総合診療科を舞台とした「19番目のカルテ」というドラマが最終回を迎えました。私はNetflixで週遅れで視聴していたため、今日ようやく最終回を観ることができました。最後まで見どころ満載で、とても良いドラマでした。
臓器別診療が中心の現代医療では、どの科にもなじまない患者さんが一定数いらっしゃいます。それは、現代医療の仕組みの問題であって、患者さん自身は気の毒です。そうした患者さんに対応するのが、多科横断的な総合診療科です。実は私の専門である東洋医学(漢方)も多科横断的で、内科にとどまらず、小児科、産婦人科、整形外科など幅広い分野の患者さんを対象に診療しています。
ドラマでは院長選の話題も描かれていました。一人は患者さんに寄り添うタイプ、もう一人は病院経営を重視するタイプ。このとき繰り返し語られていたのが、総合診療や小児科は採算が合わないため、縮小や廃止の対象となってしまう、という現実です。今の医療制度は出来高制ですから、短時間にどれだけ多くの患者さんを診るか、どれだけ多くの検査を行うかで収益が大きく変わります。一人の患者さんにじっくり向き合い、とことん話を聞いて人生にまで関わるという診療は、理想的ではありますが現実には困難です。外来診療では、何分話を聞いても初診料あるいは再診料の数百円しか算定されません。医師、看護師、受付などの人件費や電子カルテ、レントゲンなどの維持費を日割りにすると、一日に何十人を診ないと赤字になる、というラインが最初から決まっているのです。
したがって、ドラマに出てくるように時間をかけて話を聞き、考え抜く診療は現実的にはほとんど不可能です。もしそうした医療を求めるのであれば、自由診療を行うごく限られた施設でしか実現できません。とはいえ、私自身も漢方や心療内科に携わっている立場上、できる限り多くのことを話していただき、不安や困っている症状をお聞きしたいと思っています。もちろん全員にそれをする時間は取れませんので、血圧やコレステロールの薬を定期的に取りに来られる方で、特に変わりがない場合には、申し訳ありませんが、短時間の診察で処方させていただいています。私の時間も限られていますので、必要なところに必要な時間を配分せざるを得ないのです。
限られた条件の中でも、患者さんの不安や思いを少しでも受け止められる診療を続けていきたいと考えています。

