「胃腸炎」と聞いたとき、医療従事者であれば、多くの場合「感染性胃腸炎だろう」と考えます。ところが、患者さんとお話をしていると、どうも一般の方の「胃腸炎」という言葉には、医療従事者とは少し違ったイメージがあるようです。
「感染性胃腸炎とは別のものですよね?」「胃腸炎と言われたので、うつる病気ではないと思います」このように考えている方も少なくありません。これは、私たちにとっては思いもよらないことで、そのギャップに驚かされます。(まるで、ニューヨークは中国ですよね、と言われたくらいの衝撃です)
そもそも胃腸炎というのは、胃や腸に炎症が起こっている状態を表す言葉です。もちろん、原因はいろいろあります。ウイルスや細菌などの感染によって起こることもありますし、薬剤などが原因になることもあります。
しかし、日常診療で「胃腸炎」と呼んでいるものの多くは、感染性胃腸炎です。特に、普段お腹の丈夫な人が突然、下痢や嘔吐をしたという場合には、まず感染性胃腸炎を考えます。
「昨日まで何ともなかったのに、朝から急に下痢が始まった」
「吐き気と一緒に下痢になった」「家族も同じような症状になった」
このような場合です。
そのため、医療機関で「胃腸炎」と説明した場合、感染性胃腸炎の可能性が高いと考えています。そのため、胃腸炎は感染性と思って対処したほうが安全です。つまり、
・トイレの後は石けんと流水でしっかり手を洗う
・タオルを家族と共用しない
・症状がある間は、できるだけ人との接触を減らす
・嘔吐物や便の処理には注意する
・調理をする場合には特に衛生管理に気をつける
といった対策をしておくと安心です。
特に家庭内では、最初に発症した人から家族に広がってしまうことがあります。「自分はただの胃腸炎だから大丈夫」と思っていると、知らないうちに家族へ感染を広げてしまう可能性があります。
「胃腸炎」と「感染性胃腸炎」は別物ではありません
胃腸炎の中に、「感染性胃腸炎」が含まれると考えていただくと分かりやすいと思います。
ただし、長く続く下痢や、血便、強い腹痛などがある場合には、単純な感染性胃腸炎とは限りません。このような場合には、自己判断せず専門医療機関を受診してください。
まとめ
「胃腸炎」という言葉を聞いたら、「胃腸の調子が悪いだけ」と考えるのではなく、急に始まった下痢や嘔吐なら、まず感染性胃腸炎の可能性が高いと考えて感染対策をする。このことを覚えておいていただければと思います。

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