久しぶりの雨となりました。私の自宅やクリニックのあたりでは、今年の夏、梅雨明けをして以来、やっとまともな雨が降ったような気がします。これまでも、わずかに雨がパラついたことはありましたが、すぐに止んでしまい、まとまった雨にはなりませんでした。
今日も本格的な雨というわけではなく小雨でしたが、久しぶりに気温が下がりました。昼に往診に出かけたとき、車の温度計を見ると24℃。昨日の今頃は36℃くらいあったと思いますから、一気に10℃以上下がったことになります。雨が降っているおかげで、久しぶりに心地よく過ごしやすい一日でした。
ただ、今回の雨は台風の接近によるものです。今のところ、このあたりでは強い風も吹いておらず、雨もそれほどひどくはありません。一方で、九州から遠く離れた東北地方では、秋雨前線による大雨が降っているところもあるようです。今回の台風も、南から暖かく湿った空気を運んでくることで前線の活動を活発にし、場所によっては局地的な大雨になる可能性があります。これ以上、水害などの災害が起こらないことを願っています。
さて、この天気のせいかどうかは分かりませんが、今日はめまいを訴えて来院される患者さんが多い一日でした。
台風が近づいたり、雨が降ったりすると体調が悪くなるという方は、決して珍しくありません。頭痛やめまいなど、天気の変化とともに症状が悪化する患者さんでは、漢方では五苓散や苓桂朮甘湯などを使うことがあります。漢方では、こうした症状を水分バランスの異常や「水滞」などと関連づけて考えることがあります。ただし、天気による頭痛やめまいだからといって、誰にでも同じ漢方薬が効くわけではありません。
実際、「五苓散を飲んでみたけれど、全然効きませんでした」という患者さんもおられます。
そういう場合には、そもそも一般的な「天気による頭痛・めまい」とは違うタイプの症状なのかもしれません。めまいと一言で言っても、ぐるぐる回るのか、ふわふわするのか、立ちくらみのような感じなのか。頭痛といっても、ズキズキするのか、締め付けられるようなのか。吐き気はあるのか。いつから始まったのか。いつもの症状と同じなのか、今回だけ違うのか。こうした情報を詳しく聞いていくことで、初めてその症状の背景が見えてくることがあります。
そこで、今日はもう一つ、患者さんにぜひお願いしたいことを書いておきたいと思います。当院に初めて来院された方や、いつもと違う症状で受診された方には、受付で問診票をお渡ししています。その中に、「今日はどういった症状で来院されたのか」を書いていただく欄があります。
例えば、
「今朝から頭痛がする」と書いてあれば、もちろん意味は通じます。しかし、できればもう少し詳しく書いていただけると、診察をする側としては非常に助かります。
もし、
「今朝からズキズキと頭が痛く、少し吐き気がします。いつもの頭痛とは違った感じがします。イブを飲んでみましたが、あまり良くならなかったので来院しました」
と書いてあったらどうでしょう。これだけで、かなり多くの情報が得られます。
いつから始まったのか。どのような痛みなのか。吐き気があるのか。普段と違うのか。薬を飲んだのか。その薬が効いたのか。
こうした情報は、診断を考えるうえでとても重要です。ですから、患者さんには、自分の症状をきれいにまとめようとしなくてもいいので、思ったことをそのまま書いていただきたいと思っています。
私自身も、問診票に書いていただいた内容は、できるだけそのままカルテに残すようにしています。せっかく患者さんが、「頭がズキズキ痛く、いつもの頭痛と違う気がする」と書いてくださっているのに、それをカルテに「今朝から頭痛」と一言だけ書いてしまったら、せっかくの重要な情報が失われてしまいます。
医師にとって、患者さんの症状を知るための最も重要な情報源は、やはり患者さんご本人の言葉です。ところが、診察室で医師を目の前にすると、緊張してしまって、自分の症状をうまく説明できなくなる方も少なくありません。そういう方にとって、問診票は非常に便利なものです。診察室で話すのが苦手でも、問診票なら落ち着いて書くことができます。
「頭痛」「腹痛」「めまい」といった簡単な単語だけではなく、いつから、どんな症状が、どの程度あって、普段と比べてどうなのか。そして、何か薬を飲んだのか、その結果どうなったのか。
こうしたことを書いていただけると、診察をする側としては非常に助かります。医師にとっては、その一つひとつが診断のための大切な情報になります。「自分の症状を自分の言葉で伝えること」は、より正確な診断につなげるための、とても大切な第一歩だと思います。
