九州に接近中の台風は、今回なぜかUターンしたり、立ち止まったりしながら迷走しています。そのおかげというわけではありませんが、熊本ではそれほどひどい嵐にはならず、天気もなんとか持ちこたえています。
朝はかなり涼しく、久しぶりに快適な朝でした。ただ、昼になると日差しも出て、まだまだ暑さは残っています。このまますんなり秋になるとは思えませんが、一時期の猛烈な暑さに比べれば、ずいぶん過ごしやすくなってきました。昨夜は久しぶりにエアコンをつけずに寝ることができました。毛布もかけずに寝ていたところ、足が冷えたのか、夜中にふくらはぎが攣ってしまいました。大慌てでつま先を引っ張って、なんとか治しました。
いつもなら芍薬甘草湯を飲むところですが、昨夜は薬を飲む前に治まったので助かりました。これからの季節は、暑さが残っている一方で、夜は意外と冷えることがあります。体を冷やしすぎないように気をつけたいものです。
さて、9月1日で、当院は開院10周年を迎えました。各方面からお祝いのお花などをいただき、現在、待合室はきれいなお花でいっぱいです。
そのお花を見た患者さんから、「ここが10周年ということは、私もこちらに通い始めて10年になるんですね」と声をかけていただくことが何度もありました。本当に10年というのは、あっという間です。その患者さんたちが初めて当院を受診されたときのことも、まるでつい先日のことのように思い出します。
実は、当院の近くの榎町には、以前「山口外科」という病院がありました。当院が開院して間もなく閉院されたため、そちらをかかりつけにされていた患者さんの多くが、当院を受診されるようになりました。開院1年目に、こうした地元の患者さんたちにかかりつけ医として選んでいただけたことは、当院にとって本当に幸運な出来事だったと思います。おかげさまでクリニックの経営も安定し、その後は外来診療だけでなく、近隣にお住まいの方への訪問診療なども行いながら、地域に根ざした医療を提供できるようになりました。
10年前には、元気に歩いて通院されていた患者さん、車を運転して来院されていた患者さんも、10年という時間が経つと、少しずつ状況が変わってきます。体力が落ちて自力で通院することが難しくなったり、運転免許を返納されたりする方も増えてきました。時々、「今はなんとか通院できていますが、これから自分で来られなくなったら、往診をお願いできますか?」と相談されることがあります。もちろんです。
私はもともと、そういうことも含めて地域のかかりつけ医としてこの場所にクリニックを開きました。通院が難しくなったときには、できる限り訪問診療で対応したいと思っています。もちろん、訪問できる曜日や時間、患者さんのお宅までの距離など、クリニックの体制上の問題もありますので、まずはご相談いただければと思います。
病院に入院するのとは違い、訪問診療を利用すれば、住み慣れた自宅で生活を続けながら医療を受けることができます。当院の訪問診療では、基本的には2週間に1回程度の定期訪問を行います。その間には、訪問看護や訪問介護などのサービスを組み合わせることもできます。
医療だけではなく、日常生活のケアや生活支援などを組み合わせることで、入院せずに自宅での生活を続けられるケースも少なくありません。こうした介護サービスを利用するためには、介護保険の仕組みを利用することになります。「最近、通院が大変になってきた」「一人で生活するのが少し難しくなってきた」「そろそろ介護サービスを考えたほうがいいかもしれない」という場合には、お近くの「ささえりあ」や区役所などに相談してみてください。
介護保険の申請が必要な場合には、当院がかかりつけであれば、必要な書類の作成など対応します。その後、介護認定を受けて要介護度が決まり、ケアマネージャーさんと相談しながら、どのようなサービスを利用するのがよいかを決めていくことになります。
最近は読書の話題をあまり書いていませんでしたが、私はAmazonのKindle(電子書籍)を使って、毎日のように本を読んでいます。今日読み終わったのは、和田秀樹先生の『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使い切る』という本です。
タイトルだけを見ると、刹那的な生き方を勧めているようにも聞こえますが、実際にはそういう単純な話ではありません。「老後のために」と言って、貯金をしたり、食べたいものを我慢したり、旅行や趣味を控えたりしている方は多いと思います。しかし、「では、いったいいつまで我慢すればいいのか」ということを、具体的に考えている人は意外と少ないのではないでしょうか。せっかく一生懸命働いてお金を貯めても、年齢を重ねて体が思うように動かなくなれば、旅行に行くことも、美味しいものを食べに行くことも、だんだん難しくなってきます。
人生の最後になって、「もっと旅行に行っておけばよかった」「もっと美味しいものを食べればよかった」「もっと自分の好きなことをしておけばよかった」と後悔することがないように、今できることを楽しむことも大切なのだと思います。
採血結果が少しでも正常値から外れると、とても不安になる方もおられます。そういう方には必要に応じてしっかり治療しますが、一方で、数値を厳格に正常化することだけが、その人にとっての「幸せ」とは限りません。
高齢になれば、若い人と同じ基準で健康管理を考える必要はありません。薬を増やして検査値を厳密に管理にすることよりも、薬を少し減らしたり、好きなものを食べたり、旅行したりすることのほうが幸せだと言う人は多いと思います。これは私が診療をするうえで、以前から大切にしている考え方の一つです。
