むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ガイドラインと個別化医療

    当院には、高血圧の治療で通院されている患者さんが大勢いらっしゃいます。

    高血圧の治療には、日本高血圧学会や日本循環器学会のガイドラインがあり、海外ではアメリカ心臓協会(AHA)なども治療指針を示しています。これらのガイドラインは、何万人という大規模臨床試験の結果をもとに、「どのくらいの血圧を目標にすると脳卒中や心筋梗塞が減り、長生きにつながるのか」を科学的に検証して作られています。そのため、私たち医師が根拠もなく「これは違う」と否定できるものではありません。

    しかし、考えてみると、大規模臨床試験は集団全体を統計学的に解析した結果です。患者さん一人ひとりの仕事や生活環境、家族構成、食生活、体質などの違いは、その集団の中では平均化されてしまいます。

    一方、私たちが毎日診療しているのは「集団」ではなく、「目の前の一人の患者さん」です。それぞれ生活背景も体質も異なります。そのため、ガイドラインを参考にしながらも、その方にとって本当に適切な治療は何かを考える必要があります。

    例えば、一般的には血圧は130/80mmHg未満を目標とすることが推奨されますが、高齢の方や長年高血圧だった方では、ガイドライン通りに血圧を下げることで、ふらつきや倦怠感などが出ることがあります。そのような場合には、数値だけを追い求めるのではなく、患者さんの生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)を考慮しながら、無理のない目標を設定することも大切です。

    塩分制限についても同じです。一般的には減塩が推奨されますが、人によって「塩分感受性」が異なります。塩分感受性が高い方は、少し塩分を摂り過ぎただけで血圧が上がりますが、感受性が低い方ではあまり上がりません。

    もちろん減塩は高血圧治療の基本ですが、その効果の現れ方には個人差があります。だからこそ、一人ひとりの反応を見ながら治療を調整していくことが重要なのです。

    今後、医学がさらに進歩すれば、高血圧や脂質異常症でも遺伝子情報や体質を考慮した「個別化医療」が進んでいくでしょう。がんの分野ではすでに遺伝子診断によって治療法を選択する時代になっています。

    循環器領域では、まだ集団としてのエビデンスをもとに治療を組み立てることが中心ですが、そのエビデンスを目の前の患者さん一人ひとりにどう生かすかを考えることこそ、私たち開業医の大切な役割なのではないかと思っています。

    夕食。スキレットの肉以外はほとんど野菜です。左下はナスと椎茸とほうれん草のオイスターソース炒め。下はキムチやっこ、ほうれん草のナムル、牛蒡の煮物。右はゴーヤとミョウガと大豆の酢の物です。スキレットはピーマンとシシトウ、牛肉のオーブン焼き。全部で30分かかりません。