むらかみ内科クリニック

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  • 馬肥える秋

    秋は収穫の秋というように、美味しいものがたくさん実る季節です。さつまいも、栗、さんま、松茸など、旬の食材が次々と店頭に並びます。アメリカではハロウィンと同時に秋の収穫のお祝いをする習慣があるように、世界中で秋は実りの季節として祝われています。

    このように美味しいものにあふれる時期は、ついつい食べすぎてしまいがちです。その理由の一つは、私たち人間に備わった動物としての本能にあります。自然界では、冬には食べ物が少なくなるため、秋のうちにしっかり食べて皮下脂肪を蓄えることが生存の重要なポイントとなっています。

    野生動物は、冬の間に蓄えた皮下脂肪を燃やしながら生きながらえ、春には自然と痩せていきます。しかし、現代の私たちは状況が異なります。秋の味覚を楽しんだ後も、クリスマス、忘年会、お正月と、季節の行事が続きます。その結果、体重が減るどころか、増加の一途を辿りやすい環境に置かれています。

    確かに、この時期に食欲が増すのは自然な生理現象かもしれません。しかし、現代社会では冬に食料不足に直面することはほとんどありません。むしろ、過剰なカロリー摂取や運動不足が続くと、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まってしまいます。

    秋の味覚を楽しむことは人生の大きな喜びの一つです。しかし、「楽しむ」と「節制」のバランスを保つことも大切です。日頃から食事量をきちんとコントロールし、定期的な運動を心がけることで、季節の恵みを健康的に享受できるはずです。美味しい食事と健康的な生活習慣、この両立こそが現代を生きる私たちの知恵なのかもしれません。