むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 検査データの解釈は難しい

    カレンダーを見ると、いつの間にか3連休。
    毎日、その日その日の仕事に集中しているので、「連休だから何かしよう」といった計画を立てる間もなく、気がつけば連休に突入していました。

    お休みといえば、当院は1ヶ月後のお盆休み(8月13日~15日)を休診とさせていただきます。ホームページのお知らせ欄にも記載しておりますので、お間違いのないようお願いします。今週お薬を取りに来られた方には、お盆期間にかからないよう、処方日数を調整させていただきました。

    さて、今週は「胸が痛い」「動悸がする」など、一見すると循環器(心臓)関連と思われる新患の方が多く来院されましたが、実際には心疾患以外のケースがほとんどでした。その中で、24時間(ホルター)心電図の検査によって重度の不整脈が見つかった方もおられ、早期発見に役立ったことにホッとしました。
    また、「熱中症かと思ったらコロナだった」というケースもありました。最近はコロナも再び増えており、こうした鑑別が重要になっています。

    患者さんが多いと、どうしても一人ひとりに割ける時間が限られてしまいます。しかし、限られた時間の中でも必要な検査をピンポイントで行い、的確に診断できたときは本当に安心します。逆に、あれこれ検査しても原因がつかめないときは、最も悩ましい瞬間です。

    そして今日、非常に興味深い症例がありました。
    腎機能が低下しており、大病院で長く経過を追われているという方が、10年分もの採血データを持参されました。その病院では、eGFR(推算腎機能)をグラフにプロットし、「数値がどんどん低下している=腎機能が悪化している」と説明されたそうです。

    ところがよく見ると、10年前のeGFRは120ほど、最近は80くらい。確かにグラフに線を引けば急降下しているように見えますが、現在のeGFRが80であれば、通常は「腎機能が悪い」とは言いません。

    そこで、「このeGFRが120もあった頃、すごく痩せていたりしませんでしたか?」と尋ねたところ、「ちょうどその頃はバセドウ病の治療中でした」とのこと。なるほど、それで合点がいきました。
    バセドウ病により甲状腺機能が亢進していたとき、体内では“過剰ろ過”が起きており、eGFRが一時的に非常に高くなっていたのです。つまり、腎機能がどんどん悪化しているのではなく、甲状腺機能が正常化するにつれて、eGFRも正常な範囲に落ち着いてきた、と考えるべきなのです。

    やはり、データの解釈は“パッと見”で判断せず、背景や経過、そして他の可能性をきちんと考慮することが大切です。今日もまた、データの裏に隠れた「物語」を読む大切さを実感した一日でした。