当院には外国人の患者さんも多く見られます。以外にも、中国や台湾の方は少なく、英語の先生(アメリカやイギリス、南アフリカなど)が多く、つぎにベトナムやミャンマー等東南アジアのからの来日患者さんです。数ヶ月前に発熱と胸痛で来院されたミャンマー人の患者さんは、レントゲンを取ったら片肺が真っ白でした。真っ白というのは肺炎ではなく、肺の外に水が溜まった状態です。胸膜炎で水が溜まって痛む例はよく見ますが、片肺全体に水が溜まった状態というのは珍しく、痛みも強かったので日赤に紹介しました。今日その経過報告の手紙が届きました。
日赤では胸腔穿刺(針を刺して水を抜く)をしたところ、溜まっていたのは水ではなく膿でした。その中からインフルエンザ桿菌が検出されたとのことで、細菌性胸膜炎だったわけです。ちなみにインフルエンザ桿菌はウイルスのインフルエンザとは関係ありません。日赤の先生は更に、検査を進め、膿胸を起こした基礎疾患を探り当て、肺吸虫という寄生虫が関与していることを見つけました。これがすべての原因だったわけです。日本人で肺吸虫になる例は殆ど見たことありませんが、東南アジアからの来日患者さんではこういう例もあるということです。日赤の先生が診断に至ったきっかけは、患者さんが生のサワガニをたべる習慣があるという話を聞き出したことからだそうです。やはり、幅広い内科の知識と問診力は正確な診断と治療に必須だとつくづく感心したところでした。皆さん、サワガニ(淡水のカニ)を生で食べることはないと思いますが、気をつけましょう。また、最近はジビエも食される事があると思いますが、しっかり加熱したものを食べるようにしましょう。

