むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 酵素反応と体温の話

    気持ちのいい朝でした。新聞を取りに外に出たら、カラッと乾燥してひんやりとすがすがしい空気が胸に入ってきて、とてもいい気分になりました。そのまま家に入るのがもったいない。時間があるならブラブラと散歩でもしたくなるような、素晴らしい秋晴れの朝。こんな天気がしばらく続いてくれると嬉しいな、と思います。

    私たちの体調が気温に影響されるのは、酵素反応の問題があります。体内では、食べ物をエネルギーに変えたり、不要な物質を解毒したりと、さまざまな酵素が活躍しています。その酵素には「至適温度」というものがあり、最も効率よく働くためには適切な温度が必要です。高すぎても低すぎても良くありません。特にウイルスが体内に侵入した際、免疫機能は体温が少し高めの状態で最も効果を発揮します。体はインターロイキンやプロスタグランディンなどの物質を作り、体温を上げて免疫機能を高めます。風邪をひくと熱が出るのはこのためです。熱によって頭がぼんやりすることもありますが、それでも外敵を排除することを優先しているのです。解熱剤を飲むと熱が下がり、頭はスッキリしますが、せっかく体が免疫を高めるために反応しているのを抑えてしまうため、風邪が長引くことが知られています。したがって、解熱剤はどうしても症状が強くて辛いときや、食事が取れないほどきつい場合に限って使用するのが望ましいです。

    酵素の話をもう少し掘り下げてみます。酵素はタンパク質でできているため、外部から摂取したものがそのまま体内で酵素活性を発揮するわけではありません。酵素は胃酸で変性し、消化されてしまいます。体内では、必要な場所に必要なだけの酵素が自然に生成されているため、食事やサプリメントで酵素を補うことは、あまり効果が期待できないと言われています。昔はさまざまな酵素が医薬品として使用されていましたが、最近ではほとんど使われなくなりました。しかし、一部の酵素は消化を助けるものとして使われているため、すべてが無意味というわけではありません。

    例えば、パパインという酵素はパパイヤに含まれており、肉の消化を助ける効果が昔から知られています。私がアメリカにいた頃、よく見かけたのが「ミートテンダライザー」と呼ばれる、パパインなどを含んだ製品です。これはステーキ肉などにまぶし、しばらく置いてから調理すると、肉が柔らかくなるという商品です。肉を食べた後に消化を助けるために飲むものではありません。また、酵素には「至適pH」という条件もあり、通常は中性付近が最も効果を発揮します。つまり、胃酸に触れない環境では効果を期待できるかもしれませんが、通常の食事中や消化過程ではその効果は限定的です。