むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 高齢者の糖尿病管理

    「糖尿病だからあれこれ食べたらだめ」と言われて、食事を楽しめなくなっている方、多いと思います。

    もちろん、血糖コントロールは大切ですが、高齢者の場合は若い方とは少し違った考え方が必要です。むしろ、「食べない」ことがリスクになることもあるのです。

    高齢になると、筋肉量が減り、体力や免疫力も低下しがちです。ここに「糖尿病だから」と食事を極端に減らしてしまうと、さらに筋力が落ちてしまい、寝たきりやフレイル(虚弱)につながってしまいます。

    実際、高齢者の糖尿病治療では、血糖値だけを追いかけるのではなく、

    体重が減りすぎていないか
    筋肉がしっかり維持されているか
    食事をきちんと楽しめているか
    低血糖を起こしていないか
    といった視点がとても重要になります。

    たんぱく質やビタミン、ミネラルを含むバランスのよい食事は、筋肉や免疫を支えるために欠かせません。高齢者の糖尿病では、「控える」より「足りているか」を確認することのほうが大事な場合も多いのです。特に注意したいのは、低栄養によるフレイルやサルコペニア(加齢による筋肉減少)です。これらは、転倒・骨折・入院のリスクを高め、生活の質を大きく損なってしまいます。

    では、どう管理すればいいのか?
    高齢者の糖尿病管理の目標は、「血糖値を完璧にすること」ではなく、元気で、日常生活を楽しく続けられることです。制限することより、無理なくバランスよく食べる内容や量を工夫することが大切です。

    そもそも、血糖をなんのためにコントロールするか。それは、動脈硬化や心疾患などの合併症を抑えるためです。血管病変などの合併症は血糖コントロールが悪い状態を10年20年と経過した結果出てきます。そうかんがえると、例えば75歳くらいまで厳重に血糖コントロールしたら、あとは検査データに一喜一憂せず、ご褒美と思って食事を楽しんでいいと思います。

    高齢の方の糖尿病は、「制限」よりしっかり食べて、筋肉を保ち、元気で過ごすこと。それが、長く健やかに生きるための秘訣です。

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