた際、ある患者さんが「足がムズムズしてたまらない」と訴えたため、治療法を研究して処方したところ、劇的に改善しました。それがきっかけとなり、多くの患者さんが来院されるようになり、個々の病態に応じた治療が重要であることを学びました。最近では、こうした病態に合わせた治療に加え、漢方的な解釈を取り入れた治療も行っています。西洋薬の効果が不十分だったり、副作用が出て通常治療ができない場合には、漢方の出番です。

    新市街のCoCo壱の2階にある干物の専門店。カウンターに並んでいる干物を選ぶと焼いて定食にしてくれます。写真はアジの干物。美味しかったですよ!

  • 敬老の日に思うこと

    今日は敬老の日ですね。今や日本の人口の約3割が65歳以上だと言われています。定年後にのんびり過ごすのも一つの選択肢ですが、現実的には60代や70代でも元気な方が多いので、可能な範囲で社会に貢献し続けることが大切です。もし、貯蓄がたくさんあって働かなくてもいいという方は、ぜひそのお金をタンスにしまわずに、どんどん使っていただきたいと思います。お金は使って初めて価値が生まれますし、経済も回るからです。

    私が訪問診療をしている患者さんの中にも、「生きているうちに貯金を全部使いたい」と話す方がいます。毎日おいしいものを食べ、お酒も楽しみ、元気に暮らしている姿を見ると、これこそ理想的な老後だと感じます。90歳近くになって将来のために貯蓄するのは、ある意味でもったいないことです。80すぎまで長生きできた人にとっては、食事ももう少し自由でいいのではないでしょうか。もちろん、糖尿病や腎不全などの病気があれば多少の節制は必要かもしれませんが、若い頃ほど厳しくする必要はないと思います。長生きしたご褒美です。

    さて、今日は医師会病院の救急外来での当番でした。内科系救急外来を担当しましたが、幸いコロナの患者さんは一人もおらず、腹痛や下血など消化器系の症状が中心でした。私は循環器の専門で、腹痛の診察は専門外ですが、採血やエコー検査を行い、重症の方は入院、軽症の方には胃腸薬を処方して帰宅していただきました。

    昔、研修医としてこの病院で働いていた頃は、救急車がひっきりなしに来て、夜勤でも30~40人の患者さんを見ることはザラでした。それが今では10人程度に減少していますが、それでも受付から診察、検査までの流れがスムーズではなく、10人の対応もやっとという状況です。スタッフが怠けているわけではなく、どうやらシステム全体が老朽化している印象を受けます。経営者としてスタッフの動きを観察すると、改善すべき点が多く見えてきます。

    せっかくの連休ですが、あまりにも暑くて外出する気にならないので、チョコザップで走る以外は家でNetflixを楽しんでいます。最近ハマっていたのはアメリカのドラマ「バージンリバー」で、60話ほど一気に見てしまい、すっかりドラマロス状態です。しかし、先日チェックしたところ「エミリーin Paris」の新しいシーズンが配信されているのを見つけました。早速視聴を始めましたが、これもまた楽しみです。

    Copilotに挿絵を描いてもらいました。

  • ロキソニンとムコスタはなぜセット処方されるのか

    鎮痛剤でロキソニン(ロキソプロフェン)をもらうときに、ムコスタ(レバミピド)という胃薬がセットで処方されることが多いと思います。世の中に胃薬はたくさんある中で、なぜムコスタ(レバミピド)が選ばれているのかをご存じの方はあまりいないでしょう。

    実は、私が20年ほど前に大学院生だったころ、炎症学の基礎実験をしていました。急性呼吸不全や敗血症の病態解明と治療法の開発に取り組んでいたのですが、その流れで、鎮痛剤やストレスから引き起こされる胃粘膜障害(胃潰瘍)のメカニズムについても研究を始めました。

    その結果、胃粘膜障害には胃酸が関与しているのは当然ですが、白血球の活性化が粘膜障害の引き金になっていることがわかりました。多くの胃薬を試した中でも、ムコスタ(レバミピド)は白血球の活性化を抑制し、抗炎症効果を発揮することがわかりました。鎮痛剤やストレスで引き起こされる胃粘膜障害に対して非常に効果的だということを実証しました。私はこの研究結果を論文にまとめ、日本全国だけでなく、ウィーンやハワイの学会でも発表しました。これが、今でもロキソニンと一緒にムコスタを処方される理論的背景となっています。

    ちょうどその頃、プロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾールなど)が開発され、胃潰瘍の治療が劇的に改善されました。また、ピロリ菌の存在も発見され、ピロリ菌の除菌が胃がん予防に繋がることがわかりました。当時は、消化器内科の先生たちがこれらの新発見に夢中で、鎮痛剤による胃粘膜障害の研究を行っている人はほとんどいなかったのです。

    最近、息子が帰省した際に、私の大学院時代の研究の話をしていたところ、「そういえば、この論文はムコスタ(レバミピド)の添付文書に引用されているよ」と思い出し、検索してみたら今でも使われていました。息子に少し自慢できて、嬉しかったです。

    私は胃カメラも得意だったので、一時は消化器内科に進むことも考えました。しかし、集中治療分野でアメリカに留学することになり、消化器内科には進みませんでした。人生にはいろいろな分岐点があり、決断の時があります。今振り返ると、あのとき消化器を選ばなかったのは大きな決断だったと思います。もっとも、元々心臓(循環器内科)の方が好きだったことが背景にありますが…。

    リンク>ムコスタの添付文書(よかったら見てください)

     

     

    今日はナスとケールとひよこ豆のカレーです。夏はカレーに限ります。ご飯は見えないくらいちょっと。