先日、訪問診療に行った際、デイケアのテレビをふと見ると、キャンディーズの歌が流れていました。
最近のお年寄りにとっての「懐メロ」といえば、もう山口百恵さんやキャンディーズの時代なのです。一昔前までは美空ひばりさんや細川たかしさんの歌が定番だったように思いますが、時代はどんどん移り変わっています。
私たちの世代くらいまでは、みんながそろってテレビの歌番組を見ていたので、老人ホームなどで流す曲にもあまり困らないかもしれません。しかし、私たちより若い世代になると、テレビの歌番組は少なくなり、それぞれが自分の好きなジャンルの曲をダウンロードしたり、CDを買ったりして聴く時代になりました。この人たちがお年寄りになった時には、デイサービスではどのような音楽が流れるのでしょうか。一人ひとり好みが違うので、オンデマンドのような形になるのかもしれません。
さて、そのキャンディーズが流れていた老人ホームの食堂には、西城秀樹さんや郷ひろみさんなどの写真も飾られていました。時代背景はまさに昭和50年代頃で、施設のスタッフもよくそうした時代の音楽やアイドルの写真を見つけてくるものだと感心してしまいます。
その老人ホームは、いつ行っても賑やかで和気あいあいとしていますが、一方で、他の施設では私語もほとんどなく、大勢の高齢者がただ食堂に座って静かに過ごしているところもあります。あまり楽しそうには見えませんし、どこか監視されているような雰囲気を感じることもあります。
やはり高齢者施設というのは、単なる「施設」ではなく「住まい」でもあります。安全はもちろん大切ですが、リラックスできる雰囲気や、和気あいあいと気分よく過ごせる環境づくりも大切なのではないでしょうか。
高齢者ですから、ちょっと目を離した隙に転んで怪我をするといったことは、どうしても避けられません。しかし、そのリスクを心配するあまり、「立たないでください」「じっと座っていてください」と一日中管理されるような環境では、筋力も認知機能も衰え、まるで囚人のような生活になってしまうのではないかと心配になります。
高齢者施設を選ぶ際には、パンフレットだけでは実際の様子は分かりません。ぜひ施設を見学し、食事の時間やデイサービスの様子など、日常の雰囲気を実際に見ていただきたいと思います。部屋の居住環境ももちろん大切ですが、そこばかりに目を向けていてはいけないのです。
