「40Hz(ヘルツ)」という周波数が、いま大きな注目を集めています。 最近読んだ本によると、40Hzの周期で点滅する光刺激を脳に与えると、認知症の原因とされる脳のゴミ「アミロイドβ(ベータ)蛋白」の除去(クリアランス)が促進されるというのです。これが本当なら、非侵襲的で比較的シンプルな認知症治療が実現するかもしれません。
さらに、光だけでなく「40Hzの音」でも同様の効果があるとのこと。ネットニュースでは中国の研究チームが、これまでマウスで確認されていたこの現象を「アカゲザル」でも実証したと発表していました。霊長類で確認されたということは、人間への応用がいよいよ現実味を帯びてきたことを意味します。光と音の刺激を併用すれば、相乗効果も期待できるでしょう。すでにハーバード大学を中心に実用化プロジェクトも進んでおり、今後の展開が非常に楽しみな分野です。
通常、脳内のアミロイド沈着を調べるには特殊なPET検査や髄液検査が必要で、患者さんの負担や施設側の設備面から、誰でも気軽に受けられるものではありませんでした。 ところが、ここでも新しい技術が登場しています。なんと、採血だけで脳内のアミロイド蓄積量を推測できる検査が可能になりつつあるのです。米国ではすでに実用化されており、日本への導入も時間の問題だと思われます。
この検査は、発症後の診断はもちろん、「健診」で真価を発揮するはずです。毎年数値を追うことで、上昇の兆しから認知症の予兆を早期に捉え、先述の光・音刺激などの予防策を講じることができるようになるからです。
さて、先日、当院が訪問診療で伺っている認知症専門の高齢者施設で、責任者の方が退職されるというお話を耳にしました。 何十人もの認知症の方々をケアする現場は、一瞬たりとも気が抜けません。目を離した隙に異物を口にされたり、転倒して怪我をされたりと、常に緊張感と隣り合わせの非常に過酷な仕事です。一方で、介助がなければ食事すらままならない方も多く、献身的な支えが不可欠です。
しかし、私はあえて言いたいのですが、介護の現場で頑張りすぎてはいけません。 仕事を適切に分担し、「長期戦」として取り組まなければ、人生100年時代といわれる現代では、介護する側が先に倒れてしまいます。これはご家庭で介護されている場合も同じです。どうか一人で抱え込まず、ケアマネジャーや行政の窓口に相談し、ショートステイなどの社会資源を積極的に活用してください。そのための介護保険制度なのですから。

立春ですね いよいよ春に向かって季節は変わります
