うちにはゴンという15歳になるトイプードルがいます。老犬なので健康状態が心配です。散歩では毎日元気に歩いてくれるので安心していますが、この夏の暑さで食欲が低下しています。さらに、ここ1ヶ月ほどずっと咳をしていて、そのうち治るだろうと思っていたら、だんだんひどくなり、今週は一晩中ずっと咳き込んでいます。私もゴンの咳で何度も目が覚めてしまいました。人間で言えば、肋骨にヒビが入って痛くて病院に駆け込むレベルだと思います。
喘息かな、風邪かな、もしかして変な肺疾患ではないかといろいろ考えますが、家で咳の状態を聞いているだけではなかなかわかりません。人間の場合、あまり痰が絡まない長引く咳だと、咳喘息を疑います。なんとかしてあげたいと思い、治療を試みることにしました。まずは全身を撫でながら、時々咳に効くツボを指圧しました。これで良くなれば儲けもの。
その後、漢方薬を入れた箱を見ていたら、咳に効くツムラの麦門冬湯が出てきました。1包は人間の1回分なので、半分飲ませてみることにしました。餌にふりかけてみたのですが、夏バテで食欲が落ちているゴンは、漢方薬の独特の匂いもあり、見向きもしません。
そこで、ゴンのテンションが最も上がる牛肉スープを作ってあげることにしました。実際は焼肉用の肉を二切れほど湯通ししただけですが、その煮汁と一緒に牛肉を餌に乗せたところ、漢方薬も全部食べてくれました。
気がついたら、それ以降咳がピタッと止まりました。昨日までの10分の1くらいの頻度になり、夜は一度も起こされることなく、ぐっすり眠れました。麦門冬湯は市販でも咳止めとして使われていますが、実際に使ってみると、使い方が難しい漢方薬です。一般的には1ヶ月ほど咳が治らないことと、痰が絡まない空咳の場合に出番となります。
今回のゴンの咳は、まさにその条件を満たしていたため、私の見立て通り麦門冬湯が効果を発揮しました。漢方薬の効果を改めて実感した出来事でした。

