熊本地震から10年。テレビやラジオでは当時の記憶をたどる番組が多く放送されています。 あの時、共に苦労を味わった一人としては「大変だったな」と思い出す一方で、あえて当時の映像を見たいという気持ちにはなれません。それほどまでに、私たちは必死に駆け抜けてきたのだと思います。今、こうして皆様と元気に過ごせていることが幸せだと改めて感じます。
当クリニックは、奇しくもあの震災の年にオープンいたしました。まもなく10周年を迎えます。振り返れば、その歩みの半分はコロナ禍との闘いでした。生活様式がガラリと変わるほどのインパクトでしたが、地域の皆様に支えられ、今日まで歩んでくることができました。
開院当初から訪問診療で担当させていただいている患者様も、10年経つと当時80代だった方が今では90代です。
昨夜、寝ようとした瞬間に訪問看護ステーションから連絡が入りました。急いで駆けつけましたが、静かに息を引き取られた後でした。 1ヶ月ほど前から、ご家族と「延命ではなく、苦しみを取って穏やかに見守る」という方針を話し合ってきました。最後はほとんど苦しまれる様子もなく、すっと眠るような旅立ちでした。
かつて病院勤務をしていた頃のお看取りと比べ、老人ホームや住み慣れた場所での最期は、どこか穏やかで自然な印象を受けます。我々訪問診療にたずさわる医療人は、その尊い最期を本人やご家族の希望に沿ってプロデュースするお仕事なのだと、改めて感じた夜でした。
「あがり症」に、お薬という選択肢
4月は、誰もが新しい環境に身を置く季節です。 仕事でのプレゼンや慣れない営業、あるいは保護者会やPTAの役員決めなど、人前で話す機会が増え、ストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。
今日、外来にも「緊張がひどくて、声や手が震えてしまう」「あがり症をどうにかしたい」という患者様が数名いらっしゃいました。 実は、こうした過度な緊張は、あらかじめお薬を服用しておくことで和らげることが可能です。もし、お腹が痛くなったり、震えが止まらなくなったりして困っているときは、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。
激動の10年を経て、今、私たちができること。 それは、今の平穏な日常を大切にしながら、目の前の小さな悩みや不調に一つひとつ丁寧に向き合っていくことだと思います。また、私は皆様の伴走者として、いつも近くにいて必要なときにはサポートできる存在でありたいと思っています。
