むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • AIでソフトを作ってみた:作業時間5分、計算10分

    梅雨前線の影響で雨がひどい一日でした。

    私は朝6時半にはクリニックに到着していたので、雨は降っていましたが通常通りに通勤することができました。しかし、8時頃に出勤してきたスタッフに聞いたところ、至る所が冠水しており大渋滞だったそうです。

    去年の今頃も大雨で熊本市内の河川が氾濫し、相当な被害が出ました。その時のことが思い出されます。

    やはりこの天気ですから、どうしても薬が切れてしまったという患者さんが慌てて来られる以外は、外来もまばらで閑散としていました。せっかく時間があったのでAIを使って面白い取り組みをしてみました。

    さて、昨日の夕方、慢性腎臓病(CKD)の講演会に参加した話を書きました。その続きです。

    最近、採血データにはeGFRという値が載っていますが、これは推定腎機能を表す指標です。このeGFRの計算の元になっているのは、年齢とクレアチニンという数値です。

    また、腎機能の良し悪しを判断する際には、単に一点のeGFRだけを見て議論することはできません。長期間のデータの推移から腎機能がどの程度の速度で低下しているかを評価し、その傾きをもとに、将来的に透析が必要になる可能性があるのか、それとも生涯透析を回避できそうなのかを推測します。そのうえで、どこまで積極的に治療介入するかを考えるわけです。

    例えば80歳で腎機能が低下している患者さんの場合、よほど急速に悪化しない限り、多少数値が悪くても生涯透析になる可能性は高くありません。

    一方、40代で腎機能低下が始まった場合には、10年、20年という長い経過の中で将来的に透析に至るリスクが高くなります。このように、患者さんの年齢によって状況の捉え方や考え方は大きく異なります。

    講演会を主催した製薬会社の担当者の方と今日お話をしていたところ、eGFRのスロープを計算するウェブサイトは存在するものの、実際にはあまり使いやすくないという話になりました。

    さらに、ある先生はAIを使って自動計算ソフトを作ったという話を聞きました。なるほど、それは良いアイデアだと思い、私も試してみることにしました。

    まず入力項目として、

    1. 患者さんの生年月日と性別
    2. 検査データの日付とクレアチニン値

    を設定しました。

    そして、

    1. 検査日時点の年齢とeGFRを計算し、グラフ化する
    2. データから一次近似直線を求める
    3. データのばらつきを考慮して標準誤差(SE)を加味した予測ラインを作成する
    4. 将来の透析導入リスクを予測する

    というソフトを作るようAI(今回はClaude)に指示しました。

    プロンプトを書くのに5分もかかりませんでしたが、AIが処理を始めてから完成するまでには10分以上かかったと思います。途中、画面には大量のプログラムコードが高速で流れていき、私の指示がコンピューターの言語に変換されて実行されている様子が見て取れました。

    完成後には模擬データ入りのExcelファイルが作成されたので、ちょうど今日来院された腎機能の悪い患者さんの過去10年分の採血データを入力してみました。

    その結果、現在の経過であれば透析導入に至るとしても40年以上先であり、仮に悪い経過をたどった場合でも20年ほど先になることが分かりました。

    この患者さんは60代ですので、悪い経過をたどったとしても透析が必要になるのは80歳代という計算になります。

    もちろん油断は禁物ですが、少なくとも現時点では過度に心配する状況ではなく、引き続き腎保護療法を継続していくことが重要だという結論になりました。

    この自作ソフトがどの程度実用的なのか、今後しばらく検証してみたいと思います。

    しかし、言葉で説明しただけで内容を理解し、ここまで実用レベルのプログラムを作成してくれるAIの能力には、本当に驚かされました。

  • デジタル悪習慣からの脱却

    こちらのホームページとブログは、当院のオープン前に開設したものです。ブログの方は10年間毎日更新を続けており、現在では3,600件以上の記事が蓄積されています。

    ブログはWordPressを使って運営していますが、10年も経つとシステム自体が古くなり、さまざまな箇所でアップデートが必要になってきます。先日、試しに自分でアップデートを行ってみたところ、何らかの不具合が発生してしまいました。その影響で、スマートフォンから当院のホームページを閲覧した際、一部正しく表示されない箇所があります。

    いろいろと操作していただければブログやその他の情報にたどり着くことはできますが、現在は少々使いにくい状態となっています。

    ホームページ制作会社にはすでに修正を依頼しております。10年という歳月が経過していることもあり、セキュリティ強化を兼ねて、この機会にシステム全体を更新していただく予定です。

    やや大掛かりな作業となるため、現在は対応待ちの状態です。ホームページが見づらくなっており、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。復旧までしばらくお待ちいただければ幸いです。

    さて、話題は以前から書いているデジタルデトックスについてです。

    取り組みを始めて1ヶ月以上が経ちましたが、次第にこの生活にも慣れてきました。

    以前は食事をする時、必ずパソコンを開いて韓国ドラマなどを見ながら食べていました。しかし、こうした「ながら作業」を完全にやめ、「食べる時は食事に集中する」と決めてからは、一度もドラマを見ながら食事をしていません。

    ただ、長年の習慣というのはなかなか抜けないもので、ご飯を食べようと思った瞬間に「今日は何のドラマを見ようか」と頭をよぎることがあります。それを振り払って何も見ずに食べていると、今度は食卓が静かすぎて居心地が悪くなり、「せめてBGMでも流そうか」と思うこともあります。

    しかし、できるだけBGMもかけず、静かな環境で食事に集中することを目標にしているため、意識してデジタルから距離を置いて生活してきました。

    もちろん韓国ドラマを見たい気持ちはありますし、続きも気になります。しかし今では、「食事をすること」と「ドラマを見ること」が自分の中で明確に切り離されています。

    おかげで食事そのものに集中できるようになり、満足感も高まりました。その結果、食べ過ぎの防止にもつながっています。

    また、ネットを開いてドラマを見る時も、あらかじめ「何分まで見る」と決めておき、それ以上は見ないようにしています。

    以前は気が付けば寝る時間ぎりぎりまでダラダラと見続けてしまい、自分の時間をすっかりドラマに奪われていました。それでも「面白かったから仕方ない」と思っていましたが、最近では自分の意思で見るかやめるかをコントロールできるようになりました。

    ドラマを見ない時間は、読書や料理など他のことに充てることができます。そのおかげで以前より時間に余裕が生まれ、1日の充実度はかなり高くなったように感じています。

    自作 「鶏(手羽元)とシシトウのカレー」です ご飯は黒米を混ぜているので紫色になってます

  • 早速DXに取り組みました

    例年通りではありますが、新年度が始まったこの2日間、クリニックの患者さんは少なめです。待ち時間もほとんどなく、のんびりとした診療風景となっています。

    皆さんは新しい職場や部署での生活が始まり、きっとお忙しく過ごされていることでしょう。今は病院へ足を運ぶ余裕もない時期なのだと思います。こうしたゆったりとした時間は一年のうちでも数えるほどしかありませんので、私自身もありがたく休息をいただきながら、一日を過ごさせていただきました。

    先日ブログでも触れた通り、これからの医療現場ではAIを活用した業務の省力化が不可欠です。そこで、まずは手軽に導入できる仕組みとして、外部から届いた紹介状などをスマホでスキャンしてAIに要約させ、それを電子カルテに貼り付けるワークフローを構築してみました。

    試行錯誤の結果、今回はGeminiに適切なプロンプトを入力して要約する方法を採用。日頃からタイピングでのカルテ入力に尽力してくれているスタッフに、この「AI活用術」を伝授しました。

    併せて、電子カルテの音声入力設定も整えました。周囲に人がいると独り言を言っているようで少し気恥ずかしさもありますが、マイクの感度が非常に良く、小さな囁き声でも正確に拾ってくれます。これは大幅な省力化に繋がると確信しています。まずはこうした身近なところから、スタッフの無駄な労力を省けるよう取り組んでいきたいと考えています。

    また、外来業務で使用しているiPadの中には、開業以来使い続けて10年近く経つものがあります。先日、内蔵バッテリーが膨張して本体が変形していることに気がつきました。このまま使い続けて発火などのトラブルが起きては大変ですので、急ぎ買い替えることにしました。

    最新チップを搭載したiPadが、既存の電子カルテシステムとスムーズに連動できるかは実際に試してみるまで分かりません。そのため、まずは1台を先行して入れ替え、動作を確認した上で、他の端末も順次更新していく予定です。

    職場のDXというのは、ソフトウェアの導入だけでなく、ハードウェアも最新のものにアップデートしていかなければ、思うようには進みません。DXの真の目的は省力化にありますが、そこには相応のコストも伴います。

    経営者としては、つい費用対効果を優先して考えてしまいがちです。しかし、深刻な人手不足・人材難の時代だからこそ、多少のコストをかけてでも業務を簡略化し、スタッフの負担を減らすDXを力強く進めていきたいと考えています。

    今年はツツジと桜が共演しています。写真は当院の向かいにある公園です。

  • AI音声入力ソフト「Typeless」はすごい

    だいぶ暖かくなり、熊本市内の桜もちらほら咲き始めました。 今週末は自衛隊健軍駐屯地前の通りで桜まつりが開催される予定です。

    さて、私が訪問診療をしている患者さんは80名ほどいます。皆さん80歳から100歳を超える方まで、高齢の方がほとんどで、主に老人ホームに入居されている方を訪問しています。 この時期によく言われるのが、「今年もまた桜を見ることができました」というお話です。「私はあと何回、桜を見ることができるでしょう」と問われれば、その答えは誰にも分かりません。それでも「来年もまた桜が見られるといいですね」と、心から思う今日この頃です。

    昨日から、ひすいこたろうさんの『あした死ぬかもよ?』という本を読み始めました。タイトルの最後に「?」がついているのは、大阪弁で言えば「知らんけど」というニュアンスでしょうか。この本は、自分の人生を俯瞰したとき、この先あと何年生きられるか分からないからこそ、いつか人生を振り返ったときに後悔しない生き方をしよう、という趣旨で書かれています。 まだ読み始めたばかりなので詳しい感想は書けませんが、昨日お世話になった方のお通夜に参列したことが、この本を手に取るきっかけになりました。

    ところで先日、仕事で使う電子カルテ用のパソコンに、AI音声入力ソフトの「Typeless」を導入しました。 通常の音声入力と違い、TypelessはAIが文脈を読み取って誤りを訂正したり、くどい言い回しを整理してきれいな文章に仕上げてくれたりします。カルテ入力の際、多少ぞんざいな日本語で話しかけても、まとまったきちんとした文章に変換して入力してくれます。また、パソコンに向かって大きな声で独り言を話すのは気恥ずかしいものですが、TypelessのAIは音声認識能力が非常に優れているため、小声でぼそぼそと話しかけても正確に聞き取ってくれます。 常に音声入力を使うわけではありませんが、診断書の作成など文章量が多いときには非常に役立つツールです。現在はTypelessをどのように仕事に活用できるか、さまざまな使い方を試しているところです。

    それにしても、キーボードを打たずにこれだけ大量の文章を書けるようになるのは、驚くべき仕事の効率化です。皆様もぜひお試しいただければ、その便利さを実感していただけると思います。

  • Claudeの進化:かなり使えます

    先日、アメリカとイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始しました。中東のことなのであまり現実味がないように感じますが、今後、原油価格が上がったり株価が下がったりと、いろいろな面で生活に影響が出てくるのは間違いありません。

    ニュースでしか現地の情報はわかりませんが、今回は昔のような陸軍や空軍が主体の戦争ではなく、ハイテクを駆使した情報戦になっているようです。アメリカ軍はサイバー・宇宙領域からイランの通信網を遮断しつつ、100機以上の航空機による空爆や巡航ミサイルによる攻撃を組み合わせるなど、まさに現代型の戦争です。

    そのアメリカがAIを軍事利用しようとする中で、Anthropic社はAIの自律型兵器や大規模監視への無制限利用を認めることは危険だとして、国防総省との交渉を拒否しました。代わりにOpenAIのChatGPTが軍の機密ネットワークに導入されることが発表されると、世界中のユーザーから反発が起き、ChatGPTの解約運動が巻き起こっています。その一方で、AnthropicのClaudeがApp Storeのダウンロードランキング1位に躍り出るという皮肉な結果になりました。

    私はこのブログの下書きをChatGPTで校正していたのですが、この数日、ChatGPTの処理速度が非常に落ちていました。この騒動による大量のアクセス集中も一因かもしれません。ちょうどAnthropicのClaudeがかなり使い勝手よく進化していたこともあり、このところGoogle GeminiとClaudeの2つをよく使うようになっていました。

    先日、アメリカから来た患者さんが健康診断を希望して来院されました。必要な検査項目は紙に書いてあるので、その通りに検査するのは難しくありません。しかし医師会から発行される結果報告書は日本語のため、「英文にできないか」と相談されました。医師会側では英文対応をしていないので、どうしたものかと思っていました。

    そこで「Claudeに頼んでみよう」と思い立ち、結果をPDFで取り込んで「英文に書き直してExcelで出力して」と頼んでみました。すると見事に採血結果の報告書が英文に変わりました。全項目をチェックして微調整するだけで完成です。こんなに簡単にきれいな英文報告書ができるとは、想像以上の出来栄えで大満足です。

    音声入力AIアプリのTypelessも使えば使うほど驚かされます。試しに診察風景の会話を模擬で聞かせ「カルテに書けるようにまとめて」と指示すると、ダラダラとした会話がカルテに記載できるレベルの要点整理された日本語に変わりました。単なる文字起こしと違い、内容を理解して編集までできる、まさに神AIソフトです。毎日AIの進歩には驚かされます。

    京都の街角 その2