むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 周囲に目を配るには

    いい天気が続いていますが、朝の冷え込みは厳しかったですね。水道の水もひときわ冷たくて驚きました。こんな寒い朝、日の出前からランニングしている人を見かけますが、本当に元気だなと思います。私も以前は、暑い日も寒い日も毎日10kmは走っていました。しかし開業してからは、自分の体がすべてですから、風邪も引けないし怪我もできない。そう考えるようになり、無理をせずジムに通う生活に切り替えました。この2年ほどは、もっぱらチョコザップばかりです。チョコザップでは長時間走ることはありませんので、痩せる効果こそ期待できませんが、短時間でも走れば心肺機能はしっかり維持されます。訪問診療先の老人ホームでエレベーター点検中に階段を使うことがありますが、ほとんど息が切れません。

    さて、「見る」と「見える」は似ているようで、実はまったく異なります。例えば運転中、自転車や歩行者はちゃんと見ていても、運転中に通りかかった焼肉屋が混んでいるとか、あの店はいつも閉まっているといった情報は、人によって“見えている”場合と“見えていない”場合があります。この差は、その人の興味や注意力の違いです。もちろん運転中は安全に必要な情報をしっかり見る必要がありますが、それ以外の部分が見えるかどうかは、その人の視野の広さに大きく左右されます。

    月初めは毎日レセプトのチェックに追われます。2000枚を超える書類を一気に見るため、とても神経をすり減らします。私が確認するのは主に、処方や検査に対して適切な病名が付いているかどうかです。一方、同じレセプトを医療事務のスタッフがダブルチェックしてくれていますが、彼女らが見ているのは私の確認項目に加えて、細かい加算やレセプト申請のルールに沿っているかどうかなど、非常に細部にわたる内容です。これは本来、私が見るときにも“見えている”はずですが、事務的な細かい点に疎い私には、実際には見えていないのと同じなのです。

    最近はスマホやデジカメの性能が飛躍的に向上し、写真1枚あたりの画素数は何千万という世界になっています。デジカメが出始めたころは30万画素程度だったように思います。それに伴い、必要なメモリー容量もどんどん大きくなり、写真を保存するだけでもかなりの容量が必要になりました。このように、たくさんの情報が“見える”ことは良いのですが、それに比例して画像処理能力が何百倍も求められるようになったわけです。

    仕事をしていると、周囲が見えている人と、そうでない人が必ずいます。これは個人の特性であり、「もっと周りをよく見て」と言われても、できない人にはなかなかできないのだと思います。そのような場合、上の立場の人が指導するには、周囲のことに関心を持ってもらうよう働きかけること。それが唯一の方法ではないかと感じています。

    天草1号橋を望む

  • 時間管理の重要性

    時間管理術のひとつに、田の字を描いて4つのマスに分類する方法があります。横軸の右側に「急ぎの仕事」「急ぎでない仕事」、縦軸に「重要なもの」「重要でないもの」と書きます。右上は「急ぎのうえ重要な仕事」ですから、ここに入るものは何を差し置いても最優先で片付ける必要があります。一方、左下の「急ぎでなく重要でもない仕事」は、時間が余ったらすればよい程度で、優先度は最下位です。テレビやネットをダラダラ見る時間はここに該当します。

    問題は右下の「急ぎだが重要でない仕事」と、左上の「急ぎではないが重要な仕事」をどう扱うかです。頭では「急ぎではないが重要な仕事」を優先すべきと分かっていても、現実には「急ぎだが重要でない仕事」をつい優先してしまいます。突然の電話やメールで返事を求められるものなどが典型例です。多くの人が「雑用に追われて忙しい」と感じるのは、この領域の仕事に振り回されているためです。

    私たちが最も意識して時間を割くべきなのは、「急ぎではないが重要な仕事」です。会社の長期戦略を練ったり、将来のための勉強・研究をしたりすることなどが該当します。すぐに成果は出ませんが、ここに時間を投資したかどうかは将来必ず大きな差となって現れます。

    この視点で見れば、毎日忙しく働いているのに一日を振り返ると「大したことをしていない」と感じる理由は、「重要ではないが急ぎの仕事」を優先してしまうからだと言えます。幸い、最近のAIの発達のおかげで、この領域の作業はAIに任せられる時代がすぐそこまで来ています。

    では、AIに雑用を任せたあなたは何をするべきでしょうか。間違っても、空いた時間をドラマ視聴や飲みに行くことで埋めてはいけません。「急ぎではないが重要な仕事」に目を向け、時間ができたらそこに取り組むことです。隙間時間が1分でも、それが一日10回あれば10分の勉強ができます。意識しなければ時間はあっという間に過ぎていきます。

    三角西港の洋館

  • 投資と浪費の境界線

    病院経営も最近では赤字のところが多く、倒産の話題をよく耳にします。一般的なビジネスと違って、病院は厚労省がサービス(診療)に対する対価(価格)を決めているため、自分の努力でどうにかなる部分はほとんどありません。また、仕事内容に関しても保健所などからの指導があり、ルールから外れたことはできません。広告も規制されています。医療をビジネスと考えるのは、一般的なビジネスとはかなりかけ離れた世界だと思います。しかし、それでもビジネスセンスのある施設は今も利益を出していますし、センスがないと赤字になります。この差はどこから来ているのでしょうか。

    私が考えるに、病院が何かを買うとき、それが投資なのか浪費なのかという線引をしっかりしておく必要があります。例えば院長が必要もない高価な車を買うのは浪費ですが、往診や訪問看護の仕事のために車を買うのは投資です。簡単に言えば、買ったものが利益を生んでくれるかどうかで判断できます。

    境界がわかりにくいものもあります。例えば外食。美味しいものを食べるのは一見浪費に見えますが、それが健康に良い食事であれば結果的に自分への投資となります。また、たまたま居酒屋で隣のテーブルの人と仲良くなり、その人が自分の顧客になってくれれば、その外食は浪費ではなく投資と言えます。ラーメン好きの人がただ食べるだけなら浪費ですが、食べ歩きの感想を出版したり、YouTubeで発信したりすれば、利益が出る可能性があり投資となります。このように、すべての消費行動が投資なのか浪費なのかを考えながら動ける人は成功するのだろうと思います。

    結局、安いものを買うか高いものを買うかということは、投資・浪費の判断基準ではありません。マンションを買って自分で住むだけでは利益は出ませんが、人に貸せば家賃収入になります。投資に見合うリターンが見込めるかどうかを計算できる人が勝者。計算もせず、ただ「欲しいから買う」という衝動的な人は敗者になるのではないでしょうか。

  • 忙しくても睡眠時間は削らない

    寒くなりました。日中の最高気温も10℃しかなく、ひんやりとした空気がいよいよ冬だと感じさせます。今日は夕方7時から漢方の講演を頼まれていたのですが、6時の時点でまだカルテが20名ほど残っており、このままだと講演が時間通りできるか心配しました。しかし何とか6時半過ぎに終了し、間に合いました。移動がなく、診察室のパソコンから配信できたおかげです。Zoomの普及は本当にありがたいです。

    今回の講演のテーマは「痛みの漢方治療」です。頭痛、胸痛、腰痛など、痛みは全身に起こります。それぞれをどのように判断し治療するかについてお話ししました。短絡的に病名だけで漢方を選ぶのではなく、気・血・水のバランスを丁寧に評価することが治療成績向上につながるという内容です。90分の講演だったので約90枚のスライドを用意しましたが、ゆっくり説明していたら時間が足りなくなり、後半は詳細を端折りながら急いで話を進め、ギリギリ予定時間に収まりました。

    私は毎日、分刻みのギリギリのスケジュールで動いています。朝起きる時間も、ご飯を食べる時間も、犬の散歩も、だいたい何時からと決めています。その流れが講演などで2〜3時間ズレてしまうと、その日のノルマが終わらず、翌日のスケジュールに影響します。今日もクリニックの帳簿付けができないまま帰宅したため、明日は朝から忙しくなりそうです。ちょうどこの寒さで街路樹の落ち葉もどんどん増えているので朝の清掃も欠かせません。月初めでレセプトチェックもあります。すべてをいつも通りこなすのは難しく、どこかで一つ余計な予定が入ると、何かを犠牲にせざるを得ません。

    誰にでも同じような経験があると思いますが、最悪の選択は睡眠や食事の時間を削ること。これは避けなければいけません。一度きりなら大丈夫かもしれませんが、常習化すると確実に体を壊します。押してしまったスケジュール調整は、仕事を一つ諦めるしかありません。プライベートの時間を大事にすること。これが、仕事を長く続けるためのコツだと思います。

  • 太るのは人類が生きるために獲得した能力

    お正月まであと4週間です。というのも、当院では薬を週単位で処方することが多いため、4週間分の処方をすると、次回の来院がちょうどお正月休みにあたります。そのため、処方日数を調整して、次回の来院時期が休みに当たらないようにしています。「次回の来院は年末と年明けではどちらがいいですか?」と尋ねると、ほとんどの方が年明けを選ばれます。その結果、1月最初の2週間は非常に忙しくなると予想します。

    睡眠薬を定期的にもらっている患者さんには、30日分以上の処方ができない決まりがありますので、年末にもう一度来ていただくか、眠剤を半分に割って使うなど工夫が必要です。ただし、一部の眠剤は安全性が高いため、30日分以上処方できるものもあります。この際、安全な眠剤に変更するのも一つの方法かもしれません。

    ところで、朝起きられない、学校に行けないというお子さんは、出席日数が足りず進級や卒業が危うくなっていることも多く、ご両親も心配だと思います。当院ではこのようなお子さんに漢方治療を行っていますが、焦って連れてこられても、漢方がすぐに効くわけではありませんので、余裕を持って早めにご相談いただきたいと思います。初診からわずか数日後に、まだ学校に行けませんと連れてこられることがありますが、すぐに劇的な効果が出るわけではありません。おそらく小児科や心療内科、児童精神科にかかっても、効果的な治療法は少ないのが現実です。結果的には通信制の学校に転校することが多いです。漢方は、ケースバイケースですが一定の効果があります。しかし、漢方の粉が苦手な方には、数少ない錠剤の漢方を使うこともありますが、選択肢がわずかしかありません。試行錯誤しながら、少しでも良い方向へ導いていきますが、時間がかかることをご理解いただければと思います。

    治療が簡単ではない話を続けますが、痩せたいから漢方をくださいと言われる患者さんが非常に多いです。しかし、漢方を飲むだけで痩せるわけではありません。運動や食事制限といった努力なしでダイエットが成功するのは、めったにありません。人間の体は、何百万年にもわたり飢餓と戦ってきたため、少し食べれば皮下脂肪として蓄える仕組みを持っています。最近、熊の出没が話題になっていますが、熊も冬眠前にたくさん食べて脂肪を蓄えます。人間も同様、生きるために太るようにできているのです。これに逆らうには、相当な覚悟と努力が必要です。